第1話 東西の行く末
1945年8月、日本は第二次世界大戦で敗北した。その後日本各地に連合国軍が進駐し日本占領を行った。しかし1949年6月、ソ連は一方的に北海道・東北・関東・中部の地域を日本民主共和国として建国させた。これに反発したアメリカも関西・中国・四国・九州の地域を日本国とした。沖縄・小笠原等はアメリカの委任統治となった。また、史実では分断された朝鮮はアメリカが占領を行い、大韓民国として独立させた。
日本民主共和国はソ連の援助の元、日本共産党を第一党の徳原健吾がこの国の指導者となった。日本民主共和国は軍を保持し、ソ連製の兵器を運用している。首都は東京である。天皇制なし
日本国はアメリカの援助の元、国民自由党の吉川重成が首相となった。日本国は自衛隊を保持し、アメリカ製の兵器を運用している。首都は大阪である。天皇制あり
1950年3月 日本国 大阪 首相官邸
「総理、GHQから新たな司令が入りました。自衛隊の戦力を5万人から10万人の戦力にせよ。とのことです」
「期限は?」
「55年の年末までだそうです」
「今国民は疲弊している。東のこともあるから防衛に力を入れるのも大切だが経済も回復させなければ増員など出来やしない」
「そうですね・・・」
1949年に自衛隊創設後、新憲法で自衛隊の自衛権を認めるが非常時に限るとしてきた。また、総戦力は5万8000人。陸上自衛隊3万人、海上自衛隊1万5000人、航空自衛隊1万3000人である。
「総理、東側が侵攻を行った場合アメリカ軍は対処していただけるのですか?」
「米軍は現在三重・京都・大阪・広島・山口・高知・福岡・長崎・鹿児島の各地に駐留している。東の侵攻があれば対処の可能性はある。そのためには自衛隊も使わなければならない」
在日米軍は日本国成立後、日米地位協定と日米国家相互防衛条約成立で有事の際の自衛隊と米軍の共同作戦行動が可能となった。
「ですが総理、東が侵攻を開始した場合ソ連の攻撃も高まるかもしれません。その場合はどうするのですか?」
「それはまだ決めていない。今後防衛長官の意向も聞いてみる」
「分かりました」
自衛隊の継続戦闘能力は1~2週間弱である。米軍参戦まで時間を稼がなければこの国は赤く染まることになる。
「ドルマバフ大統領らがもうすぐ来日するからそこでも聞いてみるか・・・」
吉川総理は大阪の復興する姿を見ながら業務を行った。彼は今後の日本国の経済復興にも力を入れようと考えた。
日本民主共和国 東京 共和国統一府
徳原共産党委員長はこの国の指導者である。彼は反米であるためソ連から気に入られている。彼の制作は対東協調外交の一方、対西には強硬姿勢を示している。
「委員長、少しよろしいですか?」
「うむ。何かね比屋根国防相」
「来年度の国防予算です。今年度は国防費1兆円ですが来年度は3兆円まで上昇させたいと考えています」
「そうか・・・」
「どうですか・・・?」
比屋根国防相の額から緊張の汗が垂れていた。
「まぁ良いだろう。本当はもっとあげたいのだがいきなりあげたら国民の生活が私含めて苦しくなる。徐々に上げていくことにしよう。それにしても比屋根くん。汗がすごいが大丈夫か?」
「はい大丈夫です。お気になさらず。では失礼します」
比屋根国防相退出後、支倉外相が入室してきた。
「失礼します徳原委員長。今回は対日本国の外交関係及び今後の我が国との関係についてお聞きしに来ました」
「そうだなぁ外交関係か・・・同じ日本人同士が争いか・・・なるべく避けたいが向こうがその気なら我々も行動しなければならない」
「なるほど・・・国軍はどれくらいの人員にしますか?」
「日本軍は今8万だから14万ぐらいに増やす方向でいる。陸軍8万、海軍4万、空軍2万にしたい」
「では日本国侵攻の場合アメリカが介入してくる場合は?」
「こっちもソ連を出すよ」
日本民主共和国の日本軍はソ連製の兵器が数多く揃っている。自国生産もしたいもののアメリカに経済制裁を受けているため頼みの綱はソ連だけである。
「我が国も核兵器作ります?」
「いや作らない。今後の情勢によっては作るかもしれない」
「分かりました。では失礼します」
支倉外相が退出後、徳原委員長は1人東京の景色を眺めていた。この国を復興し日本国を追いかけ追い越し突き放す。これを目標にしていくと決意した。
この作品は史実の内容を一部変更していますがよろしくお願いします