ホトトギスと金木犀
縁側のホトトギスの花が咲き始めた。
紫色のホトトギスは、私には毒々しく見えて、あまり好きになれない。
お義父さんとお義母さんが畑や花壇を手入れしてくれている。
春はチューリップ、梅雨は紫陽花、夏はひまわり、秋はホトトギス、冬はクリスマスローズ…一年中、花が見られる。
駐車場の壁を壁面緑化したいと薔薇を植えているのをみた。大変だなと思った。
この家は、ある意味私の家ではない。
私の好きなようには、できないのだ。
ホトトギスは、毎年咲くだろう。
いつかの私は、ホトトギスを好きになれるだろうか。
散歩に行こうと外に出ると金木犀の香りが広がっていた。
家と畑の間にある金木犀。
畑側の窓2つ、キッチンとトイレの窓を開ける。
窓を開けたら、家の中でも金木犀を感じることができる、最高だ。
私は金木犀が大好きだ。
香りもいいし、花もカワイイ。
何の手入れもしていないが、毎年秋が来たよと優しく知らせてくれる。
これ一輪挿しにどう?とホトトギスをもらった。
葉っぱの裏には毛虫が隠れていて、知らずに触れてしまった。
チクチクした。
旦那がムヒを塗ってくれた。
相変わらず、優しい旦那だ。
ホトトギスが好きではないが、もらったから暫く飾るしかない。
あまり好きではない花を飾る。
子どもを望んでいるなら、2人で病院に行った方がいいとお義父さんに言われた。
もう20代じゃないんだからと言われた。
旦那は一足早く40代、私もまもなく40代だ。
心がチクチクした。
心に効くムヒがあればいいのに。
旦那はメンタルが強いから大丈夫だろう。
もし病院行った時に、私の方に問題があった場合は耐えられるだろうか…
急に実家に帰りたくなった。
私の親は絶対に子どものことは言わないだろう。
私の親は、私の弱いところを知っている。
いつも守られていたのだと今になって気づいた。
もしダメになりそうな時は安心安全の実家に帰ろう。
ホトトギスを眺めたら、俳句を思い出した。
鳴かぬなら 放してしまえ ホトトギス(明智光秀)
鳴くまで待とう、殺してしまえ、鳴かせてみせよう…どれも私にはコワイなと思う。
放してしまえは、優しさを感じる。
歴史はあまり詳しくないし、興味もあまりないが明智光秀は知りたいと思った。
私も解放されたい。
今はとても窮屈だ。なにもかも。
ホトトギスの一輪挿しをそっと金木犀に変えた。
好きな花を眺めると気持ちが落ち着く。
ここは私の家だ。
私は、私のしたいことをしてあげよう。
この先のことはわからないけど、旦那とはこの先も一緒にいられたらいいなと今は強く強く思う。