第56話 シートバッティング
大阪西蔭高校に到着すると、グラウンドで野球部員達がシートバッティングを行っていた。
「さすがは大阪西蔭! 鋭い当たりをガンガン飛ばしてるな」
「おっ! あの当たりをキャッチするのか。守備もかなりうまい」
レベルの高い練習風景にしばらく見入っていると、大阪西蔭高校の戸次監督が挨拶にやってきた。
「みなさん、わざわざ遠いところからありがとうございます」
「いえいえこちらこそ。まさか大阪西蔭さんから練習試合のオファーをいただけるなんて驚きました」
「前から是非1度練習試合をしたいと思っていたんですよ。なんせ船町北さんところの守備力は全国でもトップクラスですからね」
「そんなに褒めていただいて光栄です。それで、今日の練習試合なんですけど電話で話した通り2試合やるということでよろしいですか?」
「はい。1試合目は10時から。2試合目は1試合目が終わった1時間後にという日程で大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。」
「それではあと2、3分で2軍のシートバッティングが終わるんでこちらのグラウンドを使って10時まで練習していてください。時間になりましたらこちらからレギュラーメンバーをここに連れてきますので。それじゃあ私はこれで一旦失礼します」
(マジか! これが2軍かよ。さすがは大阪西蔭、層が厚いなあ。ていうかグラウンド他にもあるのかよ。ほんと金のある野球部は羨ましいなあ)
シートバッティングが終わるのを待っていた船町北ナインは、最初こそバッティングレベルの高さや守りのうまさに目がいっていたか、鶴田と投手陣の3人はそれとは別のところに目がいっていた。
(キャッチャーの構えたミット、全く動いていない)
スライダー。カーブ。フォーク。シンカー。シュート。多彩な変化球を操るそのピッチャーは、キャチャーが構えたミットの位置から寸分違わずに球を投げ込んでいた。
「なあ黒山、白田、水谷、あのピッチャーみたいな芸当、お前らにできるか?」
「無理」
「無理」
「無理」
「まだ体も小さいし球も遅いけど、あれだけのコントロールがあって変化球も多彩なら普通1軍だよな。このレベルのピッチャーが1軍に上がれないってことは……大阪西蔭、覚悟はしていたつもりだったけど、想像以上にヤバそうだな」
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