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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第28章 夏の甲子園千葉大会決勝 船町北VS三街道
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第351話 GuM風

 夏の甲子園千葉大会の決勝戦が行われているここ千葉GuMスタジアムは、プロ野球球団の千葉GuMマリーンズの本拠地として使用されている球場なのだが、この球場にはある特殊な特徴があった。


 球場から海までの距離が極端に近いことから、通称GuM風とも呼ばれる強い海陸風が頻繁に吹き荒れており、風速が10メートルを超えることも珍しくない。そのため、平凡なフライが風で急激な変化を起こして野手が取り損ねてヒットになったり、ホームラン級の当たりが風で押し戻されてアウトになったり、逆に外野フライ級の当たりが追い風によってホームランになったりなど、様々なドラマを生んでいた。


 幸いにも、船町北VS三街道の決勝戦が行われているこの試合中には、それほど大きな風は吹いていなかったため、野手にとってはとても守りやすい環境の中で試合が進んでいた。ところが、安達がレフトへと大きなフライを打ち上げた直後、突如として強風10メートルを超える大きなGuM風が吹き始めた。


(だいたいこの辺かな?)


 レフトを守っていた虹村は、定位置よりもやや後ろに下がりながら安達が放った大きなフライの落下地点を予測していたが、その予測がこのGuM風によって大きく狂わせられることになる。


(えっ? まだ伸びてくるか。もっと下がらないと)


 この時GuM風は、ホームからレフトの方向へとちょうど追い風となる形で吹いていたため、安達の打球に勢いを与えていた。


(これを取ればチェンジだって言うのに、落としたら洒落にならねえぞ。意地でも追いついてみせる)


 打球から目を離さないように気を付けながら、必死に追いかける虹村。


(よし、ギリギリ間に合いそうだ)


 そう虹村が安心した瞬間だった。


「バーン!!」


 外野フェンスに激突した虹村は、慌てて起き上がりながらボールの行方を追った。


(どこだどこだ?)


 しかし、どんなに探してもそのボールが見つかるはずなどなかった。なぜなら、安達の放った打球はすでに、レフトスタンドの中に入っていたからだ。


     123456789

 船町北 000100001

 三街道 01000000 


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