ep.1 あのひ。
こんにちは!晴春述といいます。これが初投稿です。Nolaノベルでも活動をしています!恋愛モノです!どうぞごゆっくり!
春頃とはいえ朝はまだ寒い。
晴人はふわー、とあくびをした。
朝に弱い母や父、妹の優花はまだ起きていない。
独りで朝食のコーンフレークを済まし、友人からのLINEやInstagramのDMの通知を確認し、歯を磨き髪をとき、バッグを担いで家を出る。
晴人の中学校のバッグはまだ手提げの革のバッグで、重い。少し曇り空の春風が感ぜられる。晴人は短い通学路となっている道を急いだ。
普段ならこんなに早起きはしない。美化委員の朝の清掃担当が回ってきたからだ。面倒くさいの一言だ。委員会という名誉と仕事の少なさを理由に選んだのだから当然か。
歩くにつれて校門は近づいてくる。
校門に入り、近くの木に荷物を立てかけ、掃除用具を持ち、体育倉庫へ向かう。グラウンドの白線用の石灰の掃除だ。
体育倉庫にいくと、もうすでに佐野さんが待っていた。
「おはよ」とこちらに挨拶をした。
おはよーと返して、じゃあ、始めるか……と、晴人は体育倉庫の少し重い戸をガラガラ……と開けた。
どすん、と思い音がした。
「うわあ……真っ白だ……」顔を顰めた。
「ほんとだね……埃もすごいまってる…………うぐっ」そして、佐野は嗚咽して、酷い咳を出し始めた。
「大丈夫っ?」俺は訊いた。それでも咳をするので、俺は近くの佐野の水筒を手渡した。佐野はそれをありがと、と受取り、喉に流した。そのおかげで、少し良くなった。
改めて倉庫の中を覗くと、石灰が雪崩でも起こしたかのように崩れていた。おそらく、扉を勢いよく開けたときに袋ごと棚から落ちたのだろう。
「大丈夫?……ごめん。俺が雑に扉を開けたから……」
佐野は、大丈夫だよ、といって立ち上がろうとしたが、これ以上吸ったらまずい、と説得して俺一人ですることにした。
結論から言うと、倉庫の煙たさは半端なものではなかったが、佐野のためにも、少し堪えて掃除を終わらせた。
ふう、とため息を付いて箒を返した。
「じゃあ、もどろっか」
「うん、そうしよう。そして……今日はありがとう」
「べつに……たいしたことないよ」俺は少し照れくさくて頭をかいた。
初めて話すひとだったけど、(席は離れていたのだ)少し仲良く慣れてよかったと思う。
△△△△△△
それは、ある総合の時間のことだった。席替えをして、なんということだろうあの佐野と席が隣になりましたっ!といっても、新学期なので知っているひとこそ少ないので、これは嬉しかった。そして早速佐野から視線を感じる。
「あ、田村!」佐野が目を細めていった。「となりだ」
俺は、うん、と頷いた。しかしなぜか佐野がずっとニヤニヤしている。視線はこっちに向いたままで。正直言って何がそんなに面白いのか分からない。どうかした?ととりあえず聞いてみたが、べつに、とはぐらかされた。
そして事件は起きた。
「SDGsについて班で話し合ってもらうので、机をグループにしてください」
お読みいただきありがとうございました。これからも連載続けていくのでよろしくお願いします!