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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第7章 春季大会準々決勝 船町北VS龍谷千葉
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第42話 船町北VS龍谷千葉⑭

 6回の表。ここで龍谷千葉は代打で出た桧川に代えてピッチャーの佐藤がマウンドに上がった。船町北のバッターは1番星。


(録画した映像で見た感じだと監督の言う通り黒山の劣化版って感じのピッチャーだったな。だけど油断は禁物だ。しっかり見ていこう)


 初球、内角低めにストレート。見逃しストライク。


(球速は130キロってとこか。これなら打てそうだな)


 2球目、内角低めにカーブ。少し低めに外れてボール。


(球速は120キロくらいか。山田のスローカーブを見慣れたせいか速く感じるな)


 3球目、またもや内角低めに、今度はスライダー。見逃しストライク。


(球速は120代後半ってとこか。どの球も腕の振りが全く同じで球速差もあまりないから見分けがつきづらいな)


 4球目、内角高めにストレート。星はなんとかこれをカットした。


(今のストレートは140近く出てたな。空振りを狙いにいく速い球も投げられるってことか)


 5球目、外角低めにスライダー。星はその球を引っかけてしまい、ピッチャーゴロに打ち取られた。


(スライダーにしてもカーブにしても、ちょっとしか変化しないから引っかけてゴロになりやすい。佐藤、意外と厄介なピッチャーだな)


 続く2番バッターの白田は、ストレートを打ち上げてセカンドフライ。


 3番バッターの水谷は、カーブを引っかけてファーストゴロ。船町北打線は初回と同様、安達の前に1人もランナーをためることができないまま6回の攻撃を終えた。


 6回の裏。龍谷千葉の攻撃は、2番バッターの小林。前の打席ではホームランを打っている。


(さっきの打席に続いてもう1本、といきたいとこだが、監督の作戦には従わないとな)


 小林はバットを短く持って構えた。


(龍谷千葉の上位打線相手にコントロールの不安定なオーバースローからの投球をするのはリスクが高そうだな。前の回も結果的には抑えられたがいい当たり打たれてたし。この回を1点以内に抑えてノルマを達成するには、投げなれたアンダーからの投球に賭けた方が良さそうだな)


 初球、内角ギリギリをえぐるシュート。小林はこの球を打ちにいくもファールとなった。


 2球目、内角低めにシンカー。小林はこの球も打ちにいくが、3塁線を切れてファールになる。


(際どいコースばかりで打ちづらいな。だが、打てない球ではない)


 3球目、外角高めにストレート。高めに外れるボール球だったが、小林はこの球も打ちにいきまたファールボールとなった。


(今のは見逃すべきだったか。アンダーからのストレートは軌道が特殊で判断しづらいんだよな)


 4球目、外角低めにカーブ。低めに外れてボール。


 5球目、内角高めにストレート。小林は一瞬うちにいこうとするも、ギリギリ踏みとどまる。高めに外れてボール。


(よし、今度は見逃せた。なんとなくストレートの軌道も読めてきたぞ)


 6球目、外角低めにスライダー。ボール1つ分外に外れてボール。これでカウントは2ストライク3ボール。ピッチャーもバッターも両者追い込まれる形となった。


 そして運命の7球目。水谷が投じた球は……。


      123456789

  船町北 010200

 龍谷千葉 10210


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