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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第9章 練習試合1試合目 船町北VS大阪西蔭 
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第78話 練習試合1試合目終了

『30度』


 ホームランを打つ上で1番理想的な角度と言われているのがおよそ30度前後だ。しかし、今回の安達が打った打球の角度は45度を超えていた。普通なら平凡な外野フライで終わるような打ち上げ過ぎの打球だった。


(よし、打ち取った。これで終わりやな)


 安達の打った打球角度を見て、戸次監督は瞬時にそう判断した。しかしその直後、安達の最初の打席を思い出した戸次監督は、嫌な予感を感じていた。


(確かあの時、内野フライやと思った球が意外に伸びて外野のセンターまで飛んでいったんやったな。もしかして今回も……)


 安達の打球は真っすぐセンター方向へと伸びていく。センターを守っていた三浦は最初ゆっくりと歩きながら打球から目を離さないようにバックしていたが、なかなか落ちてこず予想外に伸びてくる打球にこのままでは追いつけないと悟り慌てて走り出した。


(どんだけ伸びんねん。1打席目のフライといい、あいつの打球には羽でもついとるんとちゃうか。このままやと入ってまうかもしれへん)


 打球の行方と打球を追いかける三浦の行方を、グラウンドにいる船町北、大阪西蔭両校の選手達と監督が固唾を飲んで見守っていた。


(おっ、やっと落ちてきた。何とかアウトにできそうやな)


 三浦は走るのをやめると、また歩きながらバックを始めた。


(あと3歩、2歩、1歩……)


「ごつん!」


 あと1歩バックできれば捕れるという所で、三浦の背中が外野フェンスにぶつかった。


(くそっ、あとちょっとやのに……そや!)


 三浦はとっさにフェンスによじ登ると、目一杯左腕を伸ばした。


「アウト!」


 もしも入っていれば1点差となる当たり千金の満塁ホームランだった安達のホームラン級の当たりは、三浦のファインプレーによって幻となった。こうして、船町北VS大阪西蔭の練習試合1試合目は幕を閉じた。


      123456789 計

 船町北  000000000 0

 大阪西蔭 40000001✕ 5


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