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迷える君を 望む場所へと(書き直し前)  作者: 差氏 ミズキ
スタット大陸編
1/31

一話 旅の道中 偶然重なり


 

 俺…ヨウは…小さかった頃の記憶が無い。




 シンプルに忘れた…とか、そういうのじゃなく…その期間が丸ごと存在していない感じだ。




 お世話になっていた漁師のおじさん達の話によると、俺は記憶喪失…らしい。




 魚を獲ろうと海へ漁船を出して、しばらく海上を進んでいると、俺がプカプカと意識が無い状態でそこに浮かんでいた…らしい。




 それから6年間そこでお世話になっていたが、俺は突然にも旅を始めた。




 理由は、記憶の破片…?みたいな、断片が突然頭に浮かんだからだ。




 何処かの崖。


 西日に照らされてキラキラと光り輝く海面。


 何処までも広がる水平線。


 誰かの笑い声。


 暖かい空気。




 記憶の断片はその情報だけを俺に伝えて、それ以上は教えてくれなかった。待てど暮らせど…知らない筈の情報が更新されることはなく…俺は遂に痺れを切らした。




 居ても立っても居られなかったんだ。




 その場所の正体を突き止めたくて、身体がムズムズして仕方がなかったんだ。




 そのことをおじさん達に伝えると、思いの外、淡々と事は運ばれた。



旅をしたいです


あい、分かった。ほれ、これは軍資金だ。結構重たいから気をつけろよ



 といった感じだった。




 そうして始まった旅は、前途多難とか、井の中の蛙大海を知らず…だったかな?まぁ…そんな感じの旅を、最初の数ヶ月はしていた。




 だが…半年が過ぎて、俺もかなり一人旅に慣れた。




 目利き力の向上。


 サバイバル力の向上。


 交渉力の向上。


 基礎的な知識の学習。




 …とか、色々成長した。




 だから気が付いた。




 6年間お世話になっていた漁船は、密漁を生業とする犯罪グループの漁船だった事とか。




 普通は学校なる施設に通い、社会に出るために知識を沢山蓄える事とか。




 基本的には…誰でも、文字が読めて、書けて、正しく発音出来る事も。




 今のところは…5つの街に訪た。それで…各街の本が読める場所で、色んな人に読み方を訊きながら、着実に勉強をした。




 …で、現在。



「な…何だここは」


「あ、そこのお兄さ~ん!是非うちの店で愉しんでかな~い?可愛い子沢山揃ってるよ~」



 本日泊まる宿を求めて、夜に6つ目の街を宛もなくふらついていると、露店…バザール…?とは、また違う、そんな雰囲気な…大人?な感じの雰囲気な道に辿り着いていた。




 声を掛けてきた女性は…何か…肌のろ…?露出が多い。なんとなくだが、他の街の女性よりも薄着な気がする。



「えと…何の店…ですか…?」


「ん~…そうだなぁ~。あ、お兄さんみたいな格好良い人が、特別に可愛い女の子と寝る事が出来る。夢のようなお店だよ!」


「なぜ…可愛い女の子?と寝る必要が?宿…の亜種?」


「あ~…普通の宿とか探してたなら…ん~とね?…この道を抜けると何軒かあるよ」


「この道を抜ける…と。ありがとう…ございます」


「いいのいいの~、引き止めてごめんね~!……あ!そこのお兄さ~ん!良かったら……」


「…人を呼ぶ仕事…キャッチ?…なのか?」



 宿の場所を教えてくれた女性に軽く会釈をして、言われたとおりに道を進んだ。




 街の明かりが段々と少なくなり、いつもの見慣れたような…そんな感じになってきた。




 点々と明かりがあり、何らかのお店があり、お店とお店の隙間の空間に体育座りの女性がいたり。




 …………?




 点々と明かりがあり、何らかのお店があり………お店とお店の隙間の空間に…体育座りの…女性がいる。




 ホームレスだろうか?…だが…それにしては衣服が真新しく、眼の前まで近づいても異臭がしない。肌も綺麗で……綺麗…で……?




 何処かで見たのだろうか?…なぜだか…懐かしいような感じ?…雰囲気がある。……他人のそ…?…そら似なのだろうか?




 蹲るようにして視線を下ろしていた女性…少女?が、その目線を地面から俺の顔の高さへと上げた。



「…可愛い…女の子…」


「…ふぇ…?」



 思わずそんな言葉が溢れた。




 一つ目の街で食べた、ケーキのクリームのような色の髪…それと同色の瞳…。



「…綺麗だ…」


「ふぇ!?えと…あの…?」


「痛っ…!」



 唐突に頭痛が…!



