第81話 安達弾VS千石聖人①
13時30分。船町北VS大阪西蔭の練習試合2試合目が始まろうとしていた。
船町北高校スターティングメンバー
1 安達(一)
2 白田(右)
3 水谷(左)
4 黒山(投)
5 福山(三)
6 新垣(二)
7 尾崎(遊)
8 鶴田(捕)
9 星 (中)
大阪西蔭高校スターティングメンバー
1 三浦(中)
2 田所(二)
3 山本(三)
4 千石(投)
5 星田(右)
6 佐々木(左)
7 遠藤(一)
8 川本(捕)
9 水島(遊)
「この試合は十中八九千石と黒山の投手戦になるだろう。ということで先制点をいかに早く取れるかが重要になってくる。そこで今回は1番千石から得点を奪える可能性の高い安達に打席が回る数を1つでも増やすために打順を先頭にした。星を9番にしたのも安達の前に足の速いランナーが塁に出た方が得点の可能性が高くなるという考えからだ。みんな映像で何度も見てわかっているとは思うが、千石の強さの秘訣はその球速の速さと3種類のスライダーだ。まずはストレート、最高時速は158キロと黒山以上に速い。そしてそれ以上にやっかいなスライダーは高速縦スラ・高速横スラ・スピードは若干遅いがその分変化量の大きい横スラの3種類。狙い球を絞るにしても簡単に打てる球が1つもないから相当苦労するとは思う。だがこのまま2連敗で千葉に帰るというのは気分が良くない。相手が千石だろうがこの試合、全力で勝ちにいくぞ!」
「はい!」
野球人生で初の1番バッターとして打席に立った安達は、前の試合で1本もホームランを打てなかった汚名返上を誓って打席に立った。
初球、外角低めにストレート。
「ストライク!」
(速い! スピードだけなら本当に黒山先輩以上だ。でも黒山先輩のストレートの方が伸びがあるしスピードならピッチングマシーンのストレートの方が若干速い。全然打てない球じゃないぞ)
2球目、外角の少し高めに速い球がきた。
(打てる!)
安達はバットを振りにいくが、球は鋭く縦に変化して安達のバットをかわした。
「ストライク!」
(今のが千石3大スライダーの1つ、高速縦スラか。この縦スラ、黒山先輩のスライダーに似てるけど変化するタイミングがこっちの方がギリギリだし球速も若干こっちの方が速い。完全に上位互換だな)
3球目、千石の投じた球は大きく外に外れていた。
(随分大きく外したな。コントロールミスか?)
しかし、そこから球はグニャリと大きく変化しベース上の外側をギリギリかすめながらミットに収まった。
「ストライク! バッターアウト!」
(あそこからストライクになるのかよ! 今のが大きく曲がる横スラか。くそ、全く手も足も出なかった)
チームナンバー1バッターの安達が全く何もできないまま3球で抑えられたのを見て、船町北ナインも鈴井監督も少なからずショックを受けていた。
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