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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第7章 春季大会準々決勝 船町北VS龍谷千葉
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第49話 船町北VS龍谷千葉㉑

 5番バッターの黒山が打席に上がるところで、清村弟はタイムをかけるとマウンドに向かった。


「おい村沢!」


「すまん!」


「えっ? なんで謝るんだ?」


「いや、だって打球から逃げて2点も取られちゃたからさ」


「逆だよ逆。俺は褒めようと思ってたんだぞ」


「どこに褒める要素があるんだ?」


「まずは安達からのホームランを阻止したこと。落ちる癖球のおかげでバットに当たる位置がずれたんだ。それでもヒットにされたのは、まあ安達を褒めるべきだな。そして2つ目はあの打球を避けれたこと。もし当たってたら怪我してたかもしれねえからな」


「総次郎……お前って意外と優しいんだな」


「別にそんなんじゃねえよ。お前に怪我されると目標の甲子園優勝が遠のくからな。それだけだ」


「全く、素直じゃねえな」


「そんなことより、次のバッターの黒山、まあまあいいスイングしてるからな。油断せずにしっかり投げろよ」


「了解了解」


 黒山に対する初球は、外角低めにストレート。少し外に外れてボール。


(130くらいの平凡なストレートだな。しかも右投げ。左バッターの安達と俺が続く場面でなんでわざわざこいつを出してきたんだ?)


 2球目、内角高めにストレート。これも少し高めに外れてボール。


(まっ、よくわかんねえけど超攻撃型のチームだけあって逆にピッチャーの方は人材不足なんだろうな)


 そして3球目、内角低めのストライクゾーンに入る球を、黒山は打ちにいった。


(よし、これで同点だ)


「カーン!」


 明らかな打ち損じとなったその打球はキャッチャーゴロとなり、2アウトから始まった船町北打線怒涛の追い上げは、あと1点取れれば追いつけるという惜しいところで終わってしまった。


(くそ―打ち損じた。ていうかなんか曲がったか? まっ、過ぎたことはしょうがない。これからの俺は味方の逆転を信じてピッチングに集中だ)


      123456789

  船町北 01020002

 龍谷千葉 1021020


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