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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第33章 夏の甲子園2回戦 船町北VS山形大星
427/479

第418話 勝って当たり前

 2017年8月15日。夏の甲子園が開幕してから8日目の第1試合、船町北高校の2回戦が始まろうとしていた。相手は山形大星高校。船町北は初戦で破った秋田腕金に続く、東北勢との対戦となった。


 船町北高校スターティングメンバー


 1 星(中)

 2 野口(二)

 3 安達(一)

 4 山田(右)

 5 石川(三)

 6 佐々木(遊)

 7 滝沢(左)

 8 西郷(捕)

 9 吉田(投)


 山形大星高校スターティングメンバー


 1 佐藤(右)

 2 髙橋(二)

 3 渡辺(三)

 4 加藤(一)

 5 後藤(左)

 6 阿部(中)

 7 斎藤(遊)

 8 伊藤(捕)

 9 鈴木(投)


 この日甲子園球場に詰めかけた観客達は、ほとんどが相手側の応援団だった初戦の時とは逆に船町北を応援する人達が約8割を占めていた。というのも、全国的に注目されていた秋田腕金高校相手に継投完全試合で勝利するというあの劇的な試合をきっかけに、船町北を応援する高校野球ファンが急増したためだった。


「解説の後藤さん、この試合はどのような展開になると思いますか?」


「やはりこの試合、船町北が有利でしょうね。船町北と言えば、初戦であの秋田腕金相手に継投ではありますが完全試合を成し遂げるなど、今ノリに乗っていますからね。一方の山形大星ですが、実は秋田腕金高校とは練習試合で2度対戦したことがあるらしいのですが、2回とも完敗しているそうです。まあ冷静に見て、8割方船町北が勝利するでしょう」


 この解説者のように、この試合は初戦の秋田腕金戦とは打って変わって、どの解説者も大方船町北が勝つだろうと予想していた。そしてもちろん、船町北の鈴井監督も選手達も、勝って当たり前の試合という認識でこの試合に臨んでいた。


「この試合は、3回戦で当たる大阪西蔭との対決に向けた前哨戦だ。勝って当たり前。できればコールドゲームで圧勝するくらいの意気込みで臨んて欲しい」


「はい!」


「とは言っても、甲子園ではコールドゲームは適用されないがな」


 そんな感じで始まったこの試合だったが、1回表山形大星の攻撃から予想外の展開が待ち受けていた。 


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