表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第33章 夏の甲子園2回戦 船町北VS山形大星
431/479

第422話 復活!

 初回いきなりの4失点から始まり、さらには正捕手の西郷が怪我で交代するという大波乱まで起きた船町北VS山形大星の試合だったが、終わってみれば大差で船町北の圧勝という結果で幕を閉じた。


      123456789 計

 山形大星 410000100 6 

 船町北  41140312✕ 16


 2回までに5失点と、初めての甲子園という大舞台で投げる緊張や、下馬評では勝って当たり前と言われている中で投げるプレッシャーなどにより、中々調子が上がらなかった先発の吉田。しかし、3回からマスクをかぶった山田に散々挑発されたことで、山田に対する怒りが緊張やプレッシャーを打ち消して良い意味で吹っ切れることのできた吉田は、3回以降は7回までを投げて1失点と見事に復活したピッチングをみせた。


 そして、8回は川合、9回は比嘉が3回戦の大阪西蔭戦に向けた調整登板をし、それぞれ無安打無失点と危なげのないピッチングで締めくくった。


 また、打線の方も甲子園タイ記録となる1試合3ホームランを放った安達を中心に、二桁安打二桁盗塁の打ちまくり走りまくりの大爆発。前回の試合で、わずか1安打に抑えられたのが嘘かのような復活ぶりを見せた。


 試合を終えて、西郷と一緒に病院に向かった鈴井監督を除く船町北ナイン達は、快勝を喜んでいた。


「今日は久々の大勝利で気持ち良かったな」


「途中まではどうなることかと思ったけど」


「それもこれも、全ては途中からマスクをかぶった俺の大活躍のおかげだな」


「おいおい山田、自分で言うなよ」


「いや、言っていいぞ。キャプテンの俺が許す」


「よっしゃー。キャプテンのお墨付きをもらったぜ。どうもー今日のMVPの山田でーす」


 そんな調子に乗っている山田の様子を、少し離れたところから見ていた野口と吉田。


「すっかり調子に乗ってるな山田の奴」


「まあまあ今日くらいは調子に乗らせてやろうぜ。あー見えて山田は、西郷に正捕手の座を奪われた後も、ずーと地道にキャッチャーの練習を腐らずに続けてきたんだ。最初はまともに捕れなかった比嘉のストレートや川合の荒れ球も、今日の試合では1度も逸らさずに捕球できていた。そして何より俺自身、今日の試合途中から復活できたのは、悔しいがあいつのおかげだ。山田は本当に凄い奴だよ。例え西郷がこれから怪我で試合に出られなくなったとしても、山田がいれば安心して戦えるさ」


「吉田……お前てっきり山田と仲が悪いもんだと思っていたけど、意外と信頼してるんだな」


「いや、仲は悪いぞ。あいつ、性格はクソだからな」


「はっはっは。まっ、喧嘩するほど仲が良いってことだな」


「いや、だから仲は良くねえって」


 そんな話をしているところに、病院から西郷と鈴井監督が帰ってきた。


「みんな喜べ。西郷の足の具合だが、軽い打撲ですぐに治るらしい。3回戦の大阪西蔭戦には余裕で出られるぞ!」


 西郷の復活にみんなが喜ぶ中、ただ1人山田だけがこっそり舌打ちしているのを、吉田は見逃さなかった。


(やっぱり、あいつの性格はクソだな)


---------------------------------------------------------------


小説の続きが気になるという方は、ブックマークや

下にある☆☆☆☆☆から作品への応援をいただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