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食事が終わり、最初よりも話の展開がゆっくりになってそろそろ席を空けようとなった時のこと。
ディルが手を伸ばそうとした注文書を、一瞬の差でアルギンが引ったくった。
「あ、」
ディルの声が漏れる。取り返そうとする彼の指は、宙を掻くだけ。
「一回めから全額出して貰おうなんて思っちゃいないよ。どれどれ」
それは歳上としての意地だった。今でもはっきり彼に胸の中の想いを伝えられていないアルギンにとって、寄り掛かりすぎるのはよくないと考えての行動。
しかし、その考えはすぐに驚愕に上塗りされる。
「…………ぴっ!?」
悲鳴を押し殺した高い音。
「………見てしまいましたか」
紅茶とパンケーキについてはメニュー表に書いてあった通りの値段だ。美味しかったし特にそれに関して問題は無い。
しかし別に記載されたものーーフジの蜂蜜ーーだけは、紅茶とパンケーキを二人分合わせて六で掛けて漸く到達するようなとんでもない金額。それが二人分だ。ミルクピッチャーに入っていたような僅かな量だったのに。
アルギンの血の気がみるみる引いていく。店員が念押ししたのはこのせいか。どうしよう、持ち合わせ足りるか。いつも最低限の金額しか財布に入れていないのを今更後悔した。今日請求される金額は、ネリッタと一緒に二回飲みに行って到達するかしないかだ。
「……あの蜂蜜は、諸島からのものなので蜂蜜そのものよりも輸送費がとても高くつくそうです。でも、美味しかったでしょう?」
確かに美味しかったけど。
固まるアルギンの手から、ディルが注文書を掠め取る。彼は笑顔のままだ。
「さ、行きましょう。……そんな顔をなさらずとも大丈夫ですよ、支払いは任せてください」
「………ディル、まさか、これ、こんなことになるって知ってて」
「さあ?」
「ま、待ってせめて半分だけでも」
駄目だこれ、策士だ。お薦め頼むんじゃなかった。
注文書を持ったまま機嫌良くしている彼に、じとりとした視線を向ける。
「………覚えてろよ」
悔しい。恥ずかしい。でも、嫌じゃない。それがまた悔しい。
噛み付くような顔で言ったつもりが真っ赤な顔。それを見て満足そうな顔をするディル。
「貴女に忘れられないでいて貰えるなら、お連れした甲斐がありました」
この男は本当にアルギンの知っている彼なのだろうか、そんな不安が頭をもたげる。いいように掌で転がされていて、立場が上なのはどちらだと考えさせられた。
注文書を手に持っていると、それに気付いた店員が近寄ってくる。「お会計で宜しいですか」「はい」と、このやり取りだけでアルギンの目の前で金貨三枚が動いた。アルギンの一人外飲み代六回分だ。
会計が終わった所でディルが立ち上がり、再びアルギンをエスコートする為に椅子を引いた。ここまででアルギンには良いところを見せる機会は訪れていない。
「さ、次は蜂蜜酒ですね」
「……次こそは自分で払うからな。財布出すなよ」
アルギンが先に歩き出す。その後ろを笑顔で付いてくるディルーーー。
途端、悪寒。
「………!!!?」
一瞬のことだった。二人が一番奥の席から出てきたその瞬間、まるで店内の客の視線が一斉に向いたようだった。店内の喫茶席は満席、それらはほぼほぼ全員女性だ。
最初は場違いを咎められている気になっていた。女性特有のじとっとした視線に変な汗が浮かぶが。
「どうしました、アルギン?」
固まったアルギンに声を掛ける彼の姿に、視線の棘が更に鋭くなった気がした。普段は色恋に鈍感なアルギンでも、耳に届いた言葉で理解が出来た。
「ーーーなに、あの女」
「ーーーあの人の何よ」
