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安達弾~打率2割の1番バッター~  作者: 林一
第28章 夏の甲子園千葉大会決勝 船町北VS三街道
330/479

第322話 前評判

 2017年7月25日。夏の甲子園千葉大会決勝戦が今、始まろうとしていた。


「さあいよいよ始まります。千葉大会決勝戦、船町北高校対三街道高校の試合ですが、解説の小田さんはずばり、どちらが勝つと思いますか?」


「まあ十中八九三街道が勝つでしょうね。何といってもあの絶対王者の龍谷千葉を倒してますから。これは大きいですよ。ただし、十中八九という言葉は文字通り十のうち八か九という意味ですからね。残りの一か二の数少ないチャンスを船町北が手繰り寄せるという可能性だって十分にありえます」


「ではここで、決勝を戦う2校のスターティングメンバ―を見ていきましょう」


 船町北高校スターティングメンバー


 1 星(中)

 2 野口(二)

 3 安達(一)

 4 山田(右)

 5 石川(三)

 6 佐々木(遊)

 7 滝沢(左)

 8 西郷(捕)

 9 比嘉(投)


 三街道高校スターティングメンバー


 1 佐藤(中)

 2 雨宮(三)

 3 田所(二)

 4 角田(右)

 5 虹村(左)

 6 冴島(遊)

 7 細田弟(投)

 8 森(捕)

 9 細田兄(一)


「三街道はこのスタメンを見るに、昨日と同じように細田兄弟2人をそれぞれ右対右、左対左にぶつけるような継投策をまた使ってくるようですね。この作戦は本当に強力ですよ。何といってもあの打撃破壊の異名でも知られる龍谷千葉高校の超強力打線を、たったの2失点に抑えましたからね」


「細田兄弟の2人は才能溢れる素晴らしいピッチャーですね」


「2人とも怪我でもしない限りは、プロに行っても必ず活躍できるでしょう。それくらいの逸材です」


「対する船町北高校はどうですか?」


「先発の比嘉君ですが、3回戦と5回戦でも先発していますね。この時と同じ采配でいくとすれば、一巡投げ終わったあとにもう1人のピッチャー川合君に交代して、一巡ごとに交代していくというこちらも一風変わった継投策を使ってくるでしょう。ただし、川合君に関してはどちらの試合でもフォアボールを連発するとても危なっかしい投球でしたからね。今日は決勝ですし、比嘉君が1人で投げ切るか、昨日も投げた吉田君が途中から投げるかもしれません」


「ピッチャーと言えばどうしても細田兄弟に注目が集まってしまいがちですが、この比嘉君も今大会では無失点投球を続けていますね」


「それ以上に注目すべきは、3カ月前の春季大会で千葉修道相手に投げた試合ですよ。最後には捕まってしまったものの、8回まであの千葉修道打線を1失点に抑えていましたからね。それも、ストレートのみで。彼のストレートは相当なものですよ。ただし、それでも三振が少なくミート力に長けた三街道打線が、ストレートだけで抑えられるとは到底思えません」


「逆に船町北高校は、三街道の細田兄弟を攻略できるでしょうか?」


「船町北打線1番の特徴と言えば、その盗塁の多さでしょう。今大会でも2位の高校の倍以上の盗塁を決めてますからね。ただし、盗塁をするにはその前に出塁しなければなりません。細田兄弟はまずその出塁すら中々許してくれないでしょう。船町北にとって1番現実的な得点の可能性と言えば、安達君の1発に期待することですね」


「安達君と言えば、去年の大会……おっと、三街道先発の細田兄弟の弟雄二君の投球練習が終わったようですよ。それでは決勝戦プレイボール!」


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