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祝福された双子は私達でした⁉︎ 〜冒険者になるけど許してね?〜  作者: 桜夜
第2章 学園編

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021

薬草の値段を変えました

 私達は三十分ほどルーメリア草を採取したら、私とレオが持っている《無限倉庫(インベトリ)》に次々入れて行った。


 この無限倉庫は時間経過しないので温かいものは温かく、冷たいものは冷たく、新鮮なものは新鮮なまま出てきてくれる、便利なスキルだよ。

しかも収納したものの絵と名前、数が出てきてくれるのでとてもわかりやすい。

 出す時は絵か名前を押せば出てきてくれるのでもう手放せないスキルだよね。

 ちなみに入れられる範囲はわからない。前に試した時、用意したものは全て入ってしまい、容量の限界はないんじゃないかと考えた。


「私の方は一二八本ルーメリア草あるよ」

「僕の方は二一二本ある」

「では、二人の合計で三四〇本ですね。五人でそれだけ採れればいいんじゃないですか?」

「そうだね。じゃあ次は解毒薬に使われる、アスクレア草を探そうか。精霊がここから十五分ほど歩いたところに群生地があると教えてくれたよ」


「じゃあアスクレア草を探しに行こう!」




 私達はアスクレア草を採取するためにまた歩き始めた。


「魔物らしい魔物は出ないね」

「マスターも強い魔物は出ないって言ってたからね」

「でも、弱い魔物なら出るってことですよね?」

「そういうこと言ってると出そうだよな! ハハハッ」

「おしゃべりしながら歩くのもいいけど、ここは一応森だからね。警戒しなよ」


 ザッ!

 風もないのに近くの茂みが不自然に揺れた。


「なにっ⁉︎」

「ねぇ、今そこの茂みが揺れたよ!」

「魔物かもしれない、警戒してください!」


 次の瞬間、地を蹴る音ともに何かが猛スピードで飛び出してきた!


 それは一直線に私の元へ向かって突進してきて、額には小さくも鋭い角が生えていたウサギだった。


「ホーンラビットだ!」

 ハルトが魔物の名前を口にした。

「近い‼︎ 避けてください!」

 カイトがそう叫ぶ。


 私はほんのわずかに体勢が低くなっていたのが幸いし、頭上スレスレでホーンラビットの角が掠めていった。


「危なっ! ……」


 ホーンラビットはそのままの勢いで突進し、後方の木の幹に角を突き刺していた。

 私はすぐさま体制を整え、もがくように足をバタつかせているホーンラビットから一歩引いて深呼吸をした。


「……よし」

 

 魔力を練り上げ、指先に集中させる。風の流れを感じ、イメージを鮮明に描きながら言葉を紡いだ。

「《風刃(ウィンドカッター)》!」


 リアンが手を振ると、鋭い風の刃が生まれた。

 それは一直線にホーンラビットの首元を狙い――


 スパッ!

 空気が裂ける音とともにホーンラビットの体がピクリと跳ね、頭と胴体が切り離された。


「……倒せた、か」

 

