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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第28章 夏の甲子園千葉大会決勝 船町北VS三街道
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第332話 セーフティーバント

 ボール球を振って三振に倒れた田所に対して、大泉監督は珍しく怒っていた。


「田所君、相手はコントロールに難のあるピッチャーなんですから黙っていてもフォアボールの出塁が望めます。それなのに、ボール球を振って三振になるなんて1番ダメなパターンですよ。しっかりと反省してください」


「すみませんでした」


 言葉遣いは丁寧なものの、大きな声を張り上げて行ったこの大泉監督の叱咤が、のちの試合展開に大きく左右することなど、まだ誰も知る由もなかった。


 4回表。この回の先頭は、1番バッターの星。マウンドには左の細田弟が上がる。


(1打席目で見れたこいつの持ち球、スライダーにストレートにチェンジアップ、どれも凄い球だった。それに加えてカーブまで投げてくるんだから、まともに打ちに行っても俺がヒットを打てる可能性は、まあ2割以下だろう。ならば守備位置的にかなり厳しいそうだけど、ダメ元でセーフティーバントを1塁に転がしてみるか。今ファーストを守っているのは、本職ではない細田兄だ。エラーまではいかなくても、ちょっとだけもたついてくれればいい。あとは俺の足で出塁をもぎ取ってやるぜ)


「カーン!」


 初球、細田弟が投げた内角へのストレートを、星は狙い通り1塁方向へと転がした。しかし、星に限らず全選手が足の速い船町北打線に対して、常にセーフティーバントを警戒している三街道の守備は万全だった。ピッチャーの練習の合間を縫って、2カ月以上前からファーストの守備練習をしていた細田兄は、そつなくファーストの守備をこなし、ベースカバーに入った細田弟へと送球する。


「アウト!」


(くそっ! ダメだったか)


 悔しがりならベンチへと下がる星。しかし今の星のプレーを見て、細田兄弟は驚いていた。


(セーフティーバントに対応する練習はかなりやってきた。今のプレーだって、俺は練習通り、いや下手したら練習の時以上にファーストへの送球までスムーズに行えたと思う。それなのに……)


(あいつがセーフティーバントするのを見て、俺はすぐにベースカバーへと走った。もちろん全速力で。それなのに……めっちゃギリギリのタイミングだった。全く、気の抜けない相手だぜ)


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