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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第29章 理事長からの呼び出し
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第361話 理事長からの呼び出し①

 2017年7月26日。船町北高校野球部が夏の甲子園出場を決めた翌日、鈴井監督は理事長から呼び出されていた。


(甲子園出場を決めたこのタイミングだし、多分甲子園出場のお祝いだとは思うが……もしかしたら、去年理事長に特待生枠を認めてもらうために、川合のことを中学時代から野球部のエースで全国大会に出場するほどの優秀な選手だったと誤解させるような交渉をしたことがバレて、怒っている可能性もあり得るな。やばい、なんだか胃が痛くなってきた)


 そんなことを考えながら、恐る恐る理事長室へと入る鈴井監督。


「おお鈴井監督! 甲子園出場おめでとう! よくぞやってくれたね」


(あー良かった。上機嫌じゃないか。どうやら俺の取り越し苦労だったみたいだな)


「ありがとうございます。うちの野球部が甲子園に行けたのも、理事長が特待生枠を認めてくれたおかげです。本当にありがとうございました」


「いやいや、礼には及ばんよ。ところで早速本題だが、確か去年、2年以内に甲子園出場できなければ特待生枠は廃止にして、君には監督をやめてもらうと約束しましたよね?」


「はい」


「そして鈴井監督は、2年どころかわずか1年で結果を残した。ですので約束通り、監督契約はこれからもしばらくは延長しようと思っています」


「ありがとうございます」


「ですが、特待生枠については、甲子園の結果次第では考えを改めたいと思っていましてね」


「ちょっと待ってください! 話が違うじゃないですか?」


「まあまあ落ち着きなさい。鈴井監督、君はM1グランプリを知っているかね?」


「ええ。漫才の大会ですよね」


「M1グランプリは毎年数千組の漫才師がエントリーして、そこから敗者復活枠も含めればわずか10組だけが決勝トーナメントに進出し、その決勝戦の模様はテレビで全国放送されます。そして映えて優勝するか、優勝まではいかなくとも審査員から高評価をもらえれば、一躍スターとなり各局のバラエティー番組に引っ張りだこの人気芸人になれるのです」


「あのー、それが特待生枠の話と一体何の関係があるのですか?」


「まあまあ最後まで話を聞きなさい。さっき話した通り、M1グランプリで活躍した漫才師は一躍スターになれますが、逆に決勝の舞台で大滑りして最下位にでもなろうものなら、つまらない漫才師という不名誉なレッテルを張られてしまう危険もあるのです。実際には、数千組の中から決勝トーナメントまで進んだ実力者であるにも関わらず。これって、甲子園でも同じことが言えると思いませんか?」


「えっ?」


「つまりですね、例え甲子園に出場しても、初戦でぼろ負けなんてしてしまったら、うちの高校はたまたま運良く甲子園に出場できただけの、本当は弱いチームというレッテルを張られてしまう危険があるということです」


「なるほど」


「そうなれば我が校の評判は、上がるどころかむしろ下がってしまう危険すらあります。という訳で、特待生枠は甲子園で最低でも1回は勝利しないと今後は廃止にする。そういう条件にしてもらいたいのだが、納得してもらえるかね?」


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