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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第9章 練習試合1試合目 船町北VS大阪西蔭 
76/479

第75話 水谷の課題④

 8回の裏。大阪西蔭の攻撃は、6番バッター遠藤のヒットを皮切りに7番バッター川本もヒット。8番バッター水島は三振に終わったものの9番バッター百瀬が送りバントを決め2アウトながらランナー1,2塁のチャンスを作る。そして1番バッター三浦のライト前ヒットで1点を返すも、2塁からホームに突っ込んだ川本はライトを守っていた黒山のレーザービームに刺されてアウトとなり、この回は終了した。


「ちっ、1点止まりやったか。あのピッチャーが出てから9打席連続ノーヒットやった時はこいつら全員しばいたろか思たけど、2巡目に入ったこの回からは何とか対応できとったしギリギリ合格ってとこやな。まあ勘弁しといたるわ」


 戸次監督がそうぼやいていた頃、鶴田と水谷は軽く反省会をしていた。


「途中までは出来過ぎなくらいうまくいってたんだけどなあ」


「2巡目に入るとさすがに対応されるか。さすがは大阪西蔭ってとこだな」


「リードする立場から言わせてもらうと、やっぱりオーバーからの持ち球がもう1種類欲しいな。ストレートとチェンジアップだけだとどうしてもオーバーからのサインは出しづらくなるし、アンダーの割合が増える分そこを狙われやすくなる」


「俺も同じ考えだ。新しいフォームにも大分なれてきたしな。カーブなんかどうだろう?」


「悪くはないけど、できればもっとスピードのある変化球がいいな。水谷の持ち球って、オーバーのストレート以外は基本遅い球ばっかだからさ。そうだ、百瀬のカットボールみたいな球がいいな」


「確かにあの球を投げられたらかなり強力な武器になるけど、簡単に習得できるものなのか?」


「なんか面白そうな話してんじゃん」


 2人の話に割り込んできたのは黒山だった。


「俺も百瀬のカットボールには興味があったんだよ。なあ水谷、この試合終わったら百瀬に頼んで教えてもらおうぜ!」


「いいけど、そう簡単に自分の持ち球の投げ方なんて教えてくれるかな?」


「そこは俺に任せとけって。いいアイディアがあるんだ。ゴニョゴニョゴニョ……」


「なるほど、試してみる価値はありそうだな」

 

       123456789

  船町北  00000000

  大阪西蔭 40000001

  

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