「あの…?大丈夫ですか?」



 頭の中に浮かんだ…誰かの輪郭と、この女の子がリンクした。…パズルのピースの様に…林檎とその影の様に…ビタリとハマった。



「どう…されましたか?」


「き、君!名前は?」



 あまりの衝撃に、俺は思わず、女の子の肩を掴んでそう訊いていた。



「な、名前…ですか?」


「あ…えと…すみません…です?取り乱し…ました。すみません……!」



 名前を知って何になるのか…冷静さを取り戻し始めた俺は、女の子から手を離して、腰を曲げて謝罪した。




 俺らしくない…。…俺らしくない…?何がだ?



「セイって言います。…貴方は?」


「ヨウ…です。…どうして、こんな所に蹲って…たんですか?どこか、悪いところでも………あり…ますか?」


「すみません…!紛らわしいことをしてしまって…」


「あ!待って…ください!…セイ!」



 その場を去ろうと立ち上がった、セイの細い腕を掴んだ。



「セイ!何処かで、俺と会ったこと…ないですか!」


「…えと…分かんないです。…離してもらわないと、動けないんですけど…」


「あ…すみません」


「…失礼します」


「はい…」



 行ってしまった…。




 …また、会えるだろうか?




 セイの姿が、俺の知らない記憶を引き出した。その事実に俺は、セイが…俺の記憶を取り戻す、鍵になるのではと思った。




 あの…水平線の場所を、呼び覚ますことが出来るのではないかと…不思議とそう思えた。




 3日分…宿の部屋を取っておこう。




 出来るだけ記憶を引き出したい。




 利用…?の形になってしまうが、やむなしだ。




 …宿に行こう。荷物を置いて、風呂にでも入ろう。そうすれば、少しはこの鼓動も落ち着くだろうから。




   ▲   ▲   ▲   ▲   ▲




 あれから日を跨ぎ、図書館で本を読んで、文字の自主勉強をしていると、何やらワイワイと耳を突くような声が、館内に響き出し始めた。




 何事かと本から目を離し、ぐるりと周辺を見渡すと、俺と同等…かそれよりも若い、五人組の男女がスナック類をボリボリと食べたり、大きな笑い声を上げて笑ったりしていた。




 確か…ま…?…マナー違反だ。




 館内の入口や至る所に、うるさくしない、飲食厳禁とかが書かれている張り紙が点在している。




 目に入らなかったのだろうか?




 …まぁ、なら仕方ないか。張り紙の量を増やしたり…とか、してもらえば良い。




 …と、どこか他人事に…楽観的に…?最初は考えていた。



「はぁ!?あたしらが何しようが勝手だろ!」


「そうだそうだ~!年寄は引っ込んでろ~!」


「俺等に注意するとか、何様なの?」


「ヤンちゃんの機嫌を損ねるようなことすんな!解ったらさっさと引っ込めよ樹皮顔!」


「こ、困ります。館内には他の利用者が…」


「だから、俺等に注意すっとかさぁ…何様だよ!!ムカつくなぁ!一回で理解出来ないのかよ!」


「ちよっと~、マーくん荒ぶりすぎ~。めっちゃ怖いんだけど~」



 …………。




 俺が直接、あの人達に何かをされたという訳では無いが…これは…め…めも…目も当てられない…な。




 そう思い、席を立って問題の彼等に近づいた。



「あ…?んだよ?テメェも俺等に文句か?あぁん?」


「うわ~、完全に陰キャだ。いかにもって感じの陰キャだよ~。きっも~」



 陰キャ…ってなんだ?…後で調べてみよう。



「黙ってないでなんとか言えやごらぁ!」



 何にキレているのか、突如として男性がこちら掴みかかってきた。




 最近良いこと無かったのか…?だから、イライラしている…?



「苛ついた時には、深呼吸をおすすめ…します。少しは落ち着きますよ」


「はぁ!?」


「ップフ…!し、深呼吸って…あはは!」


「おいちょっと…!笑うなよ!…っクソ!恥かかせやがって……!その面へこませてやる…!」



 握り拳を此方の顔へ突き出してきた。




 ガコンと音がなり、周囲からスッと音がなくなってゆく。それでも唯一聴こえるのは、殴りかかってきた男性のく…苦しそうな声のみだ。



「っぅ~…!!」



 彼の手は…大丈夫だろうか?素手で打撃は、かなり手を痛めるんだ。特に…俺に対しては…。



「大丈夫…ですか?指が曲がって…ますけど…」


「っクソ!…っぅ~…!!何だテメェ!なんでそんなに硬ぇんだよ!ザッケンナッ!」


「えと…取り敢えず…?治しますね」


「…あぁん!?」



 男性の曲がった指に集中。



「痛いの痛いの…飛んで行け…?」


「何ふざけ…て…?……は、な、何だよ…治って…やがる…!」


「え~!?…こ、この陰キャ…!ヤンちゃんとは違うけど…特殊な力を!?」



 ヤンちゃん…?




