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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第31章 夏の甲子園開幕
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第381話 古田以外

「では、まずは守備から。この前見た番組でも言っていた通り、腕金のレギュラー9人は小学生時代から今までずっと同じポジションを守っている。そのおかげもあってか、全員かなり上手い。このチームは古田の投球ばかりが話題になりがちだが、その古田の投球を陰で支えているのがこの鉄壁の守備だと言えるだろう。事実、甲子園予選で古田が準決勝のノーヒットノーランと決勝の完全試合をやってのけた2試合でも、守備のファインプレイに助けられた場面がそれぞれ2、3回はあった。あの歴史的な大記録は、鉄壁の守備陣がいたからこそ成し遂げられたものだ。このチームから得点を奪うのは、本当に難しいぞ」


 険しい表情をする船町北ナイン達。


「続いて打線だが、パワーが凄いとかミート力がずば抜けているとか足が滅茶苦茶速いとか、そんな選手は1人もいない。だからと言って、全員が打率3割を超えていることからもわかるように穴になるような弱いバッターもいない。千葉修道や三街道の強力打線に比べたら劣るが、油断はできない打線だぞ。明日の試合は必ず投手戦になる。だからいかにこの打線を無失点に抑え続けるかが勝利の鍵となる。という訳で、その鍵を握る明日投げるピッチャーだが、先発は比嘉、そして1巡投げ終わったら川合にスイッチ。ここまでは甲子園予選の時と同じだが、明日の試合は1点が命取りになる。だからもしも川合が得点圏にランナーを背負った場合は、すぐにまた比嘉に交代してもらう」


「はぁ? 俺はピンチを背負ってから真価を発揮するタイプっすよ。なのにそりゃないっすよ」


 そう反論する川合を、鈴井監督は一蹴する。


「うるせえ! 文句があるなら得点圏までランナーを進めない投球をしてみろ!」


「は、はい……」


「この継投で、比嘉には投球制限の80球ギリギリまで投げてもらう。そして比嘉が投げられなくなったら、残りのイニングは全て吉田に投げてもらう」


「えっ、俺も投げるんすか?」


「ああそうだ。明日は投手総力戦で、何としても初戦を勝ちにいくぞ」


「はい!」


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