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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第7章 春季大会準々決勝 船町北VS龍谷千葉
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第37話 船町北VS龍谷千葉⑨

 4回表。船町北の攻撃。前の回でランナーの星が盗塁でアウトになったため、打席に立つのは引き続き2番バッター白田。


(ピッチングの反省はあとだ。今は打席に集中しよう)


 初球はスローカーブ。ど真ん中の見逃しストライク。

 2球目もスローカーブ。外角低めの見逃しストライク。

 そして3球目。内角へのストレート。

 

 初回こそ山田が投じる独特のストレートに全く対応できなかった白田だったが、前の回の打席で3球続けてストレートを見たばっかりだったこともあり、今では山田のストレートの軌道を完全に見極めていた。


「カキーン!」


 打球は投手の頭上を真っすぐ超えていくきれいなセンター前ヒットとなった。


(よし、安達の前にランナーが出た。けど次のバッターは水谷か。あいつゲッツー多いんだよな。かといってバントさせるのも消極的過ぎるか……よし、ここは勝負に出るか)


 鈴井監督は水谷にあるサインを出した。


 3番バッター水谷に対して山田が初球のスローボールを投げようと投球フォームを始めた瞬間、ランナーの白田がスタートを切った。


(ラッキー。また引っかかったぜ)


 キャッチャーの清村弟はそれを見て即座にサインを送り、山田はストレートを外角高めに外して投げた。


(よし、これでまた刺して1アウトだ)


 そう清村弟が思ったのもつかの間、水谷はそのストレートを強引に打ちにいった。


(何! ヒットエンドランだったのか!)


「カーン!」


 なんとか水谷がバットに当てたその打球はピッチャーゴロになるも、ランナーは2塁へと進んだ。


(あっぶねー。完全な采配ミスになるところだったな。水谷様、ありがとうございます)


 1アウトランナー2塁。普通のヒットでも1点差、ホームランなら同点に追いつくという絶好の場面で、打席は4番バッター安達に回ってきた。


(1点はしょうがないけど、ホームランだけは打たれたくない。ここはストレートを封印してスローボールとスローカーブだけで勝負するか。山田先輩の遅い球は特殊な山なりの軌道だからヒットは打ててもホームランにするのは至難の業。事実、うちの高校でもあの球をコンスタントにホームランにできるのは圧倒的なパワーとバットコントロールを兼ね揃えた俺くらいだもんな)


「カキーン!!!!」


 山田が投げた初球内角高めのスローボールを安達は難なく打ち返すと、打球はライト小林の頭上を越えていき、ライトフェンスをギリギリ超えるホームランとなった。


(マジか。山田先輩のスローボールまでホームランにするのかよ。安達弾……同い年で初めて俺と対等に争える選手がやっと出てきたか。こりゃあますます負けられねえな)


      123456789

  船町北 0102

 龍谷千葉 102

 

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