第8話 安達弾VS黒山聡太②
「カキ―ン!!!!」
安達の打った球は、空高く真上に打ち上がりキャチャ―フライとなった。
(俺のストレートにいきなり当てやがった。しかもタイミングまでばっちり合ってる。こいつ、ただ者じゃないな)
(完璧に捉えたと思ったのに……少し上に浮いた? これが生きた球って奴か)
2打席目。
(160キロの速球をマシンで打ち慣れてる安達にいきなりストレートは無警戒過ぎたか。次は慎重に攻めていこう)
1球目に鶴田が要求したのは外角低めのカーブ。見逃しストライク。
2球目は外角低めボール2個分外に外れたスライダー。ボール。
3球目は内角低めのカーブ。見逃しストライク。
(よし追い込んだ。それにしても、全然振ってこないな。ストレート狙いか? ならばストレートを空振りさせてやる)
4球目は真ん中高めのつり球ストレート。見逃しボール。
(これも振らない。一体何を狙ってるんだ? もう一回外してみるか? いや、この勝負は四球でも負けだしカウントを悪くはしたくない。うーん……いかんいかん。色々考え過ぎだ。こういう時は基本に戻ろう)
5球目は外角低めのストレート。僅かに低目に外れてボール。
(やっべー逆に追い込まれた。安達は1回も振ってないのに。もしかして最初から四球狙いで振らなかったのか? ならばなんとしてもストライクゾーンで勝負しないと)
6球目に鶴田が要求したのは内角低めのスライダー。しかし、その要求に黒山は首を振った。ならばと同じ内角低めのカーブ。しかしそれにも黒山は首を振る。
(2回続けてストレートの後だから本当は投げさせたくないけど……しょうがないな)
鶴田は1打席目と同じ内角高めのストレートを要求し、黒山は満足そうにうなずいた。
(今度は当てさせない。完璧にねじ伏せてやる)
黒山はこの勝負で初めて大きく振りかぶったワインドアップ投法を披露した。
(黒山がワインドアップで投げるのは本気の時だけ。黒山の全力ストレートなら絶対抑えてくれるはずだ)
黒山の投じた球は、若干真ん中よりに入ったものの150キロを超えるこの日最高のストレートだった。
「カキ―ン!!!!」
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