表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/9

2.生まれ故郷の孤児院を訪問した私は、虐待されボロボロになった少女と出会う。彼女は私の姪っ子でした。

 それから月日は流れ……


 私は今、外交で生まれ故郷のリーン王国に帰って来ています。

 結婚してから初の帰国だから、結構緊張したけど。


 とは言え、仕事はもう終わり。


 今、私はリーン王国の王都にある、国営の孤児院に来ている。

 ここで子供達と交流した後、帰国する予定だ。


 事前に見た資料によると、子供の数は二十五人。

 結構な数だ。


「はい、皆さん。今日はアルテリア王国の、アイナ王妃陛下が会いに来てくれました。皆、挨拶してね」

「はーい!」


院長の言葉に、子供達が元気に挨拶する。


「皆、初めまして。アイナ・アルテリアです。皆の名前、教えてくれるかなー?」

「わたし、ミーナ!」

「ばくはガイウス!」

 ……


 子供達が次から次へと自己紹介する。


 全員の名前を聞き終わった後……


「あれ?」

「アイナ様、どうかなさいましたか?」

「子供の人数ですが、二十四人でしたよね。確か資料では、二十五人でしたが」

「え、えーっと……それは…………そ、そう。感染する病気にかかったので隔離しているんです」


 怪しい。

 明らかに目が泳いでいる。


「嘘ですね」

「……も、申し訳ありません。ですが……これはその…………」

「連れて来なさい」


 私は強い口調で言う。


「し、しかし……」

「連れて来なさい!そう言っているのです!」

「わ、分かりました……」


 再度強い口調で言うと、ようやく了承してくれた。


「で、ですが。その、問題が起こる可能性がありまして……」

「もし問題が起きても、決してあなたを責めない事を約束しましょう」

「あ、ありがとうございます」


 私の言葉を聞いた院長は駆け出し、数分後、一人の女の子を連れて来た。


「な……」


 私は、思わず絶句した。


 連れて来られた女の子は、痩せてボロボロだった。


 この孤児院の子供は、確かに裕福ではない。

 でも、きちんと食べているし、服だって直した後はあるけれどちゃんと着ている。

 怪我している子供もいるけど、ちゃんと治療されている。


 でも、この子は違う。

 髪はボサボサで服はボロボロ。

 体は痩せ細り、顔、そして服の隙間から見える体や足には痣がある。

 さらに、左手は折れているのか、ブラーンと垂れ下がっている。

 しかも、治療を受けているようにも見えない。

 つまり、どこからどう見ても虐待されている。


「これはどういう事ですか!」

「これは……その…………理由がありまして」

「どういった理由ですか!子供を虐待していい理由などありません!」

「いえ、この子はその……」

「言いなさい!」

「じ……実は……その……この子は…………」


 院長がなかなか口を割らないでいると、ボロボロの女の子が近づいてきた。


「き、危険です!」

「大丈夫よ」


 院長の忠告を聞かず、私はその子に聞かづくと、目線を合わせる為にしゃがんで笑顔で話しかける。

 

「初めまして。私は、アイナ・アルテリアよ」

「アイナ……」

「そうよ。よろしくね」

「アルテリア王国の、王妃様?」

「ええ」

「この国の公爵令嬢だった人?」

「ええ、そうよ。よく知ってるわね」


 私がそう肯定した瞬間、


「殺してやる!」


 そう言って彼女は私に殴りかかって来た。


 とは言え、所詮は傷だらけの子供。

 殴られた私は大した痛みもなく、彼女はすぐに私の護衛騎士に取り押さえられた。

 でも、そのあまりの気迫に、私は思わず倒れてお尻を打ってしまった。


「離せ!その女を殺してやる!殺してやるんだ!!」


 彼女は取り押さえられてもまだ狂ったように絶叫している。


「王妃様、大丈夫ですか!?」

「ええ。ですが、あの子は一体……」


 彼女を改めてじっくり見る。


 彼女の眼は美しい金色で、ボサボサの髪はよく見ると愛らしいピンク色なのが分かる。

 もし彼女の全身を綺麗に手入れすれば、それはそれは美しく愛らしい美少女になるだろう。


「ん?」


 私は、彼女をどこかで見たような気がした。

 どこだろう……


 そう考えていると……


「離せ!その女が全部悪いんだ!その女のせいで私はこんな目にあっているんだ!!殺してやる!!!」

「わ、私のせい?」


 思わず聞き返した。

 この子に会った事もなければ、恨まれる覚えもないからだ。

 でも、彼女の憎悪の目は、間違いなく私の方を見ている。


「そうだ!お前のせいでお父さんもお母さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも貴族じゃなくなった!飢えて死んだ!!こんな所で私が毎日殴られるのも、全部、ぜーんぶお前のせいだ!!殺してやる」

「!!!!」


 私は、彼女の言葉を聞いて、思わず倒れこんでしまった。


 ああ、何で気づかなかったんだろう。

 この子は……


 私を陥れた王子と義妹の子供だ。

前の話をちょっとだけ修正しました。

生まれ故郷の国名とか。


この後の話も書いてあるので、投稿を楽しみにしてください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