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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第28章 夏の甲子園千葉大会決勝 船町北VS三街道
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第355話 腹痛

「ボール!」


「ストライク!」


「ボール!」


「ボール!」


「ボールフォア!」


 7番バッターの細田弟に続いて、8番バッターの森もフォアボールで出塁し、9回裏2アウトながらランナー1、2塁となった。


(8回はコントロールが安定していたばってん、てっきり何かコツでも掴んでくれたかと思っていたばい。それなのに、9回にきてまた元通りたい。いや、むしろ悪化してるかもしれんたい)


 キャッチャーの西郷が川合のノーコンぶりに頭を抱える中、鈴井監督はある決断をしようとしていた。


(最後まで川合と心中しようと思っていたが、さすがにこれ以上は耐えられん。昨日完投したばかりだしできれば投げさせたくなかったが、ここは吉田に行ってもらおう。念のためこの回から肩を作らせといて正解だったな)


「吉田! ピッチャー交代だ。頼んだぞ」


 そうブルペンに向かって言った鈴井監督だったが、なぜかそこには、肩を作っているはずの吉田の姿がなかった。


「監督、吉田ならさっき腹が痛いとか言ってトイレに行きましたよ」


「はぁ? 何だよこの大事な時に」


(いや、もしかしたら吉田の奴、春季大会で千葉修道相手に9回から登板して逆転されたあのトラウマを、今になってまた再発させたか? てっきり昨日の試合でもう乗り越えたかと思っていたが、こちらの考えが甘かったか。でも、このままあのノーコン川合を投げさせ続けたら、押し出しで逆転されてしまう未來が目に浮かんでくる。やはりここは、吉田に継投するべきだな)


「吉田が戻ってき次第、例えカウントの途中でもすぐに交代させるぞ」


 そう言った瞬間、鈴井監督は自分の言葉にハッとした。


(カウントの途中でも……そうか! その手があったか!)


「ボール!」


 9番バッターの細田兄相手に投球を始めた川合を見ながら、鈴井監督は祈った。


(頼む川合! 三振なんて贅沢は言わないから、フォアボールを出す前に1ストライクだけでも奪ってくれ)


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