 リアンが《風刃(ウィンドカッター)》を放ち、ホーンラビットを仕留めたその時――

「リアン、 こっちにも来てる!」

 ハルトの声が響く。


 視線を向けると、もう一匹のホーンラビットがレオンへ向かって突進していた。


「……レンっ《風加速(エアブースト)》!」


 リアンは風魔法を足元に纏わせ、一気に跳躍する。風の力で加速し、レオンの前に割り込むように降り立つ。


「レオには傷一つつけさせない‼︎  《風爆破(ウィンドブラスト)》‼︎」

 風の衝撃波がホーンラビットを正面から打ち付け、勢いを削ぐ。その隙にハルトが剣を構え、一気にとどめを刺した。


「リン、どうして僕の前に……」

「レンが危険だと思ったら、つい……」

「いや、ありがとう。僕も咄嗟で何もできなかった。魔法が使えたって実戦で使えなきゃ意味ないのに……」

「ハルトも最後、ありがとう」

「おう、気にするな!」


「……今日はもう帰りましょうか?」

「そうだね、精霊に魔物が出ない道を教えてもらいながら帰ろう」

「うん、そうしよう」


 私達はホーンラビットとの戦闘で色々と足りないことに気がついた……。







 私達は冒険者ギルドに戻りルーメリア草とホーンラビットを提出した。

「これ、依頼のルーメリア草三四〇本と、ホーンラビットが出てきたので二体討伐してきました」


「え、えっと……。ルーメリア草が何本だって言いましたか?」


「三四〇本です」


「どこにそんなに生えていたんですか?」

「森を歩いて十分ほどしたところに群生地がありましたよ?」

「そんな情報はどこからも聞いていないんですが……」

「えっ、そんなはずありませんよ……。実際に私達はそこで採ってきました!」

「少しお待ち下さい、マスターに確認いたしますね」


 五分ほどしてマスターが受付にやってきた。


「やぁ、ルーメリア草がたくさんあったって聞きましたよ? 一旦部屋で話しましょうか」

「はい……」

「では、行きましょう」


 私達は朝と同じ部屋に行き群生地があったところを話した。


「うーん、他の冒険者から聞いたことがないんですよ」


「でも、群生地があってその甲斐もあって、今回五人で三十分程採ったら三四〇本ありました」


「……もしかしたら精霊がいつもは隠しているのかもしれませんね」

「え、精霊がですか?」

「はい。今回はリアン君とレオン君がいた事とリック君が精霊が見えた事で、精霊が群生地に連れていってくれたんですね。君たちの役に立ちたくて」


「そんな事もあるんですか?」

「おそらく、ですけどね。普段は精霊が隠していて、君達に限り教えてくれているのかもしれません……。精霊から好かれている証ですね。次からは私が対応するので受付に来たら呼んでください」

「わかりました」

「では、ルーメリア草三四〇本とホーンラビット二体を鑑定しますね」


 マスターはそういうと最初はルーメリア草を手に取り次にホーンラビットを鑑定していった。


「こ、これは……。皆さんどういう保存の仕方をしてきたんですか?」


「時間経過のしない《無限倉庫(インベトリ)》に入れて持って帰ってきました」


「あぁ、それでこんなに保存状態がいいんですね。しかも全て……。君たち規格外ですね」


「ありがとうございます!」

「リン、褒められてないよ」

「そうですね」

「褒められている感じはしないよな」

「化け物みたいに思われてるよ」


 みんなが口々に言った。


「……ごほんっ! それでは鑑定結果です。

ルーメリア草は全てSランク採集として、十本一束で銀貨二枚と小銀貨五枚計算します。通常はここまで高くつきませんからね!

ホーンラビットは解体がされていないので解体費用を抜いて一体銀貨三枚で買取いたします。

合計金額が金貨九枚と銀貨が一枚になります」


「結構貰えるんですね」

「でもどうやって分ける? 金貨は一人一枚の銀貨が八枚、それで銀貨が一枚余るよ」

「では、今回は森の中でたくさん活躍してくれたリックにプラスしませんか?」


「私はそれでいいよ」

「それ、いいね! 僕もそれでいいよ」

「俺も」

「僕も」

「ではそうしましょうか。次からも活躍した人達にプラスしていきましょう」


「「「賛成!」」」


「では、マスター金貨を銀貨で貰えますか?」


「はい、大丈夫ですよ。それでは今準備をしてきますね、少々お待ちください」



「はい、お願いします」


 この世界の貨幣は小銅貨、銅貨、小銀貨、銀貨、金貨、白金貨とあるけど、白金貨は滅多に見れない。


 小銅貨は日本で言う十円、銅貨は百円、小銀貨は千円、銀貨は一万円、金貨は十万円、白金貨は百万円だ。今回の薬草採集だけで五人で五十万と少し稼いだことになり、一人十万円と少し貰える。


 そんな事を頭で考えていたらマスターが戻ってきた。


「お待たせしました、こちらが金貨五枚と銀貨が四十一枚です。お確かめください」


「「「ありがとうございます!」」」


 みんなでお礼を言った。


「では、今日はもう帰りますね。明日来れたらまた来ます」


「わかりました、お待ちしていますね。

あ、あと皆さん三ポイントずつ貯まれば昇格できますよ!」


「そうなんですね」

「意外に昇格早いね」

「そうですね」

「まぁ十ポイント貯まったら次のランクに行けるしな」

「そうだね、でもCランクからは昇格試験があるみたいだよ」


「そうですね、皆さん頑張ってくださいね。また会いましょう」


「「「はい!」」」



 私達は陽が落ちる直前に寮に戻り今日の森の中での戦い方について反省をした。


 みんな森の中で警戒心を持てなくて、ホーンラビットが現れてから警戒した事。

 他にも目の前に来ても戦闘体制にすぐさま入らなかった事。

 一番は魔物を殺すと言う覚悟があまり持てていなかった事。


それぞれ反省点はあったけど今、反省することができてよかったと私は思う。


もっと強力な魔物が現れてから後悔したって遅いのだから……。



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