 視線が集中する先へ…自身も視線を動かすと、テーブルに突伏?して眠っている少年が目に入った。




 整った顔立ちと…短い青髪…小柄な体躯?をしている。




 俺はヤンちゃん?に近づき、その容姿をまじまじと眺め…観察?した。



「あ、おい!あたしらのヤンちゃんに近づくなよ!」


「…ん…ん~…?…何の騒ぎ…?」


「あ、何でもないよ!」



 閉じていた瞳を開けて、真っ黒な…全てを吸い込むような瞳があ…顕?となる。




 俺と…同じだ。俺と同じ…真っ黒の瞳をしている。



「君が…リーダー?…ですよね?」


「……ヨウ?」


「…?はい。俺の名前…ヨウです…。…なぜ、俺の名前を?」



 真っ黒の瞳と目があった。




 パチクリと瞬きをしながら、俺の顔を見つめている。



「おい!何気軽にヤンちゃんと…」


「邪魔」


「…へ?ヤン…ちゃん?」


「邪魔…解る?」


「は、はい…!すみませんでした!」



 ヤンちゃんの邪魔にならないようにと、チンピラは…此方から距離を開けた。




 他の人達もまた、同じようにヤンちゃんから距離を開けている。



「ヨウは離れなくていいよ」


「そう…なんですか?」


「うん、僕から離れちゃ駄目」



 ヤンちゃんは俺の…格好?を観察し始めた。ジロジロと…彼の瞳は動いている。



「あの、ヤンちゃん?がリーダーですよね。此処の図書館は静かにするように…と、飲食厳禁と、張り紙がありました。是非…ルールを守るようにと、う…促してもらいたいんですが、良い…ですか?」



 俺の発言を聴き、ヤンちゃんはテーブルの上のスナック…他の人達を順に一人一人を目でなぞった。




 …注意出来たし、勉強の続きをしよう。




 そう思い、自身が元いたテーブルへと足を向けると、俺に抱きつくようにして腕が回され、後ろから静止?の声が上がった。



「駄目。ヨウ、僕のそばから離れないで」


「そういえば…ですけど、なぜ俺の名前を知っているんですか?…知り合いだったりしますか?」



 もしも、記憶を失くす前の知り合いだとすれば…この時間に価値が生まれる。…そうじゃないなら、俺は勉強に当てたい。




 …いつの間にかヤンちゃんの…仲間?が居なくなっている。罰を受けるのが怖くて…逃げたのだろうか。




 俺も、大きな魚が捕れなかった時は…棘が付いた鞭で、背中を打たれた。




 確かにあれは…逃げ出したくなるほど痛い。…けど、自らの失態だから、ちゃんと報いは受けないといけない。…館長さんが許すなら、鞭はないだろうけど…。




 俺の質問に答えるように、ヤンちゃんは座った体勢?のまま言った。



「覚えてない。…けど、ヨウの名前と、見た目は覚えてる。この匂いも…」


「…………」



 ヤンちゃんの容姿を今一度確認した。




 整った顔立ち…青い短髪…真っ黒な瞳。



「匂い…?」



 …懐かしいような…爽やかな…匂い…。



「君…俺と行動しませんか?なぜだか、君の事が…気になります」



 記憶を取り戻す手掛かりになるかもしれない。そう思い、ヤンちゃんに提案をした。



「する!僕も君が気になる」



 俺からの突然の提案に戸惑うことも…た…躊躇う?こともなく、ヤンちゃんは元気に即答した。




 勉強に使用していた本を元の位置に戻しに行こう。と考えて…その場から離れると、不意に袖を惹かれる感覚が。



「連れてって」


「…?」


「僕、足無いから」



 その言葉に俺は驚き、思わずヤンちゃんの足元にしゃがみ込んでしまった。



「本当に…足が無い…。これは…残念ながら…元の形を知らないから治せないな…」


「そんなに見ないで。…恥ずかしい」


「…あれ?スカート?じゃないか…?この………ヒラヒラとした股引は。…つまり?」



 俺はしゃがんだ姿勢のまま、ヤンちゃんの顔を見上げた。




 整った顔立ち…長い睫毛…綺麗な二重…ぷるっとした唇…まるで…女の子のような顔立ち…。




 再び視線を下ろし、ヒラヒラのスカートへと向き直る。




 そして、どこからから吹いてくる都合の良い風。




 靡くスカート。




 見える肌色。




 目と口が閉じない俺。止まった思考。




 スカートがバッと抑えられ、ようやく俺はハッとした。目線を上に移動させると、ヤンちゃんの真っ赤な顔が伺えた。



「完全に見られた…どうしてこのタイミングで風が…?」


「…まぁ、解った。本を片付けて…きますね」



 俺は勉強用に読んでいた本を戻して、彼女の下へ再び戻って来た。



「服屋さん…に、行きましょう」



 ヤンちゃんを抱き上げて、図書館を後にし、服屋さんへと移った。




 道を歩く俺達を、通りをゆく人々がギョッとした表情で二度見三度見していた。…そのたびにヤンちゃんのスカートを抑えたが…違うものを見ていた可能性も…えー…い、否めない。



