表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第28章 夏の甲子園千葉大会決勝 船町北VS三街道
341/479

第333話 射程圏内

 4回表1アウト。打席に上がるは2番野口。マウンドには、細田弟に代わって右の細田兄が上がる。


(逆転するには2点が必要だ。そのためは何としても、安達の前に塁に出たい。細田兄のストレートは確かに速いし、カーブもやばい曲がり方をしてくる。でも俺だって、160キロのストレートに140キロの変化球をランダムに投げてくるあの化け物ピッチングマシーン相手に練習してきたんだ。その成果を、今ここで見せてやる)


 そう気合を入れて打席に上がった野口だったか……。


「カーン!!」


 結果は内野フライに終わった。


(くそっ! また打てなかった)


(内野フライとはいえ、俺のストレートに当ててきたか。さっきの星といいこいつといい、安達や山田以外のバッターも中々やるじゃないか)


 2アウトランナーなし。3番の安達を打席に迎えたところで、ここで再び左の細田弟がマウンドに上がる。


(安達との対戦、結構楽しみにしていたんだけどなあ。いざ始まってみると拍子抜けだな。まさか低めの球は一切打てないだなんて、こんな致命的過ぎる弱点があったとはな。やっぱり高校生ナンバー1スラッガーは、昨日対戦した清村弟ってことで決まりだな)


 最初の対戦で安達をあっさり抑えたことで、細田弟はもはや完全に安達のことを舐めていた。


(低めのストレートで、まずは1ストライクと)


 そんな軽い気持ちで投げたこの1球は、確かに低めのコースに向かっていた。


(よし、低めにいったな。これで1ストラ……)


 そう細田弟が確信した瞬間、なぜか安達がスイングを始めていた。


(えっ?)


 確かに細田弟が投げたストレートは低めにいっていた。そして安達は、低めの球を打つことができない。ただし、安達が打てない低めの球というのは厳密に言うと、ストライクゾーンを高め真ん中低めの3分割にした際に低めのゾーンに全て収まっているかそれよりも低い位置にきた球を意味する。つまり、例え真ん中よりは低めでも、ほんの少しでも真ん中のゾーンにかすっている低めの球ならば打つことができるのだ。


 そして今細田弟が投げたストレートは、ほんのわずか数ミリではあるが真ん中のゾーンにかすっていた。つまり、ギリギリではあるものの安達のバッティングの射程圏内であった。


「カキーン!!!!」


---------------------------------------------------------------


小説の続きが気になるという方は、ブックマークや

下にある☆☆☆☆☆から作品への応援をいただけたら嬉しいです。  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