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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第32章 夏の甲子園1回戦 船町北VS秋田腕金
397/479

第388話 三振が奪えない

      123456789 

 船町北  0

 秋田腕金 


 1回表。秋田腕金先発古田の三者連続三振という完璧な立ち上がりで船町北の攻撃は終わった。


 そして1回裏。この古田の投球を見て闘志をメラメラと燃え上がらせていたのが船町北先発の比嘉だった。


(ようし、俺だって三者連続三振でやり返してやる)


 そう意気込んでマウンドに上がった比嘉だったが……。


「カーン!」


「アウト!」


 秋田腕金1番バッターの木下に、初球からいきなりショートフライを打たれてしまう。


(くっそーいきなり俺の予定を狂わせやがって。でもまあいい。1球でアウトを取れたんだしよしとしよう)


 そう気持ちを切り替えて軽く流した比嘉とは対照的に、キャッチャーの西郷はかなり動揺していた。


(比嘉のストレートを初見でいきなり当ててくるとは……秋田腕金打線、要注意たい)


 警戒を強めた西郷は、より厳しいコースを中心に配球を組み立てていき、西郷もその要求通りのコースへ球を投げていった。しかし、それでも……。


「カーン!」


 2番バッターの中田は、2ボール2ストライクと追い込まれた5球目のストレートを打ちにいき、結果はセカンドフライだった。


(また当てられた。今日の俺のストレート、調子悪いのかな?)


(比嘉の調子は悪くないたい。コースも外角低めいっぱいに決まっていた。それなのに……また当てられたばい)


 そして3番バッター三浦との対戦に至っては……。


「カキーン!!」


「アウト! チェンジ!」


 打球方向がサードを守る石川の真正面だったためヒットにはならずなんとかアウトにできたものの、比嘉のストレートはしっかりとバッターに捉えられていた。


      123456789 

 船町北  0

 秋田腕金 0


 比嘉は初回を一応三者凡退に抑えたものの、いつもなら面白いように空振りを奪っているストレートを簡単に当てられてしまうことに、比嘉も西郷も危機感をつのらせていた。


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