「どれがいい…ですか?」



 女性用の下着があるコーナーへと足を運び、ズラリと並んだソレを指し示して訊いた。




 …だが、ヤンちゃんはただモジモジとしているだけで、答えようとしない。どれを履くかを知られるより…何も履いてない方が恥ずかしいと、俺は思うのだが…。



「あまり長居はしたくない…です」


「…ヨウが選んで」


「じゃあこれで」



 一番近くにある下着を手に取り、レジへと向かい、ソレを渡した。黒い…なんかフリフリとした装飾がある…下着だ。




 店員さんに変な顔をされたが、やむなしというやつだ。俺はどうでもいい。だから…さっさとやってくれ。



「ありがとうございます」



 代金を支払い、目的の物を得ることが出来た。ので、自身の部屋取っている宿へ戻って来た。




 俺は下着に付いているタグを素手で千切り、ヤンちゃんへとソレを差し出して廊下に出た。後は彼女が履くのを待つだけだ。



「履いた」



 待つこと数十秒、部屋の中からその声が聴こえた。




 廊下から室内へ移ると、どこかソワソワとしたヤンちゃんと目があった。




 普段から履いていない…と仮定すれば、なかなか落ち着かないものなんだろう。異物感があったりしそうだ。



「ヨウは…旅をしているの?」


「ああ…じゃなくて、はい。一人で旅をして…です…ます?」



 俺の人間サイズのリュックを見て、そう思ったんだろう。…そろそろ新調した方が良さそうだ。解れが…かなり目立ってきている。




 今日の予定を再構築しよう。




 本来なら…夜まで言語の勉強をして、昨日と同じ場所へ向かい…セイと言う名前の女性を探すつもりだった。



「セイ…という女性を知らないか?…知らないですか?クリームみたいな髪と瞳の…俺と同じぐらいの年頃…なんですけど…」



 俺は尋ねた。一か八か。




 もしもヤンちゃんが彼女を知っているならば、時間の短縮になるし、この海岸沿いの街の散策も出来る。




 そう…俺は海岸沿いの街を転々と旅している。




 そうすれば…いつかは辿り着ける筈だと思う。毎日のように夢で見る景色は、海沿いの崖の上からの景色だから。



「セイ…?その名前も知ってる。顔も声も…」


「ほ、本当か!…ですか!」


「うん…私の力で、探してみる」


「力…?…取り敢えず…お願いします!」



 力…か。




 俺の6年前から始まっている記憶を探る。




 やけに頑丈なくせして痛覚は人並みの身体。何故か使える治癒能力。一定の長さまでしか伸びない自身の髪。遠くまではっきりと見ることができる視力。一回みたら覚えられる脳みそ。




