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本当に、更新できず申し訳ありませんでした。
これから忙しくなる時期はどうしても更新できないかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
リアンとエルドリックは次の日の放課後、ギルバートに昨日の学年委員会の話をする。
「先生、昨日の学年委員会では《入学洗礼の儀》について話がありました。チーム決めなんですがどうしますか?」
「チームの方は俺が決めるからメンバー用紙を俺にくれ。提出日は来週だな、それまでに出しておくから安心しとけ」
「はい、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
◇
一週間と数日経った頃、《入学洗礼の儀》についてしたい事があるからとSクラス二十名と各学年の代表、ギルバート先生、学園長が大講堂に集まる事になった。
大講堂は、天井が高く壁には大理石の柱が並び、廊下には歴代の名士たちの肖像画が飾られている。
集まったSクラス二十名と、ギルバート先生、学園長が壇上に上がり各学年のSクラス代表メンバーが席に座っていた。
「これより、一年生のメンバー発表と対戦相手を決める。まずはじめにチームメンバーの発表からする。
一チーム目。リーダーはアホルト。メンバーはシリウス、レベッカ、ノア、サラ以上の五名だ」
「俺がリーダーか。務まるかどうか……」
「まぁ、なかなかの感じだね」
「あたいは強い奴とできればいいよ! よろしく、アホルト様!!」
「アホルト様の足を引っ張ってしまうかもしれませんが、よろしくお願いします」
「やったわ! アホルト様と一緒のチームになれた‼︎」
「では次、二チーム目。リーダーはリアン。メンバーはレオン、カイト、ハルト、エルドリック以上の五名だ。このチームは四チームの中で最も強いチームになるため《入学洗礼の儀》には二回出てもらう」
「はい、わかりました」
「僕たち一緒だったね?」
「そうですね、よかったです」
「俺は一緒だと思ってたぞ‼︎」
「僕もそう思ってたよ」
「では次、三チーム目。リーダーはルシア。メンバーはヴィクトール、クラリス、ジュリアン、フレイヤ以上の五名だ」
「私がリーダーですか、精一杯努めさせていただきます」
「私は頭脳派なので戦術は僕が考えます。よろしくお願いします」
「私はお役に立てるかしら? 皆様、よろしくお願いいたしますね」
「俺は近接戦の方が得意だ。よろしくお願いする」
「私は風属性が得意よ。よろしくね」
「最後のチーム、四チーム目。リーダーはエミール。メンバーはシェイド、ガイ、レイラ、アデル以上の五名だ」
「私、がリーダー?」
「よろしく頼むな、エミール!」
「皆さんよろしくね」
「あたしは近接戦が得意かな。よろしく!」
「これで全チームが決まった。次に対戦相手を壇上の中心にある『運命の杯』で決める。
これはそのチームに相応しい対戦相手がこの魔道具により決定される。必ず自分たちよりも格上の相手が選ばれる仕組みになっているから試練になるだろう。心して挑めよ」
「「「はい!」」」
「始めにリアン、前へ!」
「はい」
リアンは杯の前に立ち手をかざす。すると杯が淡い光を放ち、宙にいくつもの光の紙片が浮かび上がり杯に吸い込まれる。二年、三年、四年、五年、六年、どの紙片を引くかは完全なる運である。
リアンがゆっくりと手を杯に差し入れ、指先で一枚の紙片をつまむ。その瞬間、紙片が眩い光を放ち、宙へと舞い上がった。
『リアンチームvs6年Sクラス』
黄金の文字が空中に浮かぶ。
その瞬間――大講堂はまるで時が止まったかのように静まり返った。誰もが息を呑み、何かの間違いではないかと疑った。
「六年……?」
一人がそう呟いた途端、会場の空気が一気に張り詰める。
6年Sクラス。それは、王立学園において最強の称号を持つ者たちが集うクラス。
魔法、剣技、戦術、あらゆる分野においてトップに立つ彼らは、もはや学生の枠を超えた存在だった。
今まで6年Sクラスが選ばれることはなく、最後まで残っていたのだ。
ギルバートが苦笑しながら腕を組む。
「……これはまた、えらく厳しい試練になったな」
1-Sクラス中でも、さすがに動揺が広がる。カイトは苦笑しながら呟く。
「さすが、リン様ですね」
エルドリックは険しい表情で沈黙する。ハルトは拳を握り、ただじっと前を見据える。だが――リアンとレオンは、互いに視線を交わし、無言で頷いた。二人の表情に絶望はなかった、むしろ目を輝かせる。
その時――一番前の席からゆっくりとした拍手が響き渡る。
「これは……驚いたね」
優雅な声とともに前に出たのは、学年委員の委員長であり、生徒会長のユリウスである。6年Sクラスの代表であり、将来は次期宰相とも噂される天才。
ユリウスは肩まで伸びる銀髪を揺らし、黄色の瞳で微笑む。その微笑は決して冷たくも、威圧的でもない。むしろ、穏やかで洗練された雰囲気すら漂わせていた。
「一年生が相手。正直、リアンくん達に当たらなければ勝てればいいかなって思ってたんだけど……」
ユリウスはリアンを見つめ、微笑を深める。
「リアンくん達のチームなら別だよ。私は君たちと戦ってみたかったんだ」
リアンはユリウスの瞳をまっすぐに見返した。
「……私達は全力で戦うだけですよ」
その言葉に、ユリウスは満足げに頷く。
「ふふ……いいよ。では、私たち六年生が、君たちに学園最強の壁がどれほど高いか教えてあげる。当日が楽しみだね」
ユリウスは言いたいことだけ言って自分の席に戻っていった。
「続いてアホルト、前へ!」
「はい」
アホルトは手をかざし杯の中に浮かんでいる光の紙片を取る。すると紙片は空中に舞い上がり金色の文字が表示される。
『アホルトチームvs5年Sクラス』
「……悪くない」
アホルトが一言言葉を溢すと、笑みを浮かべた。
「なんでよ……」
サラは小さく不満そうな声で言葉をこぼすだけだった。他のメンバーも口々に対決に向けての言葉を放っている。
「次、ルシア、前へ!」
「はい」
ルシアは手をかざし杯の中に浮かんでいる光の紙片を取る。すると紙片は空中に舞い上がり金色の文字が表示される。
『ルシアチームvs3年S』
「3年……」
 
ルシアは余裕の笑みを浮かべ、冷ややかに呟く。
「まあ、ちょうどいい相手ですわ。私達の力を見せてあげましょう」
そして、最後にエミールが呼ばれる。
「最後にエミール、前へ!」
「はい」
エミールは手をかざし杯の中に浮かんでいる光の紙片を取る。すると紙片は空中に舞い上がり金色の文字が表示される。
『エミールチームvs4年S』
「四年生ね。なかなか面白そうだわ」
エミールは小さく笑いながら、頷いた。
「では最後、二年Sが残ったので二年Sをリアンチームの二組目の対戦相手とする」
――こうして、全ての対戦が決定した。
静寂が支配する中、テオドリクが微笑を浮かべ、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「各々、心して挑むといい」




