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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第28章 夏の甲子園千葉大会決勝 船町北VS三街道
342/479

第334話 シングル? アウト? ツーベース? スリーベース? 

 強烈な打球音を放ちながら、猛烈な勢いで飛んでいく安達の打球。しかし、細田弟はその打球を見て少しホッとしていた。


(この低い弾道なら、シングルで済みそうだな。ていうか、低めは打てないんじゃなかったのかよ。監督の情報も当てにならねえな)


 監督に対する愚痴を心の中でこぼしながら、左後ろを振り返って打球の行方を追う細田弟。


(えっ! まだ落ちてねえのかよ。どこまで伸びていくんだ?)


 予想以上に伸びていく安達の打球に一瞬焦る細田弟だったが、ライトの守備位置を確認すると一安心した。


(良かったー。ちょうど打球方向の真正面の位置にいるな。これならダイレクトキャッチでアウトになりそうだ)


 ライトを守る角田は、安達が打った直後前に走り出していた。しかし、地面につかないままどんどん伸びてくる打球を見て、慌てて後ろに下がりながら左手のグラブを構え始める。


(よし、ギリギリ届くぞ)


「パン!!」


 確かに角田のグラブは先っぽギリギリ球に届いたが、猛烈な打球の勢いに押されてグラブが角田の左手から外れて吹き飛ばされてしまった。


(おーい! 何やってんだよ角田先輩。取れる打球でしょ。アウトにできたはずの当たりが、たちまちツーベースかよ)


 そんな先輩への愚痴を心の中でこぼしていると、細田弟の目にランナー安達の姿が入ってきた。


(げっ! もう2塁の手前まできてるのかよ。これじゃあツーベースどころか、スリーベースにされちゃうだろ。角田先輩は何をしているんだ)


 再びライトの方を見ると、転々と後ろに転がる球を角田が慌てて追いかけており、やっと追いつくとすぐに送球した。しかし、その送球方向はサードへではなくバックホームだった。


(はぁ~。結局三塁までいかせてしまったか。まあいいさ。次のバッターを抑えればまだ点は取られない。切り替えていこう)


 そんなことを考えながら、セカンド角田の中継を挟んでホームへと送球される球を目で追っていく細田弟。するとそこには、信じられない光景が広がっていた。


(はあ? 安達、何で今お前がそんな所にいるんだよ)


 細田弟がすでに3塁で止まっているものだと思い込んでいた安達は、今まさにホームに滑り込んでいる瞬間だった。


「セーフ!」


     123456789

 船町北 0001

 三街道 010


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