 そのどれもこれも、普通じゃないらしい。…俺には解らないけど。




 この子も…ヤンちゃんも俺と同じっぽい。俺の顔面に打撃を加えた男性が…それらしい事を言っていた。



「そういえば…あのチンピラ達とは、どういう経緯で行動を共に…?したんですか?」


「あの人達は…僕がお金を持ってたから、勝手に持ち運んだりとかしてきただけ。ほんの数日の関係」


「かなり入れ込まれていたよう…でしたけど」


「他のチンピラをぶちのめしたら…なんか懐かれた」



 と…此方に両手を伸ばし、抱っこをするようにとヤンちゃんは促した。



「位置が判った。運んで」


「おお!…是非案内してほしい!…です…」



 ヤンちゃんを抱き上げて、荷物も最小限に宿を出た。




 彼女の案内どおりに右へ左へ、結果的には想定よりも遠い場所で、俺の目的の人物を発見した。



「あの子?」


「そうです。ありがとうございます、ヤンちゃん」



 ヤンちゃんの頭を撫でながら感謝を伝える。




 どこか恥ずかしそうに胸の中で俯いたが、褒められ慣れていないという事なのだろう。




 これから旅を共にする仲間だから、できるだけ好感度のほ…保持増進?はしていきたい。旅の中で唐突に途中下車される…なんてのは、個人的に感化できない。



「見つけたのはいいけど、セイ、乱暴されてるね」


「ああ、痣が服の隙間から沢山見え…ますね。……迎撃しに行きましょうか」



 物陰から身を乗り出し、セイと男達の間に足を一歩踏み入れた。



「貴方は…!ヨウ…さん…!?どうして此処に…?」


「君と話をする為に…です」


「あんだテメェ!邪魔すんじゃねぇぞ!」


「兄貴!こいつも、ぶちのめしましょうよ!」


「あたりメェだ!だが…服の下だぞ!解ったらさっさとボコせ!手下共!」


「と、いうわけで…この現場見られたらには、口封じするしかないのよ…俺ちゃんも心が痛むけど…半殺しだァ!!!」



 この街の治安はどうなっているんだ?この調子じゃ、この街の警察もたかが知れているな。



「来るよ」


「…?そうですね」


「おらぁ!死ねやぁ!!」



 チンピラの一人が俺の腹部を殴った。



「っ…痛ぇぇぇーーー!!!」


「何だ!?こいつの身体硬すぎだろ!」



 自身の拳だった肉を抱えて悶える男性。




 それならと金属パイプを徐ろに拾い上げて振るう別のチンピラ。



「流石に鉄は効くだろ!!」



 意気揚々とソレを俺の足に目掛けて振るった。…が。



「……………は?」


「ま…曲がった!?金属の…鉄のパイプだぞ!?」


「一応痛いんだけ……ですけどね。頑丈な身体なんです」


「ふ、ふざけやがって!」


「ッナイフだー!!死にさらせー!」


「あ、おい!殺しは駄目だ………あ?ナイフが…折れた…?」



 痛い。本当に痛いんだ。…何も外傷はないけど。



「あの、もう止めてもらえますか?痛いです。…これ以上は反撃しますよ」


「痛いんだ」


「ああ…痛い」



 すんとした俺の表情が気に食わないのか、兄貴と呼ばれていた大男が、俺にタイマンを申し込んだ。



「おい!頑丈糞緑髪野郎!」


「…俺?」


「ここに緑髪はヨウだけ」


「酷すぎない…?ですか?」


「俺と、一対一…タイマンしろや!」


「え…嫌ですが…」


「あぁん!?拒否権なんてねぇよっ!」



 メリケンサックを手に嵌めて、俺に殴りかかる大男。



「耳と目が狙われてる」


「…なんでわかるぅ!?…だが、そこはどうしようもねぇだろ!!」


「…なんで…俺がぼったちしたまま動かない…を前提にしてるのか…解りかねます」


「うぷぉっ!?」


「あ、兄貴ー!!」



 金的が綺麗に入った。




 南無三。



「よ、よくも兄貴のタマをー!!」


「お揃いにしますか?」


「ひぇ!?」



 兄貴兄貴と嘆く男性に一歩を踏み込むと、途端に水の音が聴こえ始めた。




 …どうやら、失禁してしまったらしい。可哀想に。




 南無三。



「わこっ…!?」


「容赦無いね」


「喧嘩なら普通だろ?…ですよね?」


「女で良かった。あんなの…想像したくもない」



 頭がやられたことで、股間を押さえて戦意を喪失したチンピラ達に顎で解散を促すと、蜘蛛の子を散らすように一瞬で逃げていった。




 せめて…この負傷者達は持っていってほしかった。




 痣だらけの女性、セイに向き直り、手を伸ばした。



「良ければ…俺と話をしませんか?」


「完全にダークヒーロー」


「…?俺はヒーローになったつもりは無いですが…」


「怖」


「えぇ…?」



 ダークヒーローから手を伸ばされたセイは、その手を取るのか迷っているようだ。




 客観的に見ても、主観的に見ても、完全に不審者である事は知っている。




 足のない少女を抱いているのが、そのふ…不信感を跳ね上げているのも、よくよく理解している。



「場所を移しましょう。此処は…不健全なので」


「自分でこの状態にして、ソレをどういう心境で言ってるの?」


「大半は自分でこうなった…ですけど」


「あの…えと…助けてくれて?ありがとうございます…?」


「別に俺は助けてない。何かこうなっただけ…です」


「す、すみません…今は足に力が…」



 どうやら腰が抜けているようで、立ち上がれないようだ。




 …なら。



「え、ふぇ!?あ、あの…?」


「気にしないでください。落ち着ける場所に移動するだけ…です」


「すごい筋力だよね、ヨウって」


「マグロとか…ダイビングで捕らされた事あるから…多分それで上がった…と思う…ます」


「マグロを泳いで捕まえてた?」



 右手でヤンちゃんを抱き、左手で米俵を持つようにしてセイを抱えた。




 場所は代わり、宿の一室に。




 流石に腕がパンパンだな。プルプル震えないように我慢するのには、かなり堪えた。




 それにしても…どうして通りをゆく人々は、俺を視界内に捉えるたびに立ち止まり、マジマジと見つめてくるのか。理解が出来ない。セイの持ち運び方が悪かった自覚はあるが…それか?



