第47話 船町北VS龍谷千葉⑲
8回の表。船町北の攻撃。
8番バッターの尾崎、ストレートを打ち上げて1アウト。
9番バッターの鶴田、スライダーをセカンドゴロで2アウト。
あっという間に追い込まれてしまったところで1番バッターの星が打席に上がる。
(ここから3人連続で塁に出られれば安達に打席が回る。そこでホームランが出れば逆転だ。うちがここから龍谷に勝つとしたらこれしかない。だからまずは俺が絶対塁に出るぞ)
初球、外角の低めにきたストレートを、星は逆方向に流し打ちした。打球はショートを守る清村兄が手を伸ばしてジャンプするほんの数センチ上を超えてヒットとなった。
「よっしゃ!」
今まで何度も阻まれてきた清村兄の守備を打ち破ってのヒットだったこともあり、星は思わず大声を出しながらガッツポーズをした。
続く2番バッターの白田も、変化球が2球続いたあとの甘く入ったストレートを捉え、センター前ヒットとなった。これで2アウトながらランナー1、2塁。そして、3番バッターの水谷を迎えた。
(俺はゲッツーが多いからゲッツーの可能性がある場面だとどうしても思い切ったスイングができなくなる。だがその反面、ゲッツーの可能性がない、しかもランナーがたまっているチャンスの場面だと俄然やる気が出てくるんだ。今はまさにその状況。打てる気しかしないぜ)
初球、内角低めにカーブ。低めに少し外れてボール。
2球目、外角低めにスライダー。わずかに外に外れてボール。
(見える、見えるぞ。やる気は満々だが冷静さは失っていない。こういう時の俺は怖いぞ)
3球目、若干内よりの甘いコースにカーブ。この球を今の水谷が見逃すはずがなかった。
「カキーン!!」
打球は三遊間を超える痛烈なレフト前ヒットとなったが、当たりが良過ぎたためセカンドランナーの星は3塁コーチャーをしていたキャプテンの上杉に止められて3塁でストップした。
8回の表。2アウトランナーなしという危機的状況から上位打線がヒットで粘り強く繋いでできた満塁の大チャンス。果たして4番バッターの安達は、チームメイト達の期待に応えて逆転満塁ホームランを打つことができるのだろうか? 次回へ続く。
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船町北 0102000
龍谷千葉 1021020
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