2ページ目
悪魔が現れたのは住宅街の一角だった。
奴らはゲートと呼ばれる穴を抜けて異世界からこちらの世界にやってくる。
悪魔の種類によってこの世界ですることは様々だが、基本的にはこの世界の人々にとってよくないことをもたらすのは確かだ。
無残にも破壊されていく民家。人間の2倍の大きさの悪魔は腕を振り回し民家をなぎ倒しながら進んでいる。
悪魔が出たとしても案外人間は呑気なもので、野次馬が周囲に群がりSNSでのバズりを求めて悪魔をするものも多い。
それには、自分に害は及ばないと言い切れる、便りになる人物がいるからだろう。
「コラー!家を潰しちゃダメー!!」
空からする声に野次馬たちは目をやる。
「きたー!」
「魔法少女だ!」
「俺初めて見るわ!」
「可愛い!!」
空飛ぶ魔法少女の勢いは止まることなく悪魔に一直線。
「ゴッチーン」と鈍い音を響かせ頭突きをかましたのであった。
「ぐお...あー...あーあァァァ!」
悶え苦しむ悪魔に対しケロッとしている「石あた魔法少女」。
「絶対痛いだろうなあれ。」
「魔法少女の技で頭突きなのか...」
「一回受けてみたいかも..!」
「え?」
野次馬達の反応はそれぞれだ。
「早く帰ってアプリの続きするんだから、とどめ行っちゃうよ!」
右手を上に掲げた魔法少女の手にはハート型のThe魔法少女ステッキが握られている。
ステッキの先を悪魔の方に合わせる。
「かくごー!ミラクルシャワーシュート!」
ステッキから出たThe魔法少女ビームが悪魔の体を貫通しビームを受けた箇所から順番に悪魔の浄化が始まる。
「うお...!あー...ああああ。」
うねり声を上げながら浄化されて行く悪魔。
これにて彼の出番は終了である。
「魔法少女ちゃん!」
「さいこー!」
「こっち向いて!」
野次馬の歓声が「わーっ!」と上がり、拍手も上がりはじめた。
魔法少女は軽く手を振り「バイバーイ」とだけ言ってその場を後にした。
「えー、帰っちゃうの!」
「もうちょっといてよー!」
「アプリって何だろう。」
野次馬の出番も終了である。
空飛び交番に帰ろうとする魔法少女のことり。
「早くけいちゃんとアプリをするんだ!早く終わらせたしまだけいちゃん帰らないよね!」
待たせている啓介に悪いと急いで帰ろうとすることりはふと下に目をやると一台の原付が目に入った。
上からでもよくわかるその原付は啓介だった。
「あれー?!けいちゃん!なんで?!アプリするって約束だったのにー!」
ことりは降下し啓介の元へと降りた。
原付で走る圭介の横に並走するように飛ぶことり。
「バカ!何やってんだよ!こんな低く飛んで!目立つじゃねーか」
実際一般道を警察官と魔法少女が並走していると目立つ。当然だろう。巷で噂の魔法少女ですから。
「アプリするって約束は?」
「やってやりたいが近くだから現場には向かわないと行けないんだ。」
「悪魔は倒したよ。」
「そうだけど、その後のことを片付けるのが警察の仕事なんだ。壊れた家のことや怪我した人がいないかとか。」
「えー...警察官大変。」
ことりは残念そうな顔を見せて「せっかく早く倒したのに」とブーブー文句を言う。
「明日休みだからケーキ持ってく。今日のお詫びだ。だから...」
「許す。」
「いいのかよ。」
ことりは「魔法少女はケーキに弱いのです。」と言い残し啓介から離れていった。
啓介はやれやれと思いながら周りに目をやる。
「いやまあ、あいつが横で飛んでたらそりゃ目立つか。」
周囲の人々の目は全てこちらに向いているが、啓介は現場へと向かうのであった。
日向 ことり
11歳 小学生の女の子
啓介のいとこで魔法少女である。
一応正体は隠してはいるが啓介だけはバレている。
少々ドジだが明るく人を助けたいと思う心は啓介の正義感と何か似たものがある。
石頭。
警察官って大変ですね。
この作品を書くにあたって一通り調べたのですが激務ですね。
でも町には必要不可欠な存在。
頑張って!!!