「セイ、俺がしたい話は…ですね…」


「まずは世間話からでしょ」


「俺は時間を急くタイプ…です。なので…益のある情報を先に引き出したい…です」



 それに、セイを長く引き止めるのも悪い。彼女は既に…手当も済んで、普通に歩けるようになっている。帰る場所があるのなら、暗くなる前に返したい。




 こんなに治安が悪い街だと…夜に暴動が起きる可能性は…かなり高いだろう。簡単に…予測出来る。



「君が、俺の記憶を引き出す…鍵になると考えた…です。ので、少しだけ協力してもらえれば…と思います」


「記憶を引き出す?ですか?」


「ああ、そうです。記憶喪失で…記憶がないのに、君…セイをひと目見た時に、き……既視感?を覚えました。…誰かに、似ている気が…します」


「記憶喪失…私が誰かと似ている?あの、私、お兄さまはいますが…彼は多忙な人なので、他人のそら似なんじゃないかと…思うんですけど」


「…そうですか。お…思い違いをしてしまい、すみませんでした。家まで送ります」


「い、いえ!こちらも…お役に立てずにすみません…あ、あと、一人で帰れますので…その…お気遣いは…」


「3回は見ました」


「はい…?」


「え~…外で…男性に犯されていた女性を」


「え…」


「助けなかったんだ」


「俺とは関係ないし…助けて何になる?ですか?…セイは、記憶を紐解く手掛かりになると…そう感じたので助けました」


「…その現場の被害者が僕だったら、助ける?」


「助けるだろ?ヤンちゃんは…サーチ役として…俺にとって有益なヒト…ですから。……暗くなる前に送ります。お家は何処ですか?」


「友達出来ないタイプだ…」



 宿から出て、少し赤みが増してきた通りを進む。置いていこうとしたのだが、ヤンちゃんも一緒だ。




 セイの隣で周辺を警戒しながら歩いていると、水平線が見渡せるような…海沿いの道に入った。



「ここも違ったか…」



 どんなに歩けど、夢で見る景色と重なる場所は見つからない。…明日には街を出て、次の場所に向かおう。




 それからも海を眺めて、それらしい崖を探していたが…か、芳しくない結果となった。



「ここまでで大丈夫です…わざわざ、ありがとうございました」



 セイは此方に向き直り、そう言葉を発した。




 民家一つ無さそうな場所だが…スラム街でもあるのだろうか?…だが…スラムで生活していると仮定して、やけに綺麗な服と肌に…違和感を覚える。



「本当にこんな所で良い…ですか?この先にお家が…あるんですか?」


「…はい。帰るべき場所があります」


「そうですか…では、俺達はこれで…」


「ありがとうございました…」



 深々と頭を下げてきたセイから…俺は振り返り、両手でヤンちゃんを抱えながら…来た道を戻り始める。




 そうして歩くこと数十秒後、ヤンちゃんが俺の耳に口を近づけて…囁いた。



「あの子…死んじゃうよ」


「なぜだ?ですか?」



 聴こえた内容に…思わず疑問の言葉を漏らすと、瞬間、森がざわめき始め…海が荒々しくなり…空の色が黄色く…。



「…これは、知ってる。7年前にも…見た…気がする」


「…………」


「ヨウ?」


「っはぁ…っはぁ……っはぁ…っはぁ…!」


「ヨウ!大丈夫!?」


「っはぁ…っはぁ………!」



 頭が割れるように…痛い!喉が圧迫されているかのように…苦しい…!





 黄色い空。


 荒々しい高波。


 誰かの悲鳴。


 伸ばされた誰かの腕。


 スクヴァー村…?




 スクヴァー村…俺の…俺の…故郷…。



「ヨウ!!」


「思い出した…故郷の名前…スクヴァー…!」



 …この…〝金色の厄災〟という名の自然現象は…知っている。俺は一度体験…していたのか…。



「セイやそこに暮らす人々を避難させないと…!」


「ヨウ…?」



 一心不乱に走り出し、地面を抉りながら進む。




 今は比較的落ち着いた波だが…あと数分もすれば、崖なんて名ばかりの存在となるだろう。波のほうが高くなるのだから…。




 もっと速く…!走れないものか…!




