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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第34章 夏の甲子園3回戦 船町北VS大阪西蔭
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第424話 舐めプ

 2017年8月18日。夏の甲子園が開幕してから11日目の第1試合、船町北VS大阪西蔭戦がいよいよ始まろうとしていた。両校のスターティングメンバ―が発表されると、観客席はざわつき始めた。


「おいおい何だよこのスターティングメンバ―は」


「船町北高校、完全に舐められてるじゃねえか」


「いわゆる舐めプって奴か」


 船町北高校スターティングメンバー


 1 星(中)

 2 野口(二)

 3 安達(一)

 4 山田(右)

 5 石川(三)

 6 佐々木(遊)

 7 滝沢(左)

 8 西郷(捕)

 9 比嘉(投)


 大阪西蔭高校スターティングメンバー


 1 桜井(中)               

 2 東野(遊)    

 3 田村(左)

 4 横関(三)

 5 野宮(右) 

 6 広瀬(二) 

 7 早乙女(捕)

 8 万場兄(一)

 9 万場弟(投)


 ベストメンバーで組んだ船町北とは対照的に、大阪西蔭のスターティングメンバ―は、キャッチャーの早乙女と万場兄弟の2人を除く6人が、今大会ではまだ1度も出場していない控えメンバーだった。


「いくら高校野球界一の実力校だからって、相手は今ノリに乗っている船町北高校だぞ」


「あの二刀流エース古田輝希率いる秋田腕金高校を撃破して、2回戦も10点差で圧勝した船町北相手に、なぜベストメンバーで試合に臨まないんだ」


 観客達が困惑する中、船町北ナイン達はそのスターティングメンバ―を見て大喜びしていた。


「ラッキー」


「あいつら、俺達のこと滅茶苦茶舐めてくれてるな」


「先の試合を見据えて、レギュラーを休ませようとでもしたのかもしれないが、それは悪手だぜ」


「万場兄弟対策はバッチリやってきたし、こんな控え選手相手ならうちのピッチャー陣が打たれるはずはない」


「この試合、もらったぞ」


 そんな選手達を見かねた鈴井監督は、釘を刺す。


「おいお前ら! いくら控えの選手だからって油断するなよ。控えは控えでも、全国ナンバー1チームの控え選手だ。弱いはずがない。お前ら、心して挑めよ」


「はい!」


(それにしても、点差が付いた途中からとかではなく最初からスタメンを休ませるなんてどうも気になるな。何か悪い予感がするぞ)


 その鈴井監督の悪い予感は的中していた。


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