第462話 特待生選抜試験~野手編~①
午後から行われた特待生選抜試験では、午前中に投手の試験を受けた46人に加えて野手希望の55人、計101人が参加した。その試験内容は、ベースランニング、遠投、シートノック、そして最後に打撃試験が行われる。
ベースランニング、遠投、シートノックと試験が進んでいく中、鈴井監督は思いのほかレべルの高い選手達に期待を膨らませていた。
(ベースランニングのタイムに遠投の飛距離、そして守備力、今うちにいる選手達が入部したばかりの頃と比較するとかなりレベルが高いぞ。これは打撃試験も期待できるかもしれんな)
今回行われる打撃試験の内容は、140キロに設定されたピッチングマシーンのストレート10球を打ってもらい、その中から見どころのある選手が二次試験へと進み、吉田、川合、比嘉とそれぞれ1打席ずつ対戦してもらうというものだった。
しかし、いざ打撃試験が始まると、鈴井監督のお眼鏡にかなう選手はなかなか出てこなかった。
(苦戦してる選手が多いな。中学生相手に140キロは速すぎたか。しかし、最低でもこれくらいの球を打てないようでは、わざわざ特待生枠で獲得する価値はないからな。球速はこのままでいかせてもらうぞ)
101人中80人の打撃試験が終わった時点で、二次試験へ進めるレベルの選手はわずか4人だけだった。
(10球中ヒット性の当たりが5本以上打てたら合格と考えていたが、まさかここまで少ないとはな。10人以上は合格すると予想していたが、この調子だと5人いくかどうかだな)
そんな中、81人目に打撃試験を受けたのが、投手の選抜試験で最有力候補に上がっていた飯沼だった。
「カーン!」
「カーン!」
「カキーン!」
「カーン!」
「カキーン!」
「カーン!」
「カキーン!!」
「カーン!」
「カキーン!」
「カキーン!!」
(おおっ! ヒット性の当たりが5本でギリギリ合格だ。投手志望の選手で合格したのは飯沼が初めてだぞ。やはり特待生枠の最有力候補は、飯沼で決まりだな)
しかしその後は、特に有力な選手が現れないまま、100人目の打撃試験が始まろうとしていた。
(結局5人止まりで終わりそうだな)
その時、100人目の打撃試験を受ける選手の独特な打撃フォームを見て、鈴井監督は1年前に会ったある選手のことを思い出していた。
(あの打撃フォーム、もしかして……)
「カキーン!!!」
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