035
私達はハルトとリックを自室に案内し、くつろいでもらう。
「じゃあ、一息ついたら課題片付けちゃう?」
「そうだね、後々するの面倒くさいし今、片付けようか」
「わかった! わからないところは教えてくれよな!」
「僕も教えて、できるだけ自分で解くけどね」
「わかった、質問してね?」
「できるところだったら答えてあげるよ」
それから集中して課題をやり、夕食の時間になった。
夕食は家族のみんなと食べるとハルト達が緊張するだろうから4人だけで食べて、お風呂も大浴場に行ってみんなで一緒に入った。寝る時は1つの大きなベッドに4人で並んで眠りについた。
「……おはよう」
「……おはよ」
まずは私達の2人が起きて、寝ているハルトとリックをそれぞれ起こす。
「ハルト……おきて、朝だよ」
「リックも……おきて、朝だよ」
「「……んぅ、ん」」
「おは……」
「2人とも、おはよう……」
ハルトとリックのどちらも起きたし身支度を始めますか。顔を洗い、髪を整える。軽く運動するために軽くて丈夫な半袖の服と長めのズボンを履く。靴は動きやすい布製のものを履いて準備は完了!
「2人も一緒に行く?」
「……俺はいいや」
「……僕も、まだ目覚めてない……」
「じゃあ、僕ら行ってくるね」
「「いってらっしゃーい」」
私とレオは準備運動がてらに王城の周りを10周程して魔法と武術の練習をする。……学園ではやってないよ?
家に帰っている時だけやろうかなって2人で話したんだから。それから2時間ほど訓練して、朝食を食べるために切り上げて汗を洗い流しに行く。
「2人とも目は覚めたの?」
「そうだよ、あの後絶対寝たでしょ」
「そ、そんなことはないぞ⁉︎ なぁ、リック‼︎」
「あ、あぁそうだとも、そうだとも。寝てなんかいないさぁ!」
「ほんとかなぁ?」
「まぁ冗談はさておき、いただきます!」
「「「いただきます!」」」
「それにしても、お前らよく朝っぱらから訓練するよな? どっかの兵士みたいだぞ?」
「ほんと、それ。君たち本当に王族なの?」
「失礼な、立派な王族だよ」
「そうそう、ただ家にいると日課になっているだけだよ。学園じゃあできないしね、まぁ、魔力巡りぐらいは学園でもやるけどね」
「俺も……明日一緒にやってみようかな?」
「僕はついて行けそうにないんだけど……」
「明日やるなら起こしてあげるよ?」
「多分最初はきついと思うよ?」
「でも、お前らみたいに強くなれるよな?」
「まぁ、それは多分?」
「僕らが実際にやっていることだしね?」
「じゃあやるか! リックはやらなくていいのか?」
「……僕もやる」
「じゃあ明日はみんなでやろうね⁉︎」
◇
お昼頃になりカイトが戻ってきた。
「家はどうだった?」
「何も変わっていませんでしたよ?」
「ご家族は元気だった?」
「はい、とても元気でした。元気すぎてうるさいぐらいですね」
「それは良かったな‼︎」
「じゃあ、今日も課題やる? 後もう少しだよね?」
「そういえば、カイトも昨日課題やった?」
「はい、時間が空いていたため半分ほど終わらせていますよ」
「良かったぁ、僕達も昨日半分ほどやっていたんだ」
「では、ちょうど良かったですね」
「早く課題終わらして、ギルドに行こうぜ!」
「そうだね」
今日も課題をやり1日があっという間に過ぎた。カイトは家に帰り、4人で一緒にご飯を食べて、お風呂に入って寝た。
◇
「おはよう……」
「……おはよ」
さて、今日も1日が始まる。2人を起こしてから身支度を始める……。
「準備はできた?」
「僕はいつでも行けるよ」
「……おれも、いいぞぉ」
「……ぼくも」
「じゃあ、庭に出て準備運動がてら王城10周からね?」
「2人とも走れる?」
「……えっ、頑張るぜ」
「僕は……死んだ……」
2人の背中を押しながら庭に出て体操をする。十分に体が解れたら、走り込みに王城の周りをぐるっと回る。
「はぁ、はぁ、2人……とも、早い……」
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……やば……待って……」
「2人とも、まだまだこれからだよ⁉︎」
「頑張って着いてこいよぉー」
私達が10周走り終わる頃2人はまだ5周したくらいだった。最初にしては上出来だと思ったので途中でやめさせて、休憩させる。
「おまえら、はぁはぁ、いつも、こんな事してんのかよ……」
「ぜぇぜぇ、それは誰も、ぜぇぜぇ、勝てない……わけだね……」
「でも、カイトはやってるよ?」
「あいつは、はぁはぁ、非常識、だからなぁ……」
「そうだよ、はぁはぁ、カイトは君たちと、同じ……ふぅ、だからね……」
「次は魔法の練習するよ?」
「大丈夫? もう少し休むか?」
「いや、俺はやるぜ‼︎」
「僕も! ハルトに魔法で遅れをとるわけにはいかない‼︎」
「じゃあ、初めに魔力巡りをしようか」
「レンみたいに何も考えずにただ回して行けばいいからね? それでレベルアップできるから!」
「僕たちも後もう少しでMAXになるかなぁ? もう意識しないでもできるからなぁ」
「たぶん、寝ててもできるよねぇ」
「そんな簡単に言わないでくれよ、俺は集中しないとできないぜ!」
