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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第7章 春季大会準々決勝 船町北VS龍谷千葉
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第50話 船町北VS龍谷千葉㉒

「ストライク!」


(去年よりもスピードが上がった? いや、キレが増したのか?)


「ストライク!」


(その両方か。長打狙いじゃ当てることすら難しな)


 8回の裏、先頭バッターの鈴木は、去年の夏にも対戦しホームランを打っている黒山のストレートに2球連続空振りしていた。そして3球目。内角よりの甘いコースにきた球を、鈴木は短く持ったバットで当てにいった。


(せめてヒットで出塁して4番の総次郎につなげないと)


 しかし、鈴木のバットから逃げるように球は鋭く縦に変化し、バットは空を切った。


「ストライク! バッターアウト!」


(あれだけ速いスピードでくるスライダーなんて初めて見たぞ。反則だろ)


 そして、4番バッター清村弟の打席を迎えた。


(先輩達はともかく兄ちゃんまでヒットを打てないなんて相当すごいピッチャーなんだろうな。ということは、そんなすごいピッチャーからホームランを打てれば安達に完全勝利したことになるな。この勝負、絶対に負けられない)


 初球、内角高めの厳しいコースにストレート。見逃しストライク。


(こりゃあすごいな。みんなが打てない理由がわかった。だが、俺が打てないとは限らないぜ)


 2球目、外角低めにストレート。清村弟はその球をフルスイングで打ちにいく。


「カーン!」


 打球は真後ろに飛んでいきファール。


(惜しいな。だけどタイミングはバッチリだ。次は打てる)


 3球目、さっきまでセットポジションで投げていた黒山は、突然ワインドアップに切り替えて投球を始めた。投じた球は、ど真ん中の甘いコースに向かっていく。


(もらった!)


 清村弟はバットをフルスイングしながら、レフトスタンドにホームランを叩き込むイメージを思い浮かべていた。


「カキーン!!!!」


 打球は清村弟の思い浮かべていたレフト方向とは逆のライト方向へ鋭い当たりが飛んでいった。打球はファーストを守る安達の頭上を越えてライト線ぎりぎり内側に落ちるフェアとなった。ライトを守る水谷は必至に打球を追いかけると急いで二塁へ送球した。しかし、鈍足の清村弟は初回にレフトを守っていた水谷に二塁で刺されたことを思い出したのか途中で一塁へ引き返していた。


「クッソ―打たれたか!」


 ヒットを打たれて悔しがる黒山。しかし、同様に清村弟の方も悔しがっていた。


(もっと前の位置で捉えるはずだったのに、予想以上に速い球がきて振り遅れた。結果的には逆方向のヒットになったけど、今の勝負は完全に俺の負けだ)


      123456789

  船町北 01020002

 龍谷千葉 1021020


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