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異世界モノクローム  作者: りゅうさん
第1章:勇者始動編
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鳴神修也の始まり

その昔、世界三大大陸の内の1つ【メルキデス大陸】は魔王軍の侵略により多くの兵を失い、衰退の一途を辿っていた。

魔王軍の軍勢約100万に対し、メルキデス大陸の兵士は約10万と圧倒的戦力差で、わずか10日にして兵士の半数以上を失い、絶望的な状況であった。そんな中、メルキデス大陸の最後の希望となるべく、7人の兵士が立ち上がり、皆を先導して最後の戦いに挑んだ。

1人は剣を持ち勇敢に立ち向かい、1人は近接戦で魔王軍をなぎ払い、1人は魔法で遠距離から攻撃し、1人は負傷した兵士を守る盾となり、1人は傷ついた兵士を癒し、1人は面妖な術で翻弄し、そして1人は絶対的は力で魔王軍を倒し、遂に魔王を追い詰めることに成功した。

しかし討伐される寸前、魔王も最後の力を振り絞り、7人の兵士し呪いをかけてしまった。兵士は魔王の呪いに屈せず、魔王を封印の壺に封印することを成功した。

しかし魔王の呪いは強力で、メルキデス教会の神父であってもその呪いを解くことは不可能だった。呪いは段々と兵士の体を蝕んでいき、生死を彷徨う事になってしまった。いずれ来る死に対し、ある兵士は1つの提案をする。

その提案とは、[兵士達の力を各々が使用していた武器に封じ、後世に伝える]というものであった。皆は了承し、兵士達の力を持つに相応しいものが現れることを願い各々の力を武器に封じ込め、メルキデス教会の神父に託し、その後息を引き取った。

神父はその武器を大切に保管する為、メルキデス神殿に納めた。

これがメルキデス大陸に伝わる勇者伝説である。




時は流れ、現代日本

とある田舎に住む少年[鳴神修也]17歳は、最近ハマっているアイドルグループ、[TwinDreamer]の動画を見ていた。


「………………………………はぁ〜〜〜、やっぱ”ツイドリ”の2人は可愛いなぁ〜……。」


長い沈黙の後のため息、ゲーミングチェアに座っている修也は動画の余韻に浸りながらSNSでTwinDreamerの投稿をチェックする。


「「2人の歌声サイコー!!」「神崎明香里かわええ〜」「ゆきなちゃんは俺の嫁」……ふっ、みんな俺と同じこと考えてらぁ。やっぱツイドリは世界に誇るべきユニットだよなぁ〜。」


体を仰け反りながら携帯を見て独り言を言う修也の目にある投稿が入る。


「……ん?「歌は良いと思うけど2人の距離感が気になる」「裏ではギスギスに仲悪いんだろうな(笑)」「正直2人ともブス」……はぁ!?!?ブスだぁぁぁあああ!?!?ふっっっざけんじゃねぇぇぇぞ!!!!!どっからどう見ても美少女だろうがぁぁぁ!!!!!!」


SNSによくあるアンチコメントに対し1人でブチギレる。その声に嫌気が差したのか、隣の部屋からドスドスと足音が聞こえてきて、修也の部屋の扉が勢いよく開けられる。


「もう!おにぃうるさい!!!日曜だからってこんな昼間から大声で叫ばないでよ!!!勉強に集中出来ないじゃん!!!」


部屋に入るなり修也に怒鳴るのは妹の[鳴神杏奈]。2歳年下の中学3年生で、今は受験勉強で忙しい時期である。


「あっ、すまん杏奈。ついカッとなっちゃって…」


「まったく……、そういえばお母さんから伝言。夕飯の買い物に行って来てって」


「えぇ〜なんで俺が〜」


「だって私受験生だし、じゃよろしく〜」


真っ当な理由にぐうの音も出なくなってしまった修也に手をヒラヒラさせながら部屋から出ていく。仕方なく重い腰を上げ、買い物に向かうことにした。




買い物に向かう道中は田園が拡がっており、田んぼの間を自転車で進んでいく。


「買い物めんどくせぇなぁ〜。…しゃあねぇ、近道してさっさと終わらせるか」


自宅から近所のスーパーまでは自転車で約20分ほど。それほど遠くない距離だが、田舎特有の多彩な分かれ道により、多様なルートが存在する。今回選択したルートはスーパーまで最短で向かうことができ、車通りも少ない神ルートとなっている。買い物に行く時は基本このルートを通るので、周りにある建物や落ちている物など割と覚えてしまう。そんな道中で、明らかに不自然なものが落ちていた。


「ん?なんだこれ?錆びた剣?」


錆び付いた剣のようなものが落ちていたのだ。遠目で見れば木の剣にも見えるその物体を手に取り首を傾げていると、急に辺りが歪んで見える現象が起きた。


「!?なんだなんだ!?周りが急に歪んで…!?」


戸惑っているのも束の間、辺りは見覚えのある田園風景から見知らぬ建物が多く並んだ村のような場所に変わっていた。


「……え?……は?」


辺りを見渡すも見覚えのない村の風景にただただ疑問のような言葉しか出てこない。一旦落ち着くために状況を整理しようと試みる。


「……いやいやちょっと待て。俺は確かにいつもの道を自転車で進んでたよな?んでもって見覚えのない剣が落ちてて…ってええ!?」


状況を整理させながら自分の姿を確認すると、自転車に股がって銀色に輝く剣を持つ自分の姿があった。


「いやいやいやいや、さっきまで錆びてた剣がなんで復活してんの!?しかも村の雰囲気に合わない自転車!色々世界観ぶっ壊してる!…ってこれって…まさか…アニメとかゲームとかラノベとかでよくある…」


「異世界転移ってやつですかぁぁぁあああ!?!?!?!?!?」


そう、鳴神修也は買い物に行く際に異世界転移してしまったのである。

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