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魔法学園入学編⑩今後の目標を決めよう!

 

 ステファン先生が出ていくのを見届けたナタリー先生は少し涙目になりながらも生徒の方を向き頭を下げた。


「みんなごめんなさい。私の力不足でこんな事になってしまいました。Sクラスに勝つなどと無謀なことかもしれませんが、少しでも強くなって5分以上持つように頑張りましょう。そうすれば後からの対応も悪くなくなるかもしれません」


 その言葉を聞きリュシが立ち上がった。


「みんな、Sがクラスの従者にさせられるかも知れないが、頑張ってみようよ。あっという間に負けたら、Sクラスのやつらも蔑んでくるかもしれないが、頑張れば先生のいうように見直してくれるかもしれないぞ!」


 ティモがリュシの意見に対して口を尖らせながら叫んだ。


「貴族の人達はいいよ、学園卒業後は平等ではなくなるからそこまでひどい扱いされるわけはないだろ? でも俺ら平民は酷いことされそうだよな。でもなんで今年からこんな事になったんだ?」


 フォース使いの金髪縦ロールのマヌエーラが口を挟んだ。


「多分ですけど、ロマーノ王子が今年で卒業されるからですわ。ロマーノ王子は自ら学園内平等の旗振りをして差別の無い学園を目指していましたが、もう卒業されるのでそれらを良く思わない方たちが仕組んだんでしょう。ステファン先生も爵位的には私の父と同じ子爵ですし、派閥も違いますから父に伝えても相手にされないでしょう」


 みんなの顔がどんどん暗くなっていき悲壮感漂うクラスになってしまった。仕方ないのでみんなに声を掛けた。


「頑張ってSクラスに勝つしかないな!」


「「「「はぁあ??」」」」


 そんなみんな呆れ顔をしないで欲しいんだが……

 マヌエーラが怒ったように口を尖らせた


「貴方、おバカなのですか? さっきの先生の話を聞いていましたか? 過去に最高で5分しかもたなかったんですよ? 勝つなんて無理に決まっているんじゃないですか!」


「勝てるかどうかはわからないけど、ナタリー先生対抗戦ってどのような事をするんですか?」


「毎年の対抗戦は競技場の左右に分かれて陣地に立っている旗を倒されたら負けで、その前に降参をしても負けになります。魔法は全て自由で魔道具も自作の魔道具は使っても大丈夫です。治癒師が待機しているので死んだりはしませんが、あまりひどい負傷をするとそのまま学園に戻ってこれない方も過去にはいました。そのためFクラスは魔法が届く前に降参するのが習わしです」


 ナタリー先生、習わしって…… 負けるの前提ですか……


「あの広い競技場であれば向こうから来るまでに30秒ほどかかりませんか? その間に土属性で壁を作って火魔法を封じ込めれば勝てませんか?」


「土属性で壁を30秒で作れるわけないだろおおお」


 冷静そうに見えるリュシが絶叫した。


「えっ? 火を弾く程度の壁であれば出来ない? このクラスって僕からみたら最強だよ?」


「「「「イヤイヤ、最弱だよ」」」」


 なんでハモってみんな言うんだよ!


「じゃみんなに聞きたいんだけど、強くなってSクラスに勝てる方法があるなら勝ちたい? それともこのまま負け犬になってSクラスの従者になる?」


 マヌエーラがこちらをキッと睨みながら叫んだ。


「その聞き方で従者になりたいと思う方がいると思いますの?」


「いや、いるかもしれないし?」


「「「「いねーよ!!」」」」


 なんでみんなハモるんだよ!


「じゃ決を取ろう! まずは今から血反吐を吐くほどきつい練習をしないといけないけど、Sクラスより遥かに強い魔法使いになってSクラスとステファン先生に一矢報いる方が良いか? さっさと諦めてSクラスの下僕になりたいか? 思う方に手を上げてね! 下僕になりたい人?」


「なんで従者じゃなくて下僕なんだよ……」


「その聞き方で手を上げる人いたら変態だよ?」


 ヒソヒソ声でいろいろ聞こえてきたが誰も手を挙げる人はいない。


「じゃみんなで頑張って5月までにSにクラスは当然ながら魔法師団にも勝てるようになりたい人?」


「それって化け物だよ……」


「魔法師団に勝てるわけないだろ……」


 やはりヒソヒソ声が聞こえるが全員が手を挙げた。


「じゃそれで決まりだね! ナタリー先生よろしくお願いします」


「えっ? 私に言われてもそんな大した魔法は使えないし…… 教えることもそこまでは……」


「大丈夫ですよ、5月までにナタリー先生も立派な先生になれますから……」


「トラーオ君、どういうことなの?」


「ステファン先生が言ったとおりに自習であれば、全てを実習にしても大丈夫ですよね?」


「それは、先生たちが来ないなら問題ないわ! 一応他の先生達にも確認してみましょう」


「では午前中にナタリー先生が魔法理論を勉強して午後にそれを皆に教える方法をとりましょう。生徒は午前中に前日の復習を自習するようにして一日中魔法の練習をすれば強くなります」


 マヌエーラがまた口を挟んできた。


「貴方、本当におバカさんなんですか? 朝から一日中なんて魔力が持つわけないでしょう? 一日2回位で魔力無くなる人もいるんですよ?」


 実際にFクラスのクラスメイトはシングルでも魔力が少なく威力が出せない人もいるので、この指摘は間違いではない。ただ魔力を増やす方法をみんな知らないだけで、なければ増やせばいい。


「大丈夫ですよ! みんな魔力は増えますから」


「「「「ええーーーー!!」」」」


 ハモリにも慣れてきたな!




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