「僕も、意識してないとすぐにダメになっちゃう‼︎」
「頑張れ〜」
(魔力操作がLvMAXになりました)
「「……! レベルが上がった!」」
「お、まじか! おめでとう!」
「うわぁ、ほんとに非常識だぁ!」
「じゃあ魔力巡りを100周ほどしたら魔法の練習をするよ。それぞれ使える魔法を訓練するんだ!」
「そうそう、ただ聖魔法は使いづらいんだよねぇ。だからなかなか上がらないんだよ」
「ひゃ、100周? 嘘だろ、10周でさえきついのに……」
「え? 私達はそれよりもっとやってるよ?」
「そうそう、初めてだから100周だよ?」
「う、嘘でしょ……。ひゃ、100周……僕生きているかな……?」
「うーん、加減がわからないなぁ。できるところまででいいよ?」
「僕らは属性魔法、練習しているから!」
しばらくして2人は終わったのかそれぞれが得意な魔法を訓練していた。
「そろそろかな? 2人とも、武術の練習をするよ?」
「「……まだ、やるの?」」
「武術で最後だよ? 木刀で剣術の練習と組み手の練習だよ。ハルトは得意なんじゃない?」
「リックはどうする?」
「ここまできたらやるよ‼︎」
「じゃあ、素振りからかな?」
「わかった‼︎」
「じゃあ僕達は最初は僕とリンで戦って次に僕とハルト、最後にリンとハルトね? 魔法は無しだよ、身体強化もね」
「おう、わかった!」
それから三人で戦って終わったところで朝食になる。
素振りをしていたリックは途中で疲れたのかやめて、試合を観戦していた。結果はレンが2勝して、ハルトが2敗、私は1勝1敗だった。
「それじゃあ2人とも汗を洗い流そうか!」
4人で風呂に入り、汗を洗い流した後ご飯を食べる。カイトが到着したら、一息ついてから冒険者ギルドに向かった――。
◇
冒険者ギルドについた私達はワクワクしていた。王都のだけあって、どこの建物よりも一際大きく、そこにあるだけで存在感がある。
人が多そうな気配もするし、何かイベントでも起こるのかな⁉︎
「じゃあ、行くよ!」
「いいよ、行こう!」
私達はギルドに入り依頼の貼ってある掲示板を見に行く。
「おい、坊主達。見ない顔だがどこからきたんだぁ?」
行く途中にどうやら絡まれてしまったらしい……。
「私達、実は一昨日この街に来たばかりで……」
「じゃあ、お兄さん達が教えてやるよ‼︎ このギルドの挨拶ってやつをよ‼︎」
「……みんなは下がってて」
2人の冒険者達が急に襲いかかってきたが、たぶん低ランクなんだと思う。スピードが遅いし、強そうには見えない。避けてやり過ごそう。
「おい、お前ら。やめとけ‼︎」
「あぁん?…………お前は、いや貴方達は……」
お兄さん達は急に攻撃の手を緩め、襲いかかってくることはしなかった。誰が止めたのだろうか、声が聞こえる方に顔を向けると4人の人達がいた。金髪に青い瞳をした、いかにもモテそうな好青年風のイケメンと、黒髪に黄色い瞳の可愛らしい顔立ちをしている女性と、茶髪に茶色い瞳の大剣を背負っているいかついお兄さんと茶髪に緑色の瞳をしている美しい魔女のようなお姉さんがいた。……この人達誰だ?
「小さな少年たちにちょっかいをかけないの!!」
「そうだぜ! 弱いものいじめはいけねぇなぁ!」
「大人しくすれば何もしないでいてあげる」
「なんで、いるんだよ! ……当分帰らないはずだっただろ‼︎」
「僕らも、マスターに呼ばれたから帰ってきただけだ」
「ちくしょう! 誰がAランクパーティのお前らなんかに喧嘩を売るかよ‼︎」
「あぁ、その方が身のためだね。少年たちも大人達がすまないね……」
「いえ、どうも止めていただきありがとうございました!」
「いやいや、見て見ぬ振りはできないからね。当たり前のことをしただけだよ」
「それでも、ありがとうございました! このご恩はいつかお返ししますね!」
「ははは、別に気にしなくていいからね? じゃあ、僕たちは行くね、またね‼︎」
「おい、少年たち。運が良かったな、Aランクパーティの”光の道標”が助けてくれてよぉ」
「ほんと、良かったです! ところであの方達は有名なんですか? 僕達ほんとにわからなくて……」
「そういえば来たばかりだと言ってたなぁ、あのパーティーはこの辺で1番強いんだよ。だからあいつらには誰も歯向かえねぇ」
「そうなんですね、教えいただきありがとうございました」
「おう、気をつけろよ」
あの人たちは有名みたいだ、あまり近寄らない方がいいかな。
「あの、この中に黎明の星御一行様はいらっしゃいますか?」
……ん? 私達のパーティー名だ。名前被りはないから私達しかいないはず……。でも、まだ何もしてないよ?
「おい、どうして俺らの名前を呼んでんだよ!」
「どういうこと! また僕らの知らないところでやらかしたの!?」
「ちょ、みんなひどいなぁ、まだ何もしてないよ!」
「そうだ、そうだ! 今来たばかりじゃないか!」
「とりあえず、返事をしましょうね?」
「そうだね!」
「はい、僕達が黎明の星です」
「こちらへ来てください…………。ギルドマスターがお待ちしております」
「えっ? あ、はい」
「ご案内いたします」
「よろしくお願いします」
私達は受付のお姉さんの後を追うようにギルドマスターの部屋へ通された――――




