表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝福された双子は私達でした⁉︎ 〜冒険者になるけど許してね?〜  作者: 桜夜
第2章 学園編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/48

040

「ただし、人間が人間を助けるのは禁止されていないよ。だからリンやレンも人間だから他の人間を助けることはできるよ……運命が変わるかはわからないけどね」


「じゃあ、さぁ……高位の生命体ってことは僕らの契約している者達は全員手助けできないってことでしょ?」


「そうなるね、でも近しい者達なら助けることはできるよ。だからリン達は全員安全とも言えるよ」


「……そっかぁ、全ての人間を助けるなんていえないけど、手を伸ばせる範囲で助けていきたいなぁ」


「そうだね、僕らは僕らのできることをしよう……」


「では、まずは国王様に魔物が活性化する恐れがあるように進言しますか?」


「いや、それを言ったら理由を言わなきゃいけねぇんじゃねぇか?」

「そうだね、竜神が死んだことも言わなきゃいけなくなるよね」


「うん、リナルド王国は多分竜神が罰を受けていたことは知らないと思うんだよね。だから次の竜神が現れるまで死んだと発表しないんじゃないかな……」


「そうだろうね、だって言ったら竜神の加護が無くなったって言っているも同然だからね」


「確かに……そんなことしたら他国から攻められてもおかしくないですね……」


「もしかしたら戦争になっちまうかもな……」


「うーん、とりあえず私たちだけの秘密にしよう。魔物の活性化はすぐに起こるわけでもないと思うし強くなるのもしばらく時間がかかるはず……だよねキース?」


「うん。すぐに強くなるわけじゃないよ、徐々に強くなっていくと思うから突然変異でも起こらない限りは対処できると思うよ」


「わかった、とりあえずこの事は僕らの秘密だ」

「はい、秘密にいたします」

「おう、俺も口は堅いぜ!」

「僕も!」


「…………そういえばさ、卵ってどうやったら孵化するの?」


「あぁ、竜神になる竜の卵はリナルド王国に行かないと孵化しないよ。後は潤沢な魔力が必要だよ。通常は死ぬ前までに魔力を溜めておくんだけどそんな力も残っていなかったんだろうね。その証拠に卵は白かったでしょ? あれは何者にも染まっていない証で魔力を流したらほんのり色付いたでしょ。


魔力を流し続ければ色がどんどん濃くなって濃ければ濃いほど強い竜神が生まれるんだ。このことを知っている者はいないよ、だって今回で2代目の竜神だからね。初代は創造主様が送り出した龍だし。まぁ、運がよかったね僕が知ってて、知らなかったら永遠に竜神はいなかったんじゃない? そもそもリン達が見つけていなかったら竜人の国は滅んでたかもね!」


