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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第28章 夏の甲子園千葉大会決勝 船町北VS三街道
351/479

第343話 リベンジ達成

 細田兄弟の弟の方と対戦するつもりになっていた星は、出鼻をくじかれて困惑したもののすぐに気持ちを切り替えた。


(何だかよくわかんないけど、左の弟よりも、去年の春季大会でも対戦経験がある右の兄貴を相手にする方がこっちにとってはむしろ好都合。さあこい!)


 しかし、いざ細田兄の投球が始まると……。


「ストライク!」


「ストライク!」


「ストライク! バッターアウト!」


 あっさりと三球三振にされてしまった。


(球速もそうだが、それ以上に球のキレが去年とは段違いだ。こりゃあ弟以上に攻略は難しいかもな)


 続く2番バッター野口が打席に上がるところで、ピッチャーが細田弟に交代する。


(前の打席では内野フライとはいえ球に当てることができたし、今度こそは細田兄を打ってやると思っていたのに、今度は弟かよ。やりづらいなあ)


「ストライク!」


「ストライク!」


「ストライク! バッターアウト!」


 兄の方は投げてこないスライダーやチェンジアップといった変化球に苦しみ、星に続いて野口も三球三振にされてしまう。


 6回表2アウト。打席に立つ3番安達を見て、再びマウンドに上がる細田兄は闘志を燃え上がらせていた。


(去年の春季大会では、カーブを打たれて同点に追いつかれ、延長に入った10回には渾身のストレートをホームランにされた。あの時のリベンジを、今ここで晴らしてやる!)


「ストライク!」


「ストライク!」


 1球目はストレート、2球目はカーブをそれぞれ真ん中低めいっぱいに決めて、あっという間に安達を追い込む細田兄。


(1打席目からずっと、低めのコースばかり攻められているな。2打席目の初球だって、打ちにいくか迷うギリギリの低さだった。もしかしたらもう、俺の弱点がバレているのかもしれないな。だからといって、俺がやれることはただ1つ)


 3球目。細田兄が大きく振りかぶって球を投じる。


(ちょっとでも浮いてきた球を確実に仕留める。それだけだ!)


 しかし、細田兄が投げたストレートは内角よりの低めギリギリを通過していった。


「ストライク! バッターアウト! チェンジ!」


 安達を三球三振に仕留めて、見事リベンジを達成した細田兄。しかし、そんな細田兄の心の中には、何ともスッキリしないモヤモヤが残っていた。

  

     123456789

 船町北 000100

 三街道 01000


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