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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第34章 夏の甲子園3回戦 船町北VS大阪西蔭
450/479

第441話 トリプルプレーとホームラン

 坂崎の打球はほぼ真下に叩き付ける形となり、キャチャー西郷はそのバウンドした打球をすぐに捕ってホームベースを踏むと同時にサードへと送球、そしてサードはすかさずセカンドへと送球。


「アウト!」


「アウト!」


「アウト!」


 滅多に起きないトリプルプレーの成立に球場は大盛り上がり。一方でトリプルプレーの戦犯となった坂崎はというと……。


「クソッ!」


 打球を地面に叩き付けてしまった坂崎が、今度は自らのバッドを地面に叩き付けながら悔しがっていた。


(あんな球見逃すべきやったのに、狙ってた外角にきたもんやからつい手を出してもうた。そして結果は最悪のトリプルプレー。何やってんねん俺)


 先制点を奪われ尚もノーアウト満塁という絶体絶命の状況から、奇跡のトリプルプレーでこのピンチを乗り越えた船町北。1点リードされてはいるものの、流れは完全に船町北へと傾いている状況で迎えた4回裏。


(最高の流れからの安達に打線が回るこの回、最低でも同点に追いつかないとやばい。そのためには何としても出塁しないと……もうあいつのサイドスローにビビってる場合じゃねえ) 


 先頭バッターの星は、初球から勝負に出た。万場弟が投球フォームに入るや否や、すかさずバントの構えを見せる星。ファーストとサードはこれを見て、すぐにダッシュを始めた。


(ここだ!)


「カーン!」


 恐怖心を乗り越え、星は見事プッシュバントとバスターの中間、伝家の宝刀プッシュバスターを狙い通りサードの頭上を超える絶妙のラインで決めて見せた。


(よしっ!)


 そう心の中でガッツポーズをとりながら1塁へ走っていた星の耳に、信じられない審判の声が入ってきた。


「アウト!」


(はあ?)


 何が起こったんんだと言わんばかりの表情で振り返った星。そこには、定位置から大きく外れた位置にいるショートが、ボールをキャッチしていた。


(あいつまさか、俺のプッシュバスターを事前に予測してあの位置まで移動したっていうのか? さすがは日本一のチーム。守備力も伊達じゃないってことか)


 そんな大阪西蔭のファインプレーが飛び出し、続く2番野口も三振に倒れ、せっかく船町北に傾いていた流れが再び大阪西蔭へと戻りかけていたその時、あの男の特大ホームランが再び流れを船町北へと引き戻した。


「カキーン!!!!」


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