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祝福された双子は私達でした⁉︎ 〜冒険者になるけど許してね?〜  作者: 桜夜
第2章 学園編

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少し遅くなりすみません……



 カイトが詠唱し終えたら、すぐに空気が一変した。太陽の光が一瞬だけ弱まり、この辺りの周囲を取り巻く風が急に強くなる。少しずつ、魔法陣が輝き始め、そこから何かが蠢くような気配が広がっていく。


 カイトの目の前で魔法陣の中心に暗い渦が渦巻き始めた。それは、まるで宇宙の深淵を切り裂くかのような圧倒的な力を感じさせる。しばらくして漆黒の闇が渦を越えて、この辺りを支配するかのように溢れ出す。


 その闇の中から、黒龍が現れた。


 その姿は、黒曜石のような輝きを持ち、深い闇と神聖な光が入り交じったような、神秘的で威厳に満ちた存在。金色の瞳が静かに輝き、この辺りの空気を一変させる。鱗はまるで星々をまとっているかのように光り、翼が広がるたびに風を巻き起こし、周囲の空間を引き裂くような感覚を与えた。


 クラスメイトたちは、黒龍の出現に息を呑んだ。目の前に現れたその存在の圧倒的な力に恐れと畏怖を感じつつも、同時にその美しさと神聖さに心を奪われる。


 黒龍は、カイトをじっと見つめると、低く響く声を放った。その声は、風のように柔らかくもあり、山のように重くもある、異なる次元から響いてくるような感覚だ。


「汝、我を呼びし者か」

「はい、カイトと申します」

「ではカイト、試練を受けよ。我が伴となる資格があるか、見極めよう」


 その瞬間カイトだけを闇が包む。


「しばし待て、選択がなされた時全てが終わる。

カイトの選択が正しければ我と契約し、選択を間違えば我は帰り、二度と会うことはなかろう」


 黒龍はそう言うと満足したのかそれ以降話すことはなかった。 

 五分程経った時だろうか、カイトを包んでいた闇が離散し、カイトが現れた。


「……よかろう。我が名は《夜天の黒龍(やてんのこくりゅう)》」


 黒龍が静かに頭を垂れる。


「我と契約し、共に歩むがいい」


 カイトの手には、契約の証たる黒き刻印が浮かび上がり、黒龍は小さくなる。黒龍はカイトの隣に翼を動かしながら飛んでいる。



「カイトは黒龍……か。深淵の守護者にして神龍……すごいものと契約したな。俺に何かを言うことはできない……。次、レオン・ウェスティス。前へ」


「はい」

「自分のタイミングで魔力を込め、詠唱を始めろ」

「わかりました。……ふぅ、よし‼︎ 闇を照らす光のように、我が魂の呼びかけに応じその力を我が元に集めよ。魂の契約を結びし者よ、共に歩む運命の証として――《汝、我が力となり現れよ‼︎》」


 レオンの詠唱が終わると、あたりの空気がまた変わる。風が止み、音が消え、まるで世界が呼吸を止めたかのような静寂が広がる。


 直後に魔法陣の輝きが増し、白銀の光が渦を巻く。その光は徐々に形を成し、純白の毛並みを持つ狼の輪郭が浮かび上がる。やがて光が弾け、そこに巨大な白狼が現れた。


「……えっ」

レオンは小さく驚く。


「我は白狼のルキ。汝を主人と認め、共に歩むぞ」


「あぁ……うん。僕はレオン……。よろしく、ルキ」


 レオンは顔を引き攣らせたまま、少し落ち込んだ様子で召喚の儀を終えた。


「白狼か。聖獣がでてくるなんてよっぽど気に入ったんだろう。大切にしろよ」


「……はい」


 ルキは体を小さくし、シベリアン・ハスキーのような姿になった。幸い、寮の部屋の中から一度も出たことがなかったので元々契約していた聖獣だとはバレないはず……。


「では次、リアン・ウェスティス。前へ」

「はい」

「自分のタイミングで魔力を込め、詠唱を始めろ」

「はい」


 私は深呼吸をし、集中して詠唱をした。


「闇を照らす光のように、我が魂の呼びかけに応じその力を我が元に集めよ。魂の契約を結びし者よ、共に歩む運命の証として――《汝、我が力となり現れよ》」


 詠唱が終わった瞬間、空が一瞬の静寂に包まれる。

そして――雷鳴が空に響き渡った。大地が震え、天を裂くように眩い白雷が魔法陣を貫いた。

 雷光の中に、巨大な影がゆっくりと浮かび上がる。

燦然と輝く白銀の毛並み、四肢を大地に踏みしめるその姿は――白虎

 黄金の双眸がゆらめき、私を見据える。


「我は白虎のキース、汝を主人と認め共に歩もう」


「私はリアンです。よろしくお願いします」


 キースは体を小さくし、子虎になった。


「リアンは、白虎か。双子で聖獣に気に入られるとは、滅多にないことだ。大切にしろよ」

「……はい」


 私はレオンのを見てたからなんとなく予想はしていた。ルキが来るなら私の時はキースかもって。でも、期待をしたかった。新しい子が来るかもって‼︎


(私は知っていましたけどね)

(なんで教えてくれなかったの⁉︎)

(いや、とても楽しみにしておられたので)

(あ、そう……)

(はい)


「では、最後にサラ・ハーヴィング。前へ」

「はぁい!」

「自分のタイミングで魔力を込め、詠唱を始めろ」

「はぁい! えっと……。闇を照らす光のように、我が魂の呼びかけに応じ、その力を我が元に集めよ……。魂の契約を結びし者よ、共に歩む運命の証として――《汝、我が力となり現れよ》だっけ?」


 その瞬間空が穏やかなピンク色に染まり、柔らかな光が降り注いだ。周囲の風がひときわ優しく吹き、まるで大地全体が温かく包み込まれるような感覚に包まれた。

 そして、魔法陣に一輪の光の花が咲いたかと思うとその花の中から精霊が現れた。精霊は薄いピンク色の光をまとった姿で柔らかな微笑みを浮かべながら現れる。その姿はまるで夢の中から出てきたようで、光の花の中から現れる精霊は、儚く美しい存在だった。髪は淡いピンクで、波打ちながら肩を越えて流れている。目はエメラルドグリーンで、穏やかな優しさを感じさせる。


「あなたが私を召喚してくれたのですね。私は光の中級精霊、セリーヌと言います」

「……あなたじゃない」

 サラが小さな声で呟いた。


「何かおっしゃられましたか?」

「ううん、かわいいなって言っただけ! 私はサラ・ハーヴィングって言うの。これから……よろしくね」


「ハーヴィングは中級精霊か……。まぁ、これで全員召喚魔法で契約できたな。あとの時間は契約したものと親密度を上げる事にする。では、各々で始めるように」



「「「はい!」」」


 それぞれ、友達と一緒に固まって始めたり、一人で始める人もいた。

 私達は五人で固まって顔合わせを行うためにみんなとは少し離れた場所に移動した。





「ここなら大丈夫かな」


 私達はクラスメイトたちが遠くに見える範囲の場所に決め、円になるように座った。


「じゃあみんなで自己紹介しよう」

「ではリン様からお願いします」

「そうだね、リアンからにしよう」

「そうだな!」


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