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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第9章 練習試合1試合目 船町北VS大阪西蔭 
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第63話 白田の課題③

 2回の表。1番バッターの三浦に対して白田が投じた初球はど真ん中に向かっていった。


(すっぽ抜けか? ラッキー!)


 三浦がバットを振り始めた瞬間、球は突然落ち始めた。


「カーン!!」


 地面に打ちつける形になった打球はピッチャーゴロとなった。


(前の打席のフォークと全然ちゃうやんけ。この短い間に何があったんや?)


 1回表に取られた4失点と引き換えに、白田は新しいフォークボールをほぼ完全に自分のものにしていた。


(落ち始めるのが遅くなった分変化量は前よりも落ちたが、それもいい具合にゴロを量産しやすくなってプラスに働いている。このフォーク、かなり使えるぞ)


 白田以上にこのフォークボールを気に入った鶴田は、2番バッターの田所に対してフォーク中心の配球で攻めると、またもやピッチャーゴロに打ち取った。


(問題は次だ。3番の山本は前の打席、白田のたまたまうまくいった新型フォークボールでほぼ打ち取られた形だったからな。相当警戒してくるはずだ。ここは裏をかいて……)


 3番バッターの山本に対して、今度はフォークボールを使わずにストレート中心の配球で攻めた結果、頭に前の打席のフォークボールの残像がちらついた三浦は中途半端なスイングをしてしまった。


「カーン!!」


 結果はまたまたピッチャーゴロ。大阪西蔭の上位打線から始まるこの回を、3人連続ピッチャーゴロという最高の形で終わらせた白田に、戸次監督も驚きを隠せなかった。


(この白田とかいうピッチャー、試合の中で進化しとる。初回の大量得点にみたいなことはもう期待できへんやろなあ)


 3回の表。船町北の下位打線、7番新垣、8番尾崎、9番鶴田の3人は全く見せ場もないまま三振に倒れた。これで船町北打線は安達以外のメンバー全員が百瀬から三振を食らったことになる。


(このチーム、打線はあの1年以外カスやな。まあ1人だけでもうちの投手のまともな練習相手になりそうなバッターがおって良かったわ)


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