 そんな心の叫びが起因してか、俺の身体はキシキシと変な音を立てながら、真っ直ぐに放り投げたボールを…自力でキャッチ出来るくらいに加速していった。




 一歩進むごとに、変わっていく景色。海に目が動き…知らない崖が…そこにいる女性が…目に入った。…セイだ。




 なぜ…崖なんかに…?そんなところに集落は見当たらないのに…いや、そもそもの話だ…。




 道が途切れた。この先は何も無い。民家も、誰かが居る痕跡も…何も無い。




 生い茂る木々が…ただ鬱蒼と…ところ狭しと壁を作っていた。




 こんなところに…スラム街なんて出来ない。




 人なんて…住めない。



「あそこ、セイが立ってる」


「っ…!?」


「何あれ…見たことないくらい…高い…」


「空を反射した…〝金色の高波〟…!」



 アレだ!アレだ!アレだ!




 俺の…記憶が…魂が、そう叫ぶ。




 アレに飲まれたんだ。俺は……故郷は…。




 カイ…俺の弟も…!



「カイ…?」


「ヨウ!速く助けに行かないと!それとも…もう…彼女に益は感じない?」



 俺には…弟がいたのか?カイ…?…どんな姿の?




 ……今は…そんな事を考えているほど、余裕は無いみたいだ。




 今…行く…!




 ガキンガキンと金属音が背中に響く。身体の内から何かが飛び出した感覚が…。



「鉄の翼?」


「ヨウ…何…それ」



 身体の内側が燃え上がるように熱くなり…鳥の翼を模した鉄板の根本の筒?から、ボッと炎が吹き出され始めた。





 身体が浮かび…地面から足が離れる。地面が遠くなる。



「これは…なぜだ…知ってる」



 身体を傾けて、噴射口を閉じた。




 風を切り、セイの下へと一直線に滑空。なぜ…身体が硬いのか…それは……俺が…機械の身体だったから…?…解らない。




 なぜ…今…起動したのか?…なぜ…使い方を知っているのか…?…俺には…解らない…!



「ヤンちゃん…俺は…ヒトですか?」


「わ、判らない…!今はただ…高すぎて怖い!」


「そうですか。安心してください…すぐに…終わります」



 片腕でガッシリとヤンちゃんを固定して、残る右腕を用いてセイを、黄金に飲まれる…間一髪で拾い上げた。



「ふぇぇ!?よ、ヨウさん!?」


「勝手ながら…再び街まで行かせてもらいます。偉い人に告げて…放送が出来る施設に連れてって…それで…」


「む、胸!胸にヨウさんの手がぁ…!」


「些細な事だ。気にしない…でください!」


「う…うぅぅ…」



 身体を傾けて再び高度を上げた後、ふと…セイが居た崖をチラリと伺った。




 …完全に飲み込まれている。




 このまま放置すれば…十分と経たずに街まで浸水する。




 だが…この滑空速度なら、一分と十数秒で到着する…!




 そうして降り立つのは、この街を運営をしている…偉い人のお家だ。




 扉をノックしてその人を呼んだ。




 その人が扉を開けて出てくるまで…延々と…ノックし続けた。



「何じゃ…まったくもう…」


「爺さん!アポ無しの訪問は申し訳ないが、訊いてほしい…です!」


「な…何じゃ?そんなに緊迫した顔をしおって…」


「〝金色の厄災〟が始まった!早く街の人達を避難させてください!」


「な…なんじゃと!?それは本当か!?」


「放送が出来る施設まで運びます…!案内を…!」


「…放送なら、儂のこの家から出来る…!ちょっと待っとれい!…あ、お主たちは先に避難しておれ!」


「助かる。ありがとうございます」



 さて…人まずは安心だ。




 宿から荷物を回収して…一足先に高い場所に移動しよう。



「うぅ…あの…もう、いいですか…!」


「ああ…すまない。忘れてました」


「こ…怖かった~」


「ヤンちゃんは高所が駄目なの…ですか?」


「高い所と大きいモノが駄目…怖い」


「こ…?考慮します。すみませんでした」



 ヤンちゃんの頭を撫でて、彼女を落ち着かせながら避難を始める。その頃には爺さんの放送が、街中に響いていた。




 俺と同じ方向へ足を動かす民衆。




 表情は人それぞれで、爺さんが放送で伝えている災害を、正しく理解している人…イマイチ状況が飲み込めていない人…こんな状況なのに、ひったくりをする人…。やはり…この街はダメだ。




