第406話 異常なストレート②
6回裏。秋田腕金の7番バッター佐藤が打席に入る。
(落ちるストレートって、もはやストレートじゃないよな。ストレートくらい早いフォークボールってことか? うーん……いくら考えてもよくわからないな。まっ、実際に自分の目で見て確かめるしかないか)
「ストライク!」
川合の初球ストレートが、内角低めに決まった。
(なるほど、確かに落ちてる感じがするな。でも、フォークボールのようなストンと落ちる感じではなく、最初からちょっとずつ徐々に落ちてくる感じか)
2球目。真ん中の低めにきた球に反応し、佐藤はスイングしたものの、球はバットの下を潜り抜けていった。
「ストライク!」
(やべっ、今のはボール球だったな。投げた瞬間は普通にストライクゾーンに入りそうな気がしたのに、そこからあの低さまで落ちていくのか。対応がクソ難しいな)
3球目は高めに、4球目は外に外れるストレートを見逃して、カウントは2ストライク2ボールとなった5球目。川合が投じた球は、高さは真ん中くらい、そしてコースは外角ギリギリの所に向かっていた。
(臭いコースだが打ちにいくしかないか)
佐藤は川合のストレートが落ちてくることも計算に入れながらバットを出すも、その計算のさらに下を球は潜り抜けていった。
「ストライク! バッターアウト!」
(あー打ちづれえ。うちの古田や最初に対戦した比嘉みたいな高めに伸びていくストレートは何度も経験しているが、その真逆の落ちるストレートなんて異常過ぎるだろ。一体どうなってんだ?)
続いて打席に立った8番鎌田、そして9番小松も、普段練習で目にしているキレが良く高めに伸びてくるように感じる古田のストレートとは真逆の性質の、あまりにキレが悪過ぎて落ちてくるように感じる川合の異常なストレートに悪戦苦闘。8番鎌田は空振りの三振。そして9番小松は、何とかバントで出塁を試みるもバットの下の位置に当たってしまい打球は真下へ。あえなくキャッチャーゴロとなった。
123456789
船町北 000001
秋田腕金 000000
---------------------------------------------------------------
小説の続きが気になるという方は、ブックマークや
下にある☆☆☆☆☆から作品への応援をいただけたら嬉しいです。




