花束
たいくつを
ぺろりと平らげようとして
初恋の歌をききながら
なんだかひとり
さびしそうなそぶり
記憶の底に
あまったるくてまどろっこしい
晴れないもやみたいなものがあって
すきだった
ということなら
まだ笑えるんだけど
恋は恋になれなくて
愛は行先不明になった
まるで花束のような
毎日がすこしずつ変わっていく
だれもいない日々に
孤独で 不思議な
氷の味がする日々に
わたし 慣れない靴で
揺れ動く街のふかいところへ這入っていく
そして素敵なひとに出会って
いつか花束のような
たいくつな午後は
おしなべてきれいな群像
さびしいからって愛すのは
もうやめにしよう