「やば……でもなんでリナルド王国に行くと孵化するの?」


「さぁね、そこまでは知らないけど竜神を守るためじゃない? 孵化した後も1年は幼竜のままだろうし……」


「なるほどね……まぁ孵化しないなら良かったけどそれでも亜空間に入れる時はキースと一緒にいて欲しいんだけど……」


「まぁ、しょうがないからね。僕が面倒見てあげるよ、可愛い後輩になるわけだし……」


「後輩? 聖獣と竜神って先輩後輩になるの?」

「なるよ、同じ天上の生物だからね。ただ仕えている神様が違うだけだよ」


「へぇ、そうなんだ。ところで……創造主様って誰? 聞いたことないんだけど」


「それ僕も気になった! 先生からは習ったことないよ?」

「じつは、私も気になりました……」

「俺も、気にな……りました!」

「僕もです!」


「あぁ……人間達が忘れている神様だよ。

この世界を造った神様であり、7柱の神様を生んだ神様のことだよ。だから実際には7柱の神様の上に創造主様が君臨しているんだ」


「どうして、人間は忘れてしまったの?」


「…………それは


――――言えない。


ただ、クロノス様と何かをしてたとだけ……」


「……そっか、ありがとう!」

「ううん、あまり手伝える事は少ないけど何かあったら言ってよ」

「うん、頼りにしてるよ!」


「じゃあ、戻るよ」


「キースありがとう」

「「「ありがとうございました‼︎」」」


 キースと卵は亜空間に戻っていった。


「さて、まずはレベル上げをしなきゃね」

「そうだね、ダンジョンで魔物を結構倒したから冒険者ランクを上げれると思うよ」

「そうですね、まずはギルドにいきましょうか」

「じゃあ明日はギルドだな!」

「もう、今日は疲れたよ……」


 その日はみんなでご飯を食べて、お風呂に入って早々に休んだ――――












 時を遡る事1週間前――――


 リナルド王国で、とある巫女が神託を受けていた。


『我が寿命はここに尽きん、されど恐るるなかれ。新しき命は芽吹き、十の歳月が流れぬ内に2つの星は降り来たりて汝らに贈り物を託さん。

汝らこれを拒まず受け入る時、国は新たなる光に包まれん』


「……これは、一体……。竜神様が天に還られる‥…? 新しい竜神様が生まれる……? でも2つの星とは? 人の事かしら……。



……初代竜神様が天に還られ、新たな竜神様が誕生するが、10年以内に2人の人物が届けてくれる……この2人を拒まなかったらこの国には祝福の光が降り注ぐ……という事かしら。


でも私達が新たな竜神様を拒むわけがないわ、急いで国王に知らせなければ……」


意志の強そうな金色の瞳を輝かせながら、巫女が足早に赤い絨毯の上を駆けた。


 巫女は王の執務室に着くとノックをして入る。


「はぁ、はぁ、はぁ……国王よ! った、たった今、神託が降りたわ‼︎」


 中にはオレンジ色の短い髪に、ルビーのような赤い瞳の男性がいた。頭には2本の長いツノを生やし、浅黒い肌を惜しげもなく出している。巫女は気にしたようなそぶりもなく、自身の夕焼け色のような茜色の編まれた髪を振り乱し国王に詰め寄った。


 この国では巫女と国王は同等の階級に存在するため、対等な関係で過ごしている。


「どうした、エレン。まずは落ち着いたらどうだい? そんなに急を要するのかい?」


「えぇ、そうよ! まずは、結界を張るわね。我が光よ、この世の音を無くし、無音に返せ《光寂遮断(ルクス・レプルシオ)》」


「そこまでするんだな……」


「えぇ、まずは、りゅうじん、さまが、竜神様が……


――――天に還られるわ‼︎」


「……っ! それは真か⁉︎」


「えぇ、神託が来たからね。でも――」


「という事は、次の竜神様は⁉︎ 天に還られるだなんて今までなかったじゃないか⁉︎」


「続きを、聞いて、ちょうだい!」


「あ、あぁ、すまない」


「初代の竜神様は天に還られるけどまた新たな竜神様が誕生するわ。ただ、この国にはいないみたいで10年以内に2人の人物が運んでくれるらしい」


「2人の人物? どんな奴らなんだ?」


「そこまでは、わからないわよ。ただこの2人から竜神様を貰わないとこの国に祝福が降りないわ!」


「……ふむ。10年以内に訪れるのか……。この国を訪れる者たちに注意せねばならぬな。……2人だよな?」


「えぇ、そうよ。2人だから2人組なのではないかしら?」


「では、この先10年以内は2人組の手荷物検査を厳しくしよう……」


「……それでいいのかしら?」

「どういう事だ?」

「だって私達からしたら、国を助けてくれる英雄って事でしょ?」

「それは、そうだが……では他にどうすれば良いのだ?」

「うーん……思いつかないわ。でも規制はしないほうがいいと思うけど……」


「うーん、わかった。では注意深く見るってことにしよう」


「それがいいと思うわ。あとは、竜神様が戻るまでこの国に張られている結界が安定しなくなると思うわ。今は私の魔力を流し込んでもたせているけど、竜神様がいなければ不安定のままよ……もって10年ね。これを見越して初代の竜神様は10年以内に現れてくれるよう頼んだのかもしれないわ」


「ふむ、わかった。これらのことは国民に言うべきか……否か」


「言わないほうがいいわよ。だって周辺諸国にバレた場合、間違いなく帝国は私達を吸収しようとするでしょうね。言う時期は竜神様が戻ってきたらでいいと思うわ」


「そうだな。竜神様が戻ってきたら民達には話そう……」


「では、私は戻るわね」


「ありがとう、エレン。また何かあればきて欲しい」


「えぇ、またね」


 巫女はその言葉を最後に扉を開けて執務室から退出した。


「ふむ、竜神様がまさか天に還られるとは、寿命があったのか……。竜神様はいつからこの世界に存在しておられるのか……」


 国王の呟きに答えが返ってくることはなかった……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