第44話 船町北VS龍谷千葉⑯
(これで2本目。ようやく追いついたぞ安達弾。見たか俺の逆方向への華麗なホームランを。次の打席で追い抜いてやるからな。覚悟しておけよ!)
清村弟は一塁ベースを回る際にファーストの安達をまた睨みつけたが、当の安達本人はというと打球が飛んだライトスタンド方向をボーと見つめていたため、またもやそのことには気付いていなかった。
(水谷の奴大丈夫かな?)
心配になった鶴田はまたタイムをとってマウンドに向かったが、水谷は落ち着いた様子だった。
「やべーな清村弟。あの球をホームランにするかよ普通。あんだけ見事にやられたら、もう落ち込む気にもなれねえよ。ま、単純に俺の実力不足ってことだな。また1から頑張るよ。まずはオーバースローからの投球のコントールと未完成のチェンジアップを完璧に仕上げないとな。それにアンダーからの投球だってコントロールはともかくスピードや変化球のキレ、まだまだ伸びしろはあるはずだ。あー早く帰って鍛え直してえな」
「その前に残り2アウト。しっかり頑張ってくれよ」
「もちろん。俺のさらなるレベルアップに向けた最強の練習相手だと思って全力を尽すぜ」
この後の水谷は、何かが吹っ切れたような気迫溢れる投球を続け、5番バッターの田中をセカンドフライに打ち取ると、6番バッターの斎藤、7番バッターの片岡には連続ヒットを許すも、8番バッター西村をサードフライに打ち取り、その後の追加点を許すことなく水谷にとってこの日ラストのマウンドとなる6回裏の守備を終えた。
水谷卓也。龍谷千葉打線相手に3回3失点。白田に続き3回2失点以内というノルマこそ達成できなかったものの、その3失点は全て清宮弟のホームランによるもの。もしも清村弟がいなかったら、水谷は龍谷千葉打線を3回無失点に抑えていた可能性もある。今回の水谷の投球は、龍谷千葉にとって白田以上のインパクトを与える結果となった。
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船町北 010200
龍谷千葉 102102
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