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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第32章 夏の甲子園1回戦 船町北VS秋田腕金
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第416話 勝った気がしない

 夏の甲子園1回戦船町北VS秋田腕金の試合が終わった翌朝、船町北ナインの宿舎に配達されたスポーツ新聞の朝刊には、こんな見出しが書かれていた。


『古田輝希圧巻の投球! 大会新記録23Kも秋田腕金初戦で散る!』


 この朝刊を見て、船町北ナイン達は次々に愚痴をこぼした。


「何だよこの見出しは!」


「試合に勝ったのは俺達だぞ!」


「なんで古田と秋田腕金の名前しか出てねえんだよ!」


「俺の完全試合のことなんてこんなに小さくしか書かれてないぞ。ふざけやがって!」


「正確には俺のじゃなくて、俺と比嘉のな。しかも川合、お前は9回の内の3回しか投げてないんだから、比嘉のおまけみたいなもんじゃねえか。比嘉ならともかくお前に怒る権利はねえよ」


「なんだと!」


 そんな船町北ナイン達を、鈴井監督が一括する。


「まあまあお前ら落ち着け。所詮俺達のチームは、全国的に見ればまだまだ無名だ。ネームバリューのある、秋田腕金や古田の名前がフューチャーされるのは仕方がない。悔しかったら、この大会で1つでも多く勝ち上がって船町北やお前ら個人の名前を全国に轟かせるしかねえぞ。ところでお前ら、安達と比嘉が見当たらないようだがどこにいるか知らないか?」


「あの2人なら多分、自主練でもしてるんじゃないですかね」



 その頃宿舎の外では、比嘉が1人黙々とランニングをしながら昨日の試合のことを考えていた。


(昨日の試合、結果的には勝てたけど全然勝った気がしない。古田輝希、ナックルも凄かったがそれ以上に左の投球はヤバかった。150キロ越えであれだけキレのあるストレートを投げられるなんて……完全に俺の負けだ。俺は球速の速いストレートを投げようとすると、どうしてもキレがなくなってしまう。まあそのキレのなさが逆に武器になっていたから、俺は今までそのことを甘んじて受け入れていた。けど昨日、あのストレートを見て確信した。俺が本当に目指すべきは、あのストレートだ!)


 また時を同じくして、安達は1人宿舎の近所にある空き地で素振りをしながら昨日の試合のことを考えていた。


(昨日の試合、試合には勝てたけど古田には完敗だった。まさかチーム唯一のヒットが、比嘉のまぐれ当たりのホームランとはな。全く情けないぜ。恐らくまたいつの日か、あいつとは対戦することになるだろう。その時は絶対やり返してやるからな。待ってろよ古田!) 


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