 リュックを背に…右手でヤンちゃんを運び…左手でセイの手を引く。




 避難場所である山の上のキャンプ場に到着。




 そこから見下ろす街は、既に黄金が軽く敷かれている。



「レイー!レイー!どこにいるのー!…まさかあの子…逃げ遅れたんじゃ…」


「ヨウ、どうする?」


「…レイの場所を探知してほしい…です」


「…………」


「どうだ…?」


「死んでる」


「…そうか」



 レイを探す女性のもとへ赴き、一言伝えた。



「レイは死んだ。避難場所で大人しくしていてください」


「え…な、何言ってるのよ!!ふざけないでちょうだい!レイが…死んだなんて…!」


「…もしも信じられないなら、探しに行くといい…です。レイと会うか、ここで乗り越えて生きるかは…貴方が決めることなので…」



 それだけ伝えてその場を離れた。




 口論なんて時間の無駄だ。




 ………まだ、放送が聴こえる。




 気が付いた。まだ…爺さんの声がスピーカー越しに聴こえる。避難を促すメッセージが…延々と繰り返し…波の音と共に。



「セイ、少しだけ…ヤンちゃんの世話をお願いします。あと…リュックの管理も頼みます」


「ふぇ…?は、はい…!分かりました!」



 ヤンちゃんをセイに預けて、爺さんの家に…鉄の翼を広げて直行した。




 腰の高さまで上がった金色の…だ?濁流…が、民家の壁を次々と突き抜けていく。その水面には…何も浮いていない…空の色を反射するばかりで、全てが沈む。本来浮くものでも…底まで持っていかれる。




 これが…〝金色の高波〟の性質だ。




 そして、ゴポッと音を立てて途切れる爺さんの声。




 その後に…辛うじて切ったのだろう…放送は終了した。



「あった…爺さんの家!」



 俺は屋根を突き破り、中へと入った。




 これは酷い…全てが沈み始めている。



「ゴボゴボ…」


「そのまま手を上げててくれ!」



 少しずつ沈んでゆく爺さんの手を取り、そのまま屋根上まで上昇した。



「もう大丈夫だ。街の人達の為に…こんなにギリギリまで耐えてくれて…ありがとうございまし……た?」



 嘘だろ…?やけに軽い…手に力が入っていない…嘘だろ………?



「………クソッ!」



 俺はソレを確認せず、金色のプールへ落とした。




 少しして聴こえるぽちゃんとした音が…俺の心をざわつかせた。




 彼は必要な人だった。…街の治安管理は駄目だが…街の人を愛しているのは…今回の件で伝わった。




 南無三…!




 俺は再び…避難場所まで帰ってきた。



「ヨウ……泣いてる」


「アレでも海水…です。海風が目に染みました」


「ヨウの場合は、本当にその可能性があるよね。…ヨウって…人間?」


「ヤンちゃんが解らないなら…俺にもさっぱりだ…です」



 リュックを背負い、セイからヤンちゃんを受け取った。



「次の街に行きましょう」



 この街に滞在する理由はもうない。此処の海岸も…違った。




 次の街で…スクヴァー村について…7年前の〝金色の厄災〟について調べよう。…それで、街の人にも聴いてみて……………。




 …………そもそも…だ。




 次の街は残っているのか?




 …行ってみて…無かったら…内陸側の街に行こう。そこでも、調べものくらいは出来る。




 もう空も暗みを見せ始めている…早く移動して、次の街に……。




 ……空が黄色じゃなくなっている。



「ヨウ!あれ…!」


「…海水が…引いている?」



 それに…崩れたはずの家が…何もなかったかのように…もとの形を維持している?



「レイ…?レイー!良かった…生きてたのね…!」



 街に向かい駆け出した女性。



「そんな馬鹿な…確かに、レイは死んでた。のに、今は探知が効く」


「アレは…爺さん?」



 ゾロゾロと街に戻っていく人々、呆然と立ち尽くす俺とセイ。驚きから目が動かないヤンちゃん。




 何なんだ…〝金色の厄災〟は…。



「行こう…次の街に移ろう。……セイ、君も…俺達と来てください」


「私も…ですか?」


「死にたい、は…満たされたでしょう。君は…あの時、自殺をする予定だったんだろ?…一度、死を本気で覚悟した…なら、一度死んだも同然です」



 賑わいを見せ始めた街を尻目に、俺は歩き出す。



「俺には…君も必要です。一緒に旅をしましょう」


「私が…必要?」



 この時間帯はすぐに暗くなる。ので…今セイが渋るのは…端的に言えば時間の無駄だ。



「あ…」


「行きましょう。夜は危険ですので」


「僕には…危険だって言わないの?」


「ヤンちゃんは護りきる自信があります。…ですが、セイ…君は自由に動き回れる。俺にはどうしようもない」



 セイの手を引き、強引に次の街へと歩き始めた。



 セイの手が…俺の手が離れないようにと……



 強く握り返してくれたことに……



 俺は…安堵した。



「セイ…ヨウに惚れた?」


「ち、違います!多分…違います…」



 俺達は旅をする。記憶を取り戻す為に…




 そして…




 〝金色の厄災〟について深く…知る為に。

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