それは小声で、同席者にしか届かない声量だったように思う。しかしアルギンの耳は種族のせいか地獄耳だった。
あー、と、呻きながらその場で頭を抱えたくなった。恋敵は気づけば掃いて捨てるほどいる。そうか、彼は常連だったな。じゃあ彼を狙った女性客もいるかも知れないな、なんて今更考えついて。
「アルギン、大丈夫ですか?」
尚も動き出さないアルギンの肩を、ディルがそっと支えた。その瞬間他の客席から悲鳴混じりの吐息が聞こえる。
「……大丈夫」
気に入らなかった。
知っていたはずの事だ。この美麗な男に対して恋心を覚えているのは自分だけではないことを。けれどこうして今目の当たりにすると、不愉快で仕方ない。
悔しくて、嫉妬して、見せ付けるように肩の手に手を乗せた。
「ーーーアル、」
「大丈夫だから、心配しないで。……行こう?」
それはまるで、仲睦まじい恋人同士がするような。
向けられた視線が凍り付いてるのが分かる。それに優越を感じながら、二人で商品陳列棚まで行く。
蜂蜜は勿論、蜜蝋で作られた蝋燭や、整髪料や保湿剤などの化粧品も置いてある。その一角に蜂蜜酒が置いてあった。種類は意外と豊富で、そこにあるだけで五種類。それぞれに大きさも分かれている。
「うわぁー、片っ端から買って帰りたい」
「荷物持ちくらいならしますよ」
「やだ。もう今日はこれ以上甘えない」
「『今日は』?」
「………………そこだけ忘れて」
もう何を言っても失言にしかならない。まだアルギンは掌の上にいることを忘れそうになっていた。
「少し、私も自分のものを買ってきます。どうぞ存分に悩んでくださいね」
そう言い残し、彼は別の売り場へ向かっていく。彼は酒を好まないと聞いていたし、別行動になるのは無理からぬ事だろう。
アルギンが一本を手に取り悩んでいると、そこに声を掛ける人物がいた。
「宜しければ、ご案内致しましょうか?」
それは店員だった。
この店員だけは女性でも嫌な視線を向けてこない。彼とただならぬ関係……になるかもしれない、ということを知っていて、だ。
だから、素直にお願いしたいという気持ちになった。
「……お願い、します」
余所行きの服を着て城の外に出てしまえば、アルギンもただの一市民。敬語で頼むと彼女は笑顔を向けてくれる。
「アルギン様はお酒が好きとお伺いしています。生憎夜にならないと、うちではお酒は持ち帰りになってしまいまして」
「? 誰から聞いたんです」
「私の夫、『花』に所属しているんですよ」
「ええ!?」
「うふふっ、短弓部隊なんです」
出されたヒントを元に、必死になって短弓部隊の面々の事を思い出す。しかし一人ひとりの身辺書には、配偶者の職業まで書いてはいない。頭を抱えるが、店員は尚も楽しそうに話を続ける。
もう敬語を続ける気分も失せてしまった。隊の者は身内のようなものだ、その妻ともなればアルギンにとって他人ではない。
「私、今はこうして実家の手伝いをしているんです。夫から少しお話を聞いていますし、多少はお好みの物を選べると思います」
「そ、そう? あの、さ、旦那の名前って」
「ふふ、秘密です。でも、あまりアルギン様にも覚えていただけてるか分かりません。うちの夫、地味ですから」
笑う店員を見ていると不安な気分になっていく。今日店で彼と話していたことを聞かれただろうか。そして、彼女はそれを夫に言わないだろうか。人の口には戸は立てられない。
「それで、アルギン様。あっさりと濃厚、辛口など色々ありますがどれがお好みですか?」
「え、……えー……。いや、蜂蜜酒ってあんまり飲まないからさ。初心者向けがいいなって思ってて……、って、辛口なんてあるの?」
「あるんですよ、これが。他のお酒を好んで飲む方には辛口が合う場合もあるので」
早速始まる販売話術におっかなびっくり乗るアルギン。
「じゃあ、これは? ちょっと気になってんだけど」
並ぶ蜂蜜酒の中から、なんとなく一目見てから気になっていた瓶を手にした。それを見た瞬間、店員の表情が変わる。
「…………、………あの、アルギン様」
「な、なに」
「おめでとうございます」
「何が!!?」
深々と頭を下げられて動揺が止まらない。店員は不思議そうな顔をしながら頭を上げた。
「……いえ、その、ディルさんと仲睦まじいご様子で幸せそうだなぁ、と」
「何でそうなんの!?」
「違うんですか?」
「違う、って、いうか」
今の関係は何と言えばいいのだろう。これが初めての二人きりの外出で、傍目から見れば甘いもの食べに来ただけで。確かに熱烈なまでの言葉を受けはしたが、肝心な言葉をアルギンは返せていなかった。
「以前、ディルさんとお話したことがあっててすね」
「うん? ……うん」
「『フジの蜂蜜はこの価格で売れることはあるのですか』って。殆ど無いです、って言ったら、『では何故置いてるのですか』って」
「………まぁ、それは確かに疑問だけどさぁ」
「フジの花言葉、知ってます?」
「花言葉?」
首を横に振った。アルギンは『花』隊にいようが花自体に詳しい訳ではない。
「私、その時それをディルさんにお伝えしたんです。その時は納得したようなしてないような、なんだか不思議なお顔をされてですね。……今日、分かりました。貴女に口にして欲しかったんですね」
「え、それ、どういう意味?」
「私の口から申し上げては野暮というものです。ですけれど、こちらは」
アルギンが気にしていた瓶を、店主はそっと手に取った。
「リンデンツリーの蜂蜜酒。花言葉、御存知で?」
「……アタシは、その、花言葉とかそんな」
「『夫婦愛』なんですよ」
「ふ、っ……!!?」
「蜂蜜酒自体、新婚の方やご夫婦の記念日に飲まれる方が多いんです。それで、私はアルギン様とディルさんが将来を誓いあったのだと」
「そっ、そんな! まだ!!」
「『まだ』?」
「………………もうアタシは駄目だぁ……」
話せば話すだけ墓穴を掘っていく。その中に自分から飛び込んで、あとは埋められるのを待つだけ。
でも。
『そうなったらいいな』なんて思う馬鹿な自分は、確かにいる。
「……これ、その、リンデンツリー? ……一本貰う。お試ししたいから、小さいの」
「まぁ! ありがとうございます!」
「あと……ディルってここの常連なんだろ? いつも買ってるのってどの辺りの蜂蜜?」
「ディルさんは蜂蜜を気分で購入されますから、どれでもお好きだと思いますよ」
「へー」
その辺りの知識はどう足掻いても本職には勝てないので、薦められるままに三つほど買うことにした。ディルが席を外している間に、簡単に包装もしてもらって。買ったものは自分の手提げになんとか入ってくれた。
暫くするとディルも買い物を終えたようだ。何を買ったのかは一瞥しただけでは分からない。荷物はとても小さいようで、それは彼の上着の中に入ってしまう。
「お待たせしました、お買い上げありがとうございます。またのお越しをお待ちしています」
その言葉を背中に、二人で店を出る。
「美味しかった。ありがとう、ディル」
「いいえ、お気に召したならまたご一緒に」
店を出て、行く場所の相談もなく歩き出す。ゆったりとした歩みなのは食後だからか。
二人とも買い物した荷物を持っているけれど、重さは武器に比べればマシだ。
店の前の通りはこの時間でも人が少なかった。知る者の少ない穴場なのだろう。
「……あのさ、ディル」
「はい?」
「フジの花言葉って、なんなの?」
気になって仕方ない事を率直に聞いてみた。ーーー瞬間、彼の視線があからさまに逸らされる。
「ちょ、ディル。聞いてる?」
「……ええ、聞いていますよ。ええ」
「こっち向いて言って? ねぇ?」
服を引いて振り向かせようとしても、頑なに向かない彼。銀色の髪の間から覗く耳が真っ赤なのに気付いて、なんとなく察したアルギンが服から手を離す。
「………つ、……つぎ、どこいく?」
普段なら、『自意識過剰だ』と思って自制している部分だ。けれど、これまでの彼の言動から、件の花言葉が恋愛関係のものなのだと察することは簡単で。
話を無理やり方向転換させると、彼は顔を向けずとも話には乗ってくれる。
「……そう、ですね。アルギンさえ良ければ……次は、公園で散歩でもしませんか」
「うん、賛成。ゆっくり散歩とか久し振り」
嫌な訳が無い。彼と一緒にいられるなら、どこでもいい。
そんな想いを込めて、ディルの手を握る。今の時点でアルギンに出来る意趣返しはこのくらいしか無かった。
自然、二人の足は止まる。
「ーーー」
「こうしたら、少しは好い仲に見えるかな?」
アルギンの方を向いたディルの顔が再び真っ赤になっている。してやったり、と笑うがその顔も赤いので台無しだ。
「っ、あ、の、そのっ、アルギンっ。これは、どういうっ」
「………あのねぇ」
狼狽する彼の姿は見応えのあるものだったが、それを楽しんでいつまでも彼に聞かせない訳にはいかない。
彼はどんな思いで想いを伝えてくれたのだろう。聞かされた言葉はとても嬉しくて、幸せで。
「アタシ、ずっとディルのこと好きだった」
「ーーーー」
「弱いアタシでごめん。多分ディルから言われなかったら、アタシこの先も言わなかったかも知れない。この関係が崩れたらって思ったら、怖くて言えなかった」
言われた時に感じた幸せを、どうか少しだけでも共有できたら。
「……アタシ、欲張りだから。ディルがアタシの事好きでいてくれるなら、もう手を繋ぐだけじゃ足りなくなるかも知れない。それでも、いい?」
「アルギン、」
「ディルがもう嫌だって言っても、他の若い子に目移りしても……離れてあげられないかも知れなくて。アタシが嫌いなアタシ自身も見て貰うことになるし、どれだけディルが後悔しても、それでもきっと離れたくない。それでも」
いい? と、問い掛けた言葉は出てこなかった。声を置き去りにした吐息はディルの上着に吸い取られる。
抱き締められてる、と気付くのは、呼吸が苦しいと感じる頃で。
「アルギン、……アルギンっ……! もう、夢なら二度と覚めて欲しくない……!! これが夢だと思い知って絶望するくらいなら、もう二度と……!」
今まで欲していたものが全てそこにある。
彼の腕、彼の胸、彼の吐息、彼の言葉、彼の想い。
こんなに簡単だったんだ、と思った。少し勇気を出せば、ちっぽけな意地を捨てれば、こんなに近くに彼は来てくれた。
顔をなんとか呼吸できる位置にずらす。
「夢なら、覚めてよ」
アルギンは呟かずにはいられない。
「これが夢なら、貴方が起きるのを待ってるアタシがいるはずだよ。……そんで、夢の中のアタシも、貴方を待ってるアタシも、どっちも幸せなの」
これが夢でも現実でも、ディルの愛を乞うアルギンは存在する。それを確信しているからこそ、アルギンはその背に手を回す。
「ディル、すき。好き、大好き。………でもね、ディル」
幾ら二人が想い合っていても、儘成らぬことはある。
「……はい、アルギン」
「…………ここじゃ、恥ずかしいかなぁ……?」
我に返ったのはアルギンが先。
幾ら人通りが少ないとはいえ、道行く者の視線が突き刺さっている。
あ、と漏らしたディルは体を離すが、手はアルギンの両手を握ったまま離さない。
「……も、申し訳ありません。つい、感情が昂って」
「う、ううん。いい。アタシも、その、嬉しかった、し………、だから」
繋いだ熱を離すのが惜しくて、アルギンも手を握り返す。
「…………気が、変わっちゃってね? その、公園じゃなくて……他の……静かな、あんまり人のいない場所がいいなぁ、って」
「ーーー」
「っあ、違っ、違う!? その、疚しい意味とか無くてねぇ!!? アタシはただ人目を気にしてね!!?」
墓穴を掘りすぎて死体が何体でも埋まりそうになってから、アルギンが必死に弁解する。
対するディルは悲惨なくらいに顔を赤くして、何をどう言えばいいのか解らずに唇を震わせていた。如何せん、年齢だけを考えれば『そういうこと』に関して寛容になってもいいものだが、二人にとってはこれが初めての恋愛であり。
この二人の今の状況をソルビットやサジナイル、もしくはエンダ辺りが見れば何と言われる事やら。
「……だから、ね」
手を握る力を、強めた。
「そんな場所、知らない? ……知らなかったら」
顔が下に向いていく。
「………アタシの、隊舎の部屋に…………なっちゃうよ?」
知らないで。
知らないでいて。
アルギンの密かな願いはとてもはしたない。
「アルギン」
ディルの声は、アルギンの躰を芯から溶かして行きそうな程に艶を持つテノール。
その声に何度も呼ばれたいと思っていた。今だって、呼ばれたい。呼ばれ続けたい。
けれどその願いとは裏腹に、続く言葉は。
「…………私の理性を信じているなら、その発言は聞かなかった事にさせてください」
「理性、って」
「私の本性は御存知でしょう。模擬戦の折り、貴女を傷付けてでも……勝とうとした」
「あれは、だって」
「貴女を私だけの人にする為には、手段を問わぬ獣です。その無防備につけこんで、私はきっと、今度こそ貴女を、傷付ける」
その言葉は、まるで。まるでーーー。
「って、だって」
その言葉の誠実さに、再び心がざわめく。
何度も恋に落としている自覚はこの男にあるのだろうか。募らせれば辛いだけの想いは、やっと通じたと思ったのに。
この声に、手に、もっと欲されたいと思ってしまって、手を離す。それから、彼の服を指で引っ張った。
昨日の彼の勝利は、何が褒賞にされていたか。それは彼も覚えているはずで。
「………けっ、こん、するって言った……」
「ーーー」
「ディルが貰ってくれるなら、アタシはそれでいい……の。アタシは相手がディルだったら、傷付くとか、傷付かないとか、もう、そんなん、どうでもよくて。アタシだって、中身は臆病で、横着で、……でも、そんなアタシを丸ごと貰ってくれるんなら………アタシは、それが、一番嬉しい」
今更拒否権なんて与えない。
「……アルギン、先に……行きたい場所が出来ました」
勇気を出した言葉はどう受け取られたのだろうか。不安に思うアルギンをよそに、彼は続ける。
「……求婚に、指輪も無くて申し訳ありません」
「指輪……?」
「貴女の指に触れる事が無く、その細さが分からなかったのでご用意出来なかったのです。今なら買いに行ける、貴女がいるから」
「指輪なんて、アタシはそんなの別に」
「私が欲しいのです。……貴女が私の愛する人であるという証が。それに」
歩き出したその背を追うことしかアルギンには出来なかった。彼の長い足での早歩きはアルギンにとっての小走りになる。
「それに?」
聞かなければ良かった。
「………少し時間を置いて落ち着かなければ、本当に私は貴女にとんでもない事をします」
「…………あ………ハイ……」
この美麗な神父の言う『とんでもない事』に興味がない訳では無いが、その気遣いを無碍に出来るような女でもなかった。
やがて少しは落ち着いたらしい彼が、足を止めてアルギンを待つ。そして、差し出される手。
繋いだ手は初々しく、しかし睦まじく。