第45話 船町北VS龍谷千葉⑰
7回の表。この回の先頭バッターは4番の安達。
(安達が俺と同等のバッターだとしたら、佐藤先輩ではまず抑えられない。ここは歩かせた方が……いやいや、こんな形で安達にホームラン対決で勝てたとしても全く嬉しくない。ここは勝負しないと。でもどこに投げればいいんだ……とりあえず王道に低めを攻めていくか)
初球、外角低めにストレート。見逃しストライク。
2球目、内角低めにカーブ。これも見逃しストライク。
(あれ? あっさり追い込めたな。佐藤先輩とは初対決だからまずは球をよく見ていこうって算段か。とりあえずまだ遊び球を3つ使えるんだ。ストライクゾーンには追い込まれてから勝負しよう)
3球目、外角低めにカーブ。低めに外れてボール。
4球目、真ん中低めにスライダー。これも低めに外れてボール。
5球目、外角高めのストレート。外角に少し外れてボール。
(やっぱりダメか。ストライクゾーンから少しでも外れた球にはピクリとも反応しない。それだけ選球眼が優れているということか。さて、次の球は……外角高めのあとだしここも王道に内角低めに投げてみるか)
6球目、内角低めにスライダー。ストライクかボールか、どちらのコールをされてもおかしくないような絶妙なコースにきたその球を、安達は見逃した。
「ストライク! バッターアウト!」
(よっしゃ! 佐藤先輩ナイスボール。でもおかしいな。安達ほどの選球眼があるなら、くさい球でも打ちにいけるはずなんだがな。もしかして安達の奴……やっぱり大したことないのか? 俺は安達のことの過大評価し過ぎていたのかもな)
続く5番バッターの黒山は、2球目の外角低めのストレートをうまく逆方向に飛ばしレフト前ヒット。6番バッターの福山は4球目のスライダーを引っかけてファーストゴロになるもその間にランナーが2塁へ進む。これで2アウトランナー2塁のチャンスとなったところで、7番バッターの新垣を迎えた。
(龍谷相手に7回まできて3点差か。去年の夏の大会ではちょうどこの回でコールド負けになったんだっけ。それが今ではまだ勝ちが狙える状況で戦えている。うちのチームも随分成長したもんだな。ようし、こうなったら勝ちを狙いにいくか。そのためにはまずこの回に1点は返しておかないと。正直バッティングの方はあまり自信ないけど、ストレート一本に狙いを絞ればなんとか打てそうだ)
初球、内角高めにカーブ。見逃しストライク。
2球目、内角低めにスライダー。見逃しストライク。
3球目、外角低めにスライダー。空振り三振。スリーアウトチェンジ。
(ストレート狙いがバレバレだよ。もうちょっとうまくやんないと。まっ、俺がキャッチャーじゃなかったら見逃してたかもね)
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船町北 0102000
龍谷千葉 102102
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