第453話 熱血甲子園
タイムが終わり、打席に上がる安達。内角低めにミットを構える早乙女。静かに頷く佐藤。超満員の甲子園の観客達が固唾を飲んで見守る中、佐藤が初球を投げる。
(コースはバッチリ内角。少し浮き気味だが、スピードも出てる。これなら安達にだって通用するはず……)
コンマ数秒の間に、そんなことを考えながら佐藤の初球を捕球しにいった早乙女。しかし、この球が早乙女のミットに収まることはなかった。
「カキーン!!!!!」
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船町北VS大阪西蔭戦が終了してから約12時間後、その日行われた甲子園の試合をダイジェスト形式で紹介する人気番組『熱血甲子園』の放送がスタートした。
「さあ今日も始まりました熱血甲子園。本日行われた第一試合は、この選手の大活躍で波乱の展開となりました」
画面には、スイングをする安達弾の姿が大きなアップで映された後、試合のダイジェスト映像が始まった。
「船町北高校先発の比嘉君に対して、大阪西蔭打線は初回から何度もカットを繰り返します。その結果、比嘉君はまだノーヒットだったにもかかわらず3回でマウンドを降ります」
無念そうな表情でマウンドを降りる比嘉の表情が映される。
「そして4回表、比嘉君のあとを継いだ川合君がいきなり3連打を浴びてノーアウト満塁のピンチ。迎えるバッターは4番の高見沢君……」
川合が高見沢にデッドボールを出す映像が流れる。
「ここで痛恨のデッドボール。大阪西蔭高校に先制点が入ります。しかしその直後でした。5番坂崎君をトリプルプレーに打ち取り、ピンチを切り抜けます」
トリプルプレーの映像が流れる。
「続く4回裏、大阪西蔭のダブルエース、万場兄弟の前に2アウトまでノーヒットを続けていた船町北打線でしたが、この状況を打ち破ったのはこの人でした」
安達が万場弟から放ったホームランの映像が流れる。
「レフトスタンド上段へと突き刺さる見事な安達君の特大ホームランで、試合を振り出しに戻すと…」
山田が万場弟から放ったホームランの映像が流れる。
「4番の山田君が2者連続となるホームランで逆転します。しかし、5回以降は王者大阪西蔭高校が本領発揮。得点を積み重ねていき、9回裏を迎えた時点でその点差を10点までに広げます。ここで勝負は決まったかに思われましたが、ここから大きなドラマが待っていました」
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