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case4

今から約100年前、ボクの曾祖父(そうそふ)……つまり、ひいじいちゃんが魔王を魔界に封印し、魔界と人間界を繋ぐゲートを破壊することに成功した。

その当時は魔王討伐は成し遂げることは出来なかったのだが、勇者又は救世主大層(たいそう)(あが)としてめられていたようだ。

その後、お爺ちゃんやお父さんも人間界に残った魔物の討伐に(いそ)しんでくれたおかげで、粗方(あらかた)の凶悪な魔物は討伐し終わり、今世界は平和な日常を取り戻しつつある……。

おかげでボクの家系は勇者の一族として、この世界では知る人ぞ知る一族の地位を得ることが出来た。


しかし、5年ほど前に宮廷お抱えの占い師の占いによって再度魔界とのゲートが開くと言う予言がなされた……。

その宮廷の占い師1人が予言したことなら、ただの戯言(ざれごと)で済んだのかもしれないのだが、

各地の予言者と呼ばれる人々や巫女と呼ばれる人たちまでもが、ほぼ同日に不吉な事が起きると言うことを言いだしているのだ。

つまり、これは只事ではないと言う事だ。

……そして、遂にボクの出番と言う事だ!

お父さんの代で世界中の魔物もほぼ倒されてしまっているので、ボクの代では勇者としてのお仕事は皆無だったのだ。

正直に言うと、暇だったのだ!

そんな時に訪れた千載一遇(せんざいいちぐう)のチャンス!

同じことを毎日繰り返すだけの日常から一変して、スリル満点の非日常が今から訪れようとしているのだ。

そして、ボクは勇者の一族と言うこともあり、他の人と比べても段違いにステータスが高い!

つまりはヒーローとして(あが)(たてまつ)られる日も近いと言う事だ。

不謹慎だが、今から魔界と繋がり、混沌とした世界が訪れるのが少し楽しみなのだ……。


そして、予言通り魔界との扉は開かれた……。

その当日、王宮に魔界からの使者が訪れたとのことだ。


次の日になり、全世界に王宮からの知らせが届いた。

それを聞いたボクは衝撃のあまり全身に電気が走った……。


なんと……、魔王様は20年ほど前に病気でお亡くなりになられたと言う事だ……。

そして、魔族も100年前に凶悪な者はほぼ人間界に残っていたため、温厚な魔族のみが魔王が亡くなるまでの80年余りの間、魔王の圧政に苦しまされていたという……。


魔界からの使者は和睦を結ぶためにきたらしい……。

今、魔界に居る魔族や魔物は人間に対して何の害もなさないと言う事だ……。

つまりは平和宣言だ……。


こうして、ボクは生きている間に何の争いもなく、毎日同じことを繰り返すだけの何の刺激もない、平和な一生を過ごすことになってしまったのだ……。


~魔王の居ない勇者の末裔編 Fin~

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