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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第35章 特待生選抜試験
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第460話 特待生選抜試験~投手編~④

 投手志望46人の特待生選抜試験が終わると、鈴井監督や船町北の部員達は昼食を食べながら話し合いをしていた。


「俺的には飯沼が1番、次点で外山が良かったと思うんだが、実際に対戦したお前らはどう思う?」


 鈴井監督からの問いかけに、星と山田は同時に答えた。


「俺も同じです!」


「やっぱそうだよな」


「野手でよっぽど良い選手がいない限りは、2人とも選んだ方がいいっすよ」


「俺もそう思います」


「実はな、俺も同じことを考えていたんだ。良いピッチャーは何人いても困らないしな」


 そんな話の流れを遮るように、西郷が語気を強めながら熱弁した。


「ちょっと待ってくれたい! 確かにあの2人は中学生にしてはかなり良かったばい。ばってん、獲得するなら絶対に宮山一択たい!」


「いやいや、それはないだろ」


「ていうか宮山って誰だっけ?」


「1番最後に投げたメガネたい!」


「あーあいつか。まー確かに、コントロールも良さそうだし変化球も多彩で悪くはないとは思うが……」


「さすがに球速が遅すぎるだろ。しかもチビだし。安達もそう思うよな?」


「いや、俺も最後に投げたメガネが1番良いと思います」


「マジか」


「安達まで宮山推しかよ」


「さすが安達たい! 宮山の凄さを見抜いてたばいね」


「いや、単純に1番結果残したのが最後のメガネだから、それで合格にしないのはまずいかなと思って」


「まあ確かにその理屈は一理あると思うが、勝負は時の運だしな」


「それな。俺と星があいつに打ち取られたのも、たまたま球が遅すぎてタイミングが合わなかっただけだしな」


「いいや、それは違うぞ」


「えっ?」


「監督はこっち側じゃなかったんすか?」


「確かに俺は飯沼と外山推しだが、宮山を推す西郷と安達の気持ちも理解できる。それくらい、あいつの投球技術はずば抜けていた」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ストライク!」


 星に投げた宮山の1球目は、外角低めへのストレート。その球速は……。


(113キロか……随分遅いな。アンダーでもないのにこの球速じゃあまず通用しないぞ)


 しかし、結果から先にいうと宮山の投球は通用した。それどころか……。


「カーン!」


「カーン!!」


「ストライク! バッタアウト!」


 星は内野ゴロ。山田は外野フライ。そして安達は見逃し三振と、3人まとめて完璧に抑えられたのだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「最初は俺もあいつは大したピッチャーじゃないと思っていた。でも、星が内野ゴロに打ち取られる前の5球目で、俺はやっと気付いたんだよ。西郷のミットがほとんど動いていないことにな」


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