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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第7章 春季大会準々決勝 船町北VS龍谷千葉
44/479

第43話 船町北VS龍谷千葉⑮

 7球目に水谷が投じた球は内角低めへのストレートだったが、小林はその球を引っかけてサードゴロに終わった。


(3球目と5球目にきた下から浮き上がる高めのストレートの軌道を見ていたせいで浮き上がらないまま真っすぐ向かってくる低めのストレートへの対応がうまくできなった。完全にやられたな)


 続く3番バッターの鈴木に対して、水谷は四隅の際どいコースギリギリを投げ分ける丁寧なピッチングを続け、4球で2ストライクまで追い込んだ。しかし、ここから鈴木は4球連続でカットし、9球目にきた外角の低めに外れたシンカーを見送って2ストライク3ボールとまたもや両者が追い込まれる形となった。


 そして10球目、内角低めに投げるはずだったカーブが、若干真ん中よりの甘いコースにきたのを鈴木は見逃さなかった。


「カキーン!!」


 打球はファースト安達の頭上を抜けるライト前ヒットとなった。


 続く4番バッターの清村弟を迎えた所で、鶴田はタイムをかけるとマウンドの水谷の元に向かった。


「これからの配球だけどこのままアンダー1本で勝負するか? それともオーバースローも混ぜるか? 最後は水谷が決めてくれ」


「アンダー1本でいくよ。昨日の千葉修道の試合では通用したし、今日の試合でも未完成のチェンジアップのおかげで騙し騙し何とか抑えてきたけど、さすがに清村弟には通用しないだろ。最後は俺の本来のスタイルで勝負するよ」


「わかった」


 タイムを終えて定位置に戻ると、清村弟がバットをかなり短く持って構えていた。


(龍谷打線の1番の怖さは長打力。それを封印してまで当てにきてるってことは水谷のピッチングが認められている証だ。まっ、去年はそれで連続ヒット打たれてやられちゃった訳だけど。あの頃よりも成長した今のピッチングで見返してやるぞ)


 初球、外のボールゾーンから外角低めギリギリに入ってくるシンカー。この難しい球を、清村弟はいきなり打ちにいった。


「カキーン!!!」


 打球はライト方向に向かって飛んでいく。


(おいおいマジかよ。あのコースの球をあれだけバットを短く持ちながらしかも逆方向に。こりゃあツーベースで1点入っちゃうかもな)


 そんなことを考えながらクロスプレーに備えてライトからの返球を待っていた鶴田だったが、その返球が返ってくることはなかった。なぜなら清村弟の放った打球はさらに伸びていき、そのままライトフェンスをギリギリ超えるツーランホームランとなったからだ。


      123456789

  船町北 010200

 龍谷千葉 102102


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