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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第34章 夏の甲子園3回戦 船町北VS大阪西蔭
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第427話 恐怖のカット隊②

 戸次監督の突然の発表に、戸惑いを隠せない部員達。


「まあ突然こんな発表をされても困りますよね。ではなぜカット隊が必要なのか。その必要性について説明していきましょう。高校野球の世界では一昔前まで、チームのエースが全試合を完投する、それが当たり前でした。しかしその結果、プロ入りを期待されていた有望な選手達が故障してしまい、プロ入りを断念してしまうような悲惨な末路を辿ってしまうケースが続出しました。そんな流れから、近年では徐々にですが、複数の投手で継投したり、試合ごとにローテーションを組んだりして投手1人当たりの負担を減らすように配慮するチームが増えてきました。そして特に、ドラフト候補に上がるような有望な投手ほど、球数制限をかけたり連投を禁止したりして大切に扱われがちになります。まさに、うちでいう千石君のような感じですね。残念ながらそれでも彼は今、怪我で苦しんでいますが……」


 甲子園の決勝戦で肩を再び痛めてしまい現在治療に励んでいる千石の話題になり、顔を曇らせる戸次監督。


「おっと、話が逸れてしまいましたね。例えば、今言ったようなドラフト候補に上がるほどの実力があり尚且つ球数制限などで大切に扱われている投手を要するチームと、うちのチームが対戦することになったとします。そこで登場するのがカット隊です。カット隊には先発で出場してもらって、そしてひたすらカットをし続けてもらい相手ピッチャーに球数を投げさせます。そうすると、相手の監督はまだ試合の序盤でもその投手を引っ込めなければならなくなります。そして実力が劣る控え投手が出てきたところで、うちもすかさずカット隊を引っ込めてレギュラーの選手達を投入し、滅多打ちにして確実に試合をものにする。カット隊がいることで、このような戦術が使えるという訳です」


 戸次監督の話を真剣に聞き入る選手達。


「うちは今年の夏、念願だった甲子園を制覇しました。しかし、私はまだまだ満足していません。夏だけでなく秋季大会や春の甲子園、そして来年の夏もずーと勝ち続ける。そんな大阪西蔭の黄金時代を作るつもりです。そのためには、当たり前ですが1試合も落とす訳にはいかないのです。現在うちの戦力は、ピッチャーでは夏の大会でも大活躍してくれた万場兄弟がこれからも引っ張ってくれるでしょう。彼らはまだ1年生なので、これから2年間は安泰です。そして打線の方も、引退する3年生が抜けても十分やっていけるだけの人材が集まっています。しかし、どんなに優秀な打線でも、打線は水物という言葉がある通り点を取り続けられる保証はありません。つい先日の甲子園決勝でも、うちは5回まで村沢君に無失点に抑えられてましたし、さらに遡ると、練習試合ではありますが船町北の黒山君に10回までを無失点に抑えられるということもありました。このように、いくらうちの強力打線でも強いピッチャーを要するチームと当たってしまえば、負けてしまう可能性も十分に考えられます。そんな負ける可能性を少しでも減らすためにも、カット隊の力が必